遺言書の形式(3)ー秘密証書遺言とはー
秘密証書遺言はほとんど利用されていません
秘密証書遺言とは
秘密証書遺言とは、公証役場に封印した遺言書を持参して、証人立会いのもと公証人に認証してもらう遺言方式のことです。
封印した状態で認証してもらうため、遺言の内容を秘密にしたままにできます。証人2名立会いのもと認証してもらうので、遺言の内容は秘密にしたいが、遺言書の存在は明らかにしておきたい場合などに用いられます。遺言書をのこした事実は記録されますが、原本は自分で保管する必要があります。
遺言の内容には公証人は関与しないため、遺言として無効な場合もあるなど手間の割には欠点が多く、実際にはほとんど利用されていません。
秘密証書遺言の作成方法
秘密証書遺言作成の流れ
1.遺言者が遺言書を作成し、署名押印する。なお署名が自筆であれば本文はワープロ作成でも構いません。 |
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2.遺言書を封筒に入れ、遺言書に押した印鑑を用いて封印する。 |
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3.公証役場で、公証人と証人2名の前に封筒を提出し、中身は自分の遺言書であることと氏名住所を申述する。 |
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4.公証人が申述内容及び日付を封筒に記載し、公証人、証人、遺言者がそれぞれ署名押印する。 |
秘密証書遺言作成に必要な費用
秘密証書遺言作成の際に必要な公証人手数料は、財産の額に関わらず11,000円の定額です。全国一律でこの額になります。
秘密証書遺言はほとんど利用されていない
秘密証書遺言のメリットとしては、遺言内容を秘密にできること、署名以外の遺言本文はワープロ作成可能なこと、秘密証書遺言として無効でも自筆証書遺言の方式(遺言書内の日付、本文の自書)を満たしていれば遺言として有効なこと、が挙げられます。
しかし遺言内容を秘密にしたいのであれば、自筆証書遺言作成の上、信頼できる知人や専門家に保管を依頼した方がより確実ですし、自筆が難しければ公正証書遺言の作成を検討すべきでしょう。
また、自筆証書遺言と同様、相続開始後に家庭裁判所で検認という手続きを取る必要があり、その点で手間がかかることになります。
さらに公証役場には遺言を遺した事実が記録されるのみで、原本は自分で保管しなければならないため、保管中に改ざんされたり、紛失したりすることがないよう保管方法にも気を付ける必要があります。
何よりわざわざ証人の手配までして公証役場へ行くにもかかわらず、遺言の内容について公証人は関与しないため、遺言自体が無効になるリスクがあります。
こういった理由から秘密証書遺言の方式はほとんど利用されていないのが現状です。
信頼できる専門家に依頼すれば、遺言内容の秘密性は守られますので、自筆証書遺言や公正証書遺言の作成をお勧めします。
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