【完全解説】連絡が取れない相続人がいるときの相続手続きの進め方

相続人と連絡が取れない…

亡くなった方の相続手続きを進めたいのに、連絡が取れない相続人がいるため中断してしまっている。このままだと故人の口座からお金を引き出すことも、不動産の名義変更をして売却することもできないので困り果てている・・・。

当事務所には、このようなお悩みを抱えてご相談にいらっしゃる方も沢山いらっしゃいます。

連絡が取れない!どうすれば…

ここでは、連絡が取れない相続人がいるときの相続手続きについて、どのような手続きが必要でどのように進めていくべきかを、相続実務に精通した専門家が、実際の経験をもとに解説します。

本記事を読めば、手続きの進め方がわかり、ご自身で対応することも可能です。

また、自分では難しそう…と感じられた方はお早めに専門家へ相談することをおすすめします。

死後手続き・相続手続きに関する無料相談実施中!

連絡が取れない相続人がいるときの相続手続きにおいて、お客様にどのような手続きが必要で、どのように進めていくべきかをご案内させていただくため、当事務所では無料相談を行っています。

当事務所では、身近な人が亡くなった後に必要な死後手続き・相続手続きに関して、数多くのご相談とご依頼を受けています。

このような豊富な相談経験を活かし、お客様に必要な手続きと最適なサポートを提案させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

目次

相続人と連絡が取れないと相続手続きは進められない!

亡くなった後の相続手続きを進めるためには、基本的に相続人全員の協力が必要になります。

連絡が取れないものは仕方ないから、その人抜きで手続きを進めればいいのでは?と思われるかもしれませんが、法務局や金融機関などの各種相続手続きでは、基本的に相続人全員の実印が押印された書面と印鑑証明書の提出が必要になります。

例え一切財産はいらないという方がいても、少なくともその方から印鑑証明書と実印での押印はもらわなければなりません。(相続放棄した場合は除く)

連絡が取れない理由には色々あると思いますが、例を挙げると以下のようなものがあります。

そもそも全く面識がない。

一応面識はあるものの長年連絡を取っておらず、連絡先が分からない。

昔は仲が良かった・普通だったが、あるとき仲違いをしてしまい、以来音信不通状態である。

そもそも自分が相続人であることも寝耳に水で、他に誰か相続人がいるかの見当もつかない。(甥姪が相続人のケースに多い)

数年前に連絡が途絶えて以来、連絡が取れず、捜索願を出しているが見つかっていない。(行方不明のケース)

連絡が取れない理由によって必要な手続きや進め方は異なりますが、いずれにしても本人と連絡を取り協力してもらうか、裁判所での手続きを経なければ、手続きを進めることはできません。

ちなみに・・・

法的に有効な遺言書がある場合は、相続人全員の協力が無くても手続きを進めることができます。

ただし、遺言書で遺言執行者が指定されていなければ、家庭裁判所で選任の手続きが必要な可能性があります。

疎遠・音信不通の場合は進め方を間違えると大変なことに!

そもそも全く面識がない、面識はあるものの長年連絡をとっていない場合など、疎遠・音信不通を理由として連絡が取れない場合、何とかして連絡先を調べ、コンタクトを取り、相続手続きに協力してもらう必要があります。

このケースは、連絡先さえわかれば順調に進むこともありますが、連絡の取り方には気を付ける必要があります。

特に最初の連絡で失礼な言動があったり、そのつもりはなくても失礼な印象を与えてしまうと、その後のやり取りが非常に難航することになってしまいます。

人にはそれぞれ事情があり、誰もが快く協力してくれるとは限らないという事を頭に入れ、慎重に事を運ぶようにしましょう。

行方不明の場合は家庭裁判所での手続きが必要

捜索願を出しているにもかかわらず何年も所在がわからない、住民票上は本人が住んでいることになっているが、手紙を出しても直接訪ねても反応がなく、住んでいる気配がないなど、行方不明のため連絡が取れないケースでは、家庭裁判所で手続きを行う必要があります。

この場合、行方不明になった時期や家族の事情によって下記のいずれかの手続きを選択することになります。

1.不在者財産管理人選任の申立て

2.失踪宣告の申立て

行方不明になってから7年以上経過していない場合は、基本的に1の「不在者財産管理人選任の申立て」を選択することになります。

一方、7年以上経過している場合は、2の「失踪宣告」の方がメリットが大きいですが、失踪宣告がされると、行方不明者は法律上死亡したとみなされるため、家族の心情にも配慮して決めるべきでしょう。

相続手続き代行についてくわしくはこちら

連絡が取れない・取りづらい相続人がいるときの相続手続きの進め方

ここからは、連絡が取れない・取りづらい相続人がいるときの相続手続きの進め方について、ケースごとにくわしく解説します。

連絡が取れない事情によって進め方は異なりますが、共通する部分も多いので、最も多い「疎遠・音信不通のケース」をベースに解説します。

手続の大まかな流れは以下の通りです。

※クリックすると各手順についてのくわしい解説に移動します。

1.遺言書の有無を調査する

       ↓

2.戸籍を集め相続関係を調査する

       ↓

3.住民票や戸籍の附票を取得

       ↓

4.不動産や金融機関の調査を行い、相続財産を確定する

       ↓

5.相続関係説明図と財産目録を作成する

       ↓

6.連絡が取れない・取りづらい相続人に対して手紙を出す

       ↓

7.手続きに協力してもらえる場合、話し合って遺産の分け方を決める

       ↓

8.遺産分割協議書を作成し、署名押印をもらう

       ↓

9.遺産分割協議書等の必要書類が揃ったら、相続手続きを行う

       ↓

10.手続き完了後、遺産分割協議書や計算書等を送付して完了

以下、それぞれの手順についてくわしく解説します。

遺言書の有無を調査する

遺言書がある場合、必ずしも相続人全員と連絡を取り、手続きに協力してもらう必要はありません。

そのため、まずは遺言書の有無を確認することが最優先となります。

遺言書には主に自筆のものと、公正証書で作成したものがあり、それぞれ調査方法が異なります。

故人の自宅や貸金庫等を調べるのはもちろんですが、公証役場や法務局で一括調査することもできるので、念のため調査しておきましょう。

遺言書の調査方法についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

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戸籍を集め相続関係を調査する

遺言書がない場合、基本的には相続人全員で遺産の分け方の話し合い(遺産分割協議)を行うことになります。

そのため、亡くなった方の戸籍謄本や相続人の戸籍謄本を集めて、話し合いに参加すべき相続人が誰かを確定させる必要があります。

相続人が他にいないことを証明するために、亡くなった方の戸籍は出生から死亡までさかのぼって取得する必要があります。

兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合はさらに取得する戸籍の範囲が広く、大変な作業になります。

戸籍集めは、全ての相続手続きに共通する重要な作業ですが、場合によっては各地の役所に何度も請求を行わなければならず、昔の戸籍は手書きのため解読するのも大変です。

つまずきそうな方はこの段階から司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続手続きに必要な戸籍の種類や集め方についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

戸籍集め・相続人の調査をまるごとおまかせしたい方はこちら

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住民票や戸籍の附票を取得し、現在の連絡先を調べる

連絡を取ろうにも全く連絡先がわからないという場合、その方の住所を調べて連絡を取ることになります。

その方の住民票を取得すれば住所はわかりますが、住民票は住所地の役所に請求する必要があるので、そもそも住所が分からないのであれば取得することはできません。(調査が進めば後々取得はできますが。)

そこで、連絡先住所が全く分からない場合は「戸籍の附票」を取得することになります。

「戸籍の附票」とは、その方のこれまでの住所移転の履歴が記載されたもので、最新の戸籍附票には現住所が記載されています。

戸籍の附票は本籍地の役所で取得することができます。郵送請求も可能なので遠方でも大丈夫です。

ここで、「いやいや連絡先が分からないんだから本籍なんてもっとわからないよ」と思われるかもしれません。

しかし、相続人の現在の本籍については亡くなった人の戸籍をたどっていけばたどり着くことができます。

効率よく進めるためには、被相続人の戸籍集めと並行して戸籍の附票を取得しておくといいでしょう。

連絡先不明の方の本籍や住所の具体的な調べ方はこちらの記事をご参照ください。

不動産や金融機関の調査を行い、相続財産を確定する

遺産の分け方を決めるにあたっては、遺産分割協議の対象となる財産を確定する必要があります。

また、後々作成する財産目録に記載するために、財産の評価額を客観的に証明できる資料を取得しておく必要があります。

取得する資料は財産の種類によって異なりますが、主な例としては以下のとおりです。

財産の種類取得する資料
不動産登記事項全部証明書(登記簿謄本)、固定資産税評価証明書、名寄帳
預貯金残高証明書、(必要に応じて)取引履歴
株式、投資信託等残高証明書など
保険契約等相続評価額証明書、契約内容の案内など
ゴルフ場会員権等相続評価額証明書など

なお、残高証明書等は必ず「相続開始日時点のもの」を取得してください。

こちらの作業をせずに、いきなり連絡を取ってしまう方もいるのですが、財産の詳細がわからない状態で話をしても、お互いに要領を得ず、不信感を持たれる原因にもなるので、財産調査は事前に必ず行っておきましょう。

相続財産の調査方法についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

なお、当事務所(司法書士法人東京横浜事務所)では、連絡が取れない相続人がいるときの相続手続きについて、戸籍収集・相続人の調査、相続財産の調査含めてすべておまかせ可能な「相続まるごとおまかせプラン」はじめとした相続手続き代行・サポートのサービスをご提供しております。ご相談は無料で承ります。

相続財産の調査をまるごとおまかせしたい方はこちら

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相続関係説明図と財産目録を作成する

相続関係及び財産の調査が完了したら、相続関係説明図と財産目録を作成しましょう。

相続関係説明図とは、亡くなった方の相続関係を家系図のような形でわかりやすく説明したものです。

相続関係説明図の見本

財産目録とは、相続財産の種類、数量、金額等を一覧表の形式でわかりやすくまとめたものです。

財産目録の見本

財産目録に記載する財産の所在や、種類、数量等については登記簿謄本や残高証明書を確認して正確に記載しましょう。登記簿謄本や残高証明書は財産の根拠資料として、コピーを財産目録に添付しましょう。

通常であれば、相続関係説明図や財産目録は必ずしも作成する必要はありませんが、連絡が取れない相続人がいる場合は必ず作成すべきです。

気心の知れた間柄であれば、わざわざ書面にしなくても大体これぐらいだろうという事で話し合うこともできるでしょうが、ほとんど(あるいはまったく)面識のない間柄ではそうは行きません。

きちんとした資料を提示して話し合う姿勢を見せなければ、相手方としては不安になり、「他に隠している財産があるのでは」という不信感を持たれても仕方ありません。

話し合いが決裂してしまうと、解決のための手間や費用はさらにかかることになり、誰も得することはありません。

相続関係説明図や財産目録の作成は面倒だからと、準備をせずに連絡を取ってしまう方もいるのですが、結果として相手方が話し合いに応じてくれず、弁護士を立てられてしまい、話がこじれてしまう事が圧倒的に多いです。

作成が面倒であれば、資料収集含め司法書士などの専門家に任せることもできるので、必ず作成しておきましょう。

財産目録のひな型や作成方法についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

相続関係説明図・財産目録の作成をまるごとおまかせしたい方はこちら

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連絡が取れない・取りづらい相続人に対して手紙を出す

相続関係説明図や財産目録の準備まで整ったら、いよいよ相手方にコンタクトを取ります。

いきなり訊ねるのは失礼なので、相手の住所が近くの場合でも、まずは手紙を出します。

疎遠な方、面識のない方と連絡を取る場合、この最初の連絡がとても重要になります。

相手からするとよく知らない方からいきなり連絡が来て、しかも親族が亡くなったから相続手続きに協力して欲しい、とお願いされるわけです。

ここで失礼な言動があったり、そのつもりはなくても失礼な印象を与えてしまうと、その後のやり取りが難航することは間違いありません。

場合によっては弁護士を立てられてしまったり、一切のやり取りを拒絶されてしまう事もあります。

人にはそれぞれ事情があり、中には亡くなった方のことを快く思っておらず、関わりたくないと考えている人もいるかもしれません。

血縁関係があるとはいえ、よく知らない間柄であれば相手の事情にも配慮して対応すべきです。ましてや財産が絡むデリケートな話であればなおさらです。

実際にどのように連絡をすればいいのかは、こちらで詳しく解説しています。手紙のサンプルも掲載しているので参考にしてみてください。

最初の手紙で返信がない場合は、連絡が欲しい旨を強調して、再度手紙を出してみましょう。

2~3回手紙を出しても反応が無い場合、相手の住所まで行くことが可能であれば、直接出向いてポスト等に手紙を投函して反応を待ちましょう。

手紙を出して反応がない時点で、相手はできれば関わりたくないと考えていると思われるので、直接訪ねて対話を試みるのは最後の手段だと考えて下さい。

なお、当事務所(司法書士法人東京横浜事務所)では、連絡が取れない相続人がいるときの相続手続きについて、相続関係説明図や財産目録の作成、疎遠な相続人とのやり取り(手紙の作成含む)含めてすべておまかせ可能な「相続まるごとおまかせプラン」をはじめとした相続手続き代行・サポートのサービスをご提供しております。ご相談は無料で承ります。

疎遠な方とのやり取りをまるごとおまかせしたい方はこちら

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手続きに協力してもらえる場合、話し合って遺産の分け方を決める

相手から手続きに協力してもらえるとの返事が来た場合は、遺産の分け方について話し合って決めることになります。

最初の連絡で提案する場合もありますが、提案していなければ、改めて分け方を提案します。

遺産の分け方は相続人全員の合意があれば自由に決めて構いませんが、基本的には法定相続分がベースになると考えてください。

自分は故人と親密だったので多めに貰いたい等の希望はあるかもしれませんが、話がこじれて遺産分割調停や審判になってしまうと、よほどの事情がない限り、ほぼ法定相続どおりの分け方になってしまうことがほとんどなので、「できれば多めに貰いたいけど、最悪法定相続でも仕方ない」と考えておいた方がいいでしょう。

預貯金や株式については分割して相続できるので、分け方を決めるのは比較的容易ですが、問題は不動産です。

売却して代金を分けるのがわかりやすいですが、特定の相続人が住んでいて、そのまま相続することを希望する場合はそうもいかないでしょう。その場合は、他の人に預貯金を多く相続してもらうか、代償金の支払いで調整することになるでしょう。

遺産分割の方法と揉めないための注意点についてはこちらの記事をご覧ください。

遺産分割協議書を作成し、署名押印をもらう

遺産の分け方が決まったら、遺産分割協議書を作成し、署名押印を貰います。

遺産分割協議書の記載例

遺産分割協議書の記載内容に不備があると、相続手続きに使えず、訂正の手間で迷惑がかかるので、名前や住所等は戸籍等を、不動産や金融資産は登記簿謄本や残高証明書等をよく確認して正確に記載しましょう。

遺産分割協議書のひな型や記載方法についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

遺産分割協議書には必ず相続人全員の署名押印を貰い、印鑑証明書も提供してもらう必要があります。

署名押印は必ずしも全員が集まって行う必要はなく、遠方の場合は郵送で順次回していく形でも大丈夫です。

ただ、1枚の書面に全員の署名押印を貰う場合、関係者が多いと、やり取りに時間がかかったり、途中で破損・汚損してしまう恐れがあります。

そのようなリスクを避けるために、相続人の人数が多い場合は、各自がそれぞれ単独で署名押印した書面(下図参照)をまとめて提出する方法(証明書形式)をおすすめします。

遺産分割協議証明書の見本

こちらの方法であれば、各相続人にそれぞれ書類を送り、そのまま返送すればいいので、やり取りの時間は短縮でき、破損・汚損のリスクも最小限で済みます。

また、遺産分割協議書を送ってもらう際には印鑑証明書も一緒に送ってもらいますが、金融機関での相続手続きの際には発行後6か月以内(金融機関によっては3か月以内)の印鑑証明書を求められることがほとんどなので、新しく取得したものを送ってもらうよう伝えておきましょう。

遺産分割協議証明書の作成方法やひな型についてはこちらの記事をご覧ください。

なお、当事務所(司法書士法人東京横浜事務所)では、連絡が取れない相続人がいるときの相続手続きについて、相続人間の調整や、遺産分割協議書の作成及び署名捺印の手配含めてすべておまかせ可能な「相続まるごとおまかせプラン」をはじめとした相続手続き代行・サポートのサービスをご提供しております。ご相談は無料で承ります。

遺産分割協議書の作成・手配をまるごとおまかせしたい方はこちら

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遺産分割協議書等の必要書類が揃ったら、相続手続きを行う

相続人全員から遺産分割協議書の署名押印及び印鑑証明書をもらったら、法務局や金融機関で相続手続きを行います。

手続きの際には遺産分割協議書と印鑑証明書のほか、戸籍謄本等も一緒に提出します。

先述のとおり、金融機関では発行から6か月以内の印鑑証明書の提出を求められるので、期限切れによる再取得の手間が生じないよう速やかに手続きを終わらせましょう。

自分では時間が無くてなかなか進められないという方は、相続手続きを代行してくれる専門家に依頼するといいでしょう。

手続き完了後、遺産分割協議書や計算書等を引き渡して完了

無事に預貯金や不動産等の相続手続きが完了したら、相続手続き関係書類のうち各相続人が保管しておくべきものについては、郵送等で引き渡しましょう。

少なくとも遺産分割協議書は各相続人が1部ずつ保管しておくようにしましょう。

また、代表相続人が預金を受取り、各相続人へ分配した場合は、金融機関からの受取額や相続人への分配額を記載した計算書を作成し、手続き完了の報告と共に送付しておきましょう。

手続きに協力したにもかかわらず、完了後の連絡がないという事でトラブルになることもあるので、余計な火種を抱えないように最後まできちんと対応しましょう。

なお、当事務所(司法書士法人東京横浜事務所)では、連絡が取れない相続人がいるときの相続手続きについて、不動産の名義変更や預貯金の解約などの手続きのほか、各相続人への財産の分配、手続き完了の報告まですべておまかせ可能な「相続まるごとおまかせプラン」をはじめとした相続手続き代行・サポートのサービスをご提供しております。ご相談は無料で承ります。

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手続きに協力してもらえない場合や返事がない場合の手続きの進め方

上記では手続に協力してもらえるパターンについて解説しましたが、連絡が取れても必ずしも手続きに協力してもらえるとは限りません。また、手紙を出してもなんの反応もないケースもあります。

相続手続きに協力してもらえない場合、最終的には裁判所での手続きが必要になります。

弁護士を代理人に立てて交渉する

自分で連絡したときは反応が無かったが、弁護士からの連絡には反応があった、というケースもあります。

弁護士からの連絡を無視すると面倒なことになる、という意識が働くのかもしれません。

遺産分割調停や審判の手続きを弁護士に依頼するつもりであれば、裁判所での手続きを行う前に、弁護士から代理人として連絡をしてもらうと、意外と上手くいくかもしれません。

ただし、弁護士は依頼者の利益を最大化するのが仕事なので、基本的には相手方と対立関係になります。そのため、一方が弁護士を立てると、相手方も言い負かされないように弁護士を立てるという事が多いです。

弁護士を立てても、調停や裁判では、よほどの事情が無ければ法定相続での分割になることがほとんどです。

単に連絡が取れない・取りづらいという段階で弁護士を立ててしまうと、解決まで時間がかかった割に、遺産の取り分が増えるわけでもなく、弁護士費用の負担ばかり大きくなってしまった、という事もあり得るので、慎重に判断しましょう。

長い間疎遠で協力を得るのは難しいと考えていたが、連絡したところすんなり手続きに協力してもらえたというケースもあるので、弁護士に依頼するのは相手方が対立姿勢を明らかにしてきた段階でもいいかもしれません。

家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる

行方不明というわけではないのにまったく反応がない場合や、連絡は取れたが手続きに協力してもらえない場合、もしくは遺産の分け方を巡って争いになり当事者間での解決が難しい場合は、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをして、解決を目指すことになります。

調停とは、裁判のように勝ち負けを決めるのではなく,調停委員を介して当事者が話合いを行い、合意による紛争の解決を図る手続きです。

調停では、調停委員が当事者双方の言い分を聞いて、中立的な立場から解決策の提案をしてくれますが、あくまで話し合いなので、合意に至らなければ調停は不成立となり、遺産分割審判の手続きに移行します。

遺産分割調停は、相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定めた家庭裁判所に申立てをして行います。

調停になると、解決までに1年以上の時間がかかることが多いので、出来れば避けたいところですが、手紙を出しても全く反応がない場合や、相手方が自分の主張ばかりしてこちらの意見をまったく聞き入れない場合などは、早々に遺産分割調停を利用した方が早く解決するかもしれません。

調停が不成立の場合は遺産分割審判に移行する

遺産分割調停が不成立に終わった場合、自動的に遺産分割審判に移行します。

審判とは、当事者の主張や提出された資料をもとに、裁判官が遺産の分割方法を決める(審判する)手続きです。一般的にイメージされる裁判手続きのようなものと思ってください。

調停と審判の大きな違いは、調停があくまで当事者同士の「話し合い」であるのに対し、審判は裁判所による「強制的な決定」であるという事です。

遺産分割調停では、当事者の意向を汲んだ柔軟な解決も可能ですが、遺産分割審判では、裁判所が妥当と考える遺産分割方法が指定されることになります。

時には当事者双方が希望しない分割方法が指定されることもあるので、遺産分割審判は、話し合いでは解決できない場合の最終手段と考えましょう。

なお、はじめから調停ではなく遺産分割審判を申し立てる事も可能ですが、通常は裁判所の判断で審判から調停に回されることがほとんどです。

なお、当事務所(司法書士法人東京横浜事務所)では、連絡が取れない相続人がいるときの相続について、公平な第三者として相続人間の調整を行うため、遺産分割調停・審判の手続きを利用することなく相続手続きの代行・サポートが可能です。(相続人間で紛争が発生していない事が前提です。すでに紛争状態の場合は弁護士をご案内します。)ご相談は無料で承ります。

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相続人が行方不明の場合の手続きの進め方

ここまで相続人の所在が判明している場合の手続きについて説明してきましたが、連絡が取れない理由が「行方不明」(手を尽くしたが所在がわからない)の場合は、必要な手続きが全く異なります。

相続人が行方不明のケースでは、行方不明になった時期や家族の事情によって、「不在者財産管理人選任の申立て」か「失踪宣告の申立て」のいずれかの手続きを選択することになります。

不在者財産管理人選任の申立てを行う

行方不明になってそれほど時間が経っていない場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人選任の申立て」を行い、不在者(行方不明者)の代わりに財産を管理する管理人(不在者財産管理人)を選んでもらう必要があります。

不在者財産管理人は、本人の財産の管理について代理権を持ち、相続の場面においては不在者の代わりに遺産分割協議に参加することになります。

不在者財産管理人選任の申立ては、不在者の従来の住所地(又は居所地)の家庭裁判所で手続きを行います。

申立ての際は、不在者の戸籍謄本や戸籍の附票の他、不在の事実を証する資料(行方不明者届受理証明書等)や不在者の財産に関する資料(不動産登記簿謄本や預金通帳の写しなど)等の提出が必要になります。

不在者財産管理人選任の審理では、不在者が本当に行方不明かどうか確認するために、関係者への照会や、追加の資料提出を求められることがあります。捜索願(行方不明者届)が出されていない場合は出すように促されることもあります。

不在者財産管理人は弁護士等の専門家が選ばれることが多く、選任された後は滞りなく相続手続きが進むでしょう。

ただ、申立てのための資料集めが大変で、申立てから審判まで2か月~半年程かかるので、自身で動くのが難しい方や相続税の申告期限が迫っている方は、司法書士等の専門家に申立てを依頼した方がいいでしょう。

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場合によっては失踪宣告の申立てを行う

行方不明の相続人が下記いずれかの条件を満たす場合は、「失踪宣告」の手続きを利用することもできます。

1.行方不明になってから7年以上経っている。(普通失踪)

2.遭難、災害等による行方不明の場合、行方不明になってから1年以上経っている。(特別失踪)

失踪宣告の申立てをして、行方不明者について失踪宣告がされると、その方は法律上死亡したとみなされます。

この場合、行方不明になってから7年が経過した死亡日とされるので(特別失踪の場合は災害等の危難が去った日)、死亡日によって相続関係者に変化が生じます。

失踪宣告によって新たに相続人になる人がいる場合は、事前に相続手続きに協力してもらえるか確認しておいた方がいいでしょう。

失踪宣告は、不在者の従来の住所地(又は居所地)の家庭裁判所に申立てます。

審理では、不在者が本当に行方不明かどうか確認するために、関係者への照会や、追加の資料提出を求められることがあるので、事前に根回ししておきましょう。

なお、失踪宣告の要件を満たす場合でも、失踪宣告ではなく、不在者財産管理人選任の申立てを行うこともできます。

失踪宣告は、法律上死亡という大きな効力を及ぼすものなので、行方不明者に家族がいる場合は、家族の心情にも配慮して、どちらの手続きを選択するかを決めてください。

なお、当事務所(司法書士法人東京横浜事務所)では、行方不明の相続人がいるときの相続手続きについて、不在者財産管理人選任の申立てや失踪宣告についても多数の代行・サポートの実績があります。ご相談は無料で承ります。

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連絡が取れない・取りづらい相続人がいるときの相続手続きの注意点

ここまで、連絡が取れない・取りづらい相続人がいるときの相続手続きの流れについて説明してきましたが、手続きを進めるにあたっては特に注意すべき点がいくつかあります。

以下で詳しく解説します。

最初の連絡が肝心

連絡が取れない・取りづらい相続人がいるときの相続手続きで、最も重要なことは「連絡が取れなかった方に連絡を取り、手続きに協力してもらうこと」です。

協力さえ得られれば、通常の相続手続きとそれほど違いは無いので、それほど難航することは無いでしょう。逆に協力を得られなければ、たとえ遺産の額が少なくても、手続きが難航し、長期化することは避けられません。

それまでほとんど(あるいはまったく)交流の無い方に、快く手続きに協力してもらうためには、最初の連絡がとても重要になります。

よく知らない相手からいきなり連絡が来たら、警戒するのが普通です。ましてや相続や遺産分割などのデリケートな話題となればなおさらです。

これまでたくさんの方の相談を受け、お手伝いをさせていただいた経験から、「最初の連絡の際に失礼な印象を与えてしまうと、その後のやり取りが非常に難航することになる」というのは間違いない所です。

以下に実際に疎遠な相続人に最初の連絡をする際の手紙のサンプルを掲載します。実際にはもっと詳細に事情を記載することになりますが、ご自身で手紙を作成する際の参考にしてください。

疎遠な相続人への手紙(サンプル)

上記のように、あくまでお願いする立場であること、協力してもらえるとありがたい、という事を意識して書けば失礼な印象を与えることは無いでしょう。

間違ってもいきなり遺産分割協議書や相続手続書類を送りつけて、署名捺印を求めたりしてはいけません。

これをやってしまう大抵の場合、お互い弁護士を付けての交渉となり、解決までの期間が長引き、費用も高くつくことになります。

なお、上記の手紙では財産の詳細についても同時に知らせていますが、相続人との関係性によってはいきなり財産を開示して分け方を提案するのではなく、故人の死亡を伝え、まずは連絡が欲しい旨を伝えるまでにとどめた方がいいケースもあります。

相手に伝えるべき内容については、本当にケースバイケースなので、正解は無いのですが、失敗できない所なので、不安があるようでしたら、相手方とのやり取り含め、相続実務の経験が豊富な専門家に手続きを依頼した方がいいでしょう。

当事務所がお手伝いした疎遠な相続人がいる相続手続きの事例についてはこちらをご覧ください。

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財産の内容は必ず開示する

疎遠な方と遺産分割協議を行うにあたっては、財産の内容はもれなく開示することを心がけましょう。

「財産の詳細についてくわしく知らせないまま、遺産分割協議書に判子を押してほしいと頼んだところ、応じてもらえず、弁護士を付けて争ってきた。」というのはよく聞く失敗例です。

財産の全容がわからなければ、遺産の分け方を決めることはできず、判子を押すこともできないというのが普通です。

財産の開示をなあなあで済ませてしまうと、「他に隠している財産があるのでは」という不信感を持たれてしまう恐れがあります。

話し合いが決裂してしまうと解決までには長い時間がかかります。

また、隠すつもりは無くても、後で財産が見つかった場合、再度やり取りをして遺産分割協議を行うことになるため、相手方にも迷惑がかかります。

そのようなトラブルを避けるために、財産についてはきちんと調査を行った上で、こちらを参考に財産目録を作成し、資料と共にきちんと相手方に開示しましょう。

なお、当事務所(司法書士法人東京横浜事務所)では、連絡が取れない相続人がいるときの相続手続きについて、最初に送る手紙の作成や財産目録の作成・開示を含む疎遠な相続人とのやり取りをすべておまかせ可能な「相続まるごとおまかせプラン」をはじめとした相続手続き代行・サポートのサービスをご提供しております。ご相談は無料で承ります。

疎遠な相続人とのやり取りをまるごとおまかせしたい方はこちら

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遺産の分け方は法定相続分が基本

疎遠な方と遺産の分け方を話し合う場合、分け方は基本的に法定相続分がベースになると考えてください。

もちろん、相続人全員の合意があればどのような分け方をしてもいいので、相手方が譲歩してくれるのであれば、特定の方が多く貰う内容の遺産分割を提案してもいいでしょう。

しかし、話がこじれて遺産分割調停や審判になってしまうと、よほどの事情がない限り、ほぼ法定相続どおりの分け方になってしまうことがほとんどなので、「自分の希望を必ず通す」ことにこだわりすぎても、結局徒労に終わる可能性が高いです。

ただ、中には事情を汲んで相続を辞退される方もいるので、多く相続させてほしいとお願いしてみるぐらいはいいかも知れません。

お願いする場合、あくまでこちらの希望であり、応じてもらえると大変ありがたいが、受け入れられないなら法定相続できちんと分けるつもりである、という形で伝えればそれほど失礼にはならないでしょう。(それでも気分を害される方もいるので、慎重に考えた上で提案してください。)

こちらの都合ばかり主張しない

遺産の分け方を話し合う際は相手にも配慮することが大切です。

もちろん、故人と親密だった、介護等で多大な貢献をしてきた等の事情があるので、自分は多めに貰って当然だ、せめて不動産は自分が相続したい等の想いはあるかもしれません。

しかし、それはあくまでこちらの都合であり、相手には関係ありません。

上記のとおり、話がこじれてしまうと、時間や費用がかかった挙句、結局法定相続どおりの分け方になってしまった、という結果になる可能性が高いので、自分の意見ばかり強硬に主張することは得策とは言えません。

疎遠だった方には、被相続人や相続人に対して思うところがある、というケースも多いです。

人にはそれぞれ色々事情があるという事を頭に入れ、相手の主張にもしっかりと耳を傾け、お互いの落とし所を探す姿勢があれば、話し合いを無駄に長期化させず、また、遺恨を残さずに済むでしょう。

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貸金庫がある場合は早めに中身を確認する

故人が金融機関に貸金庫を持っている場合、出来るだけ早く中身を確認する必要があります。

というのも、貸金庫の中に遺言書や預金通帳などの相続に関する重要な資料が入っている可能性があるためです。

特に遺言書が入っていた場合、内容によっては今後の相続手続きに大きな影響を及ぼす可能性もあるため、まずは貸金庫の中身を確認することが最優先となります。

故人が契約していた貸金庫を開けるためには、通常、相続人全員の同意が必要になるので、相続人と連絡が取れたら、遺産の分け方を決める前に、関係者立会いのもと、貸金庫の中身を確認しましょう。

とは言え、連絡が取れない相続人がいる場合、相続人全員の同意が揃わず、早い段階での確認が難しいケースもあります。

このような場合、公証人に立会ってもらい、貸金庫の中身を確認した公証人がそれを公正証書にすることで、全員の同意が無くても貸金庫を開けることが可能です。(「事実実験公正証書」と言います。)

事実実験公正証書の作成によって貸金庫の中身を確認するためには、金融機関に事情を説明し、理解を得ることが必要なので、相続実務に精通した専門家に相談しましょう。

当事務所がサポートした連絡が取れない相続人がいる場合の貸金庫開扉の事例についてはこちらをご覧ください。

貸金庫の開扉・内容物の確認方法についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

自分たちで難しい場合は専門家に依頼する

連絡が取れない、取りづらい方がいる場合の相続手続きは、普通の方にとってはとても大変です。

戸籍調査や住所の調査が通常に比べてかなり大変な上、財産調査についても漏れがないようにきちんと行う必要があります。

何より、ほとんど(あるいは全く)面識のない方と連絡を取り、遺産の分け方というデリケートな事項について話をして、まとめなければならないというのは精神的に大きな負担となります。

下手に自分たちで動くより、最初から専門家に任せた方が上手くいくケースもあるので、自分たちでは手に負えないかも…と少しでも思うようであれば、相続に精通した専門家に手続きを依頼することも選択肢に入れましょう。

当事務所がお手伝いした疎遠な相続人がいる相続手続きの事例についてはこちらをご覧ください。

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遺産相続手続きを放置した場合のデメリット

疎遠な方の連絡先を探し出すのは大変だし、連絡を取るのも気が重い、家庭裁判所の手続きは面倒ということで、遺産相続手続きを先延ばしにしたいと考える方もいるでしょう。

しかし相続手続きを放置してしまうと、今は大丈夫でも、将来的に大きなトラブルにつながる可能性があります。

以下では、遺産相続手続きを放置した場合のデメリットの具体例を挙げます。

預貯金の払い戻しができない

口座の名義人が死亡したことを金融機関が知ると、口座は凍結され、引き出しはできなくなってしまいます。

凍結を解除するためには、戸籍謄本や相続人全員の印鑑証明書などの必要書類を揃え、相続手続きを行わなくてはなりません。

なお、2019年の民法改正により、相続預貯金の一部については相続人が単独で引き出せる制度(相続預貯金の仮払い制度)が始まっていますが、引き出せる金額には上限があるため、全額の引き出しにはやはり相続人全員の協力が必要になります。

不動産を売却できない

不動産が亡くなった方の名義のままになっていることはよくありますが、そのままでは不動産を売却することはできません。

売却のためには相続人への名義変更(相続登記)が必要ですが、相続人の中の特定の方が相続する場合は、登記の際に遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書を提出しなくてはなりません。

なお、法定相続分どおりの割合で相続登記する場合は遺産分割協議書や印鑑証明書の提出は不要ですが、共有状態になっている不動産を売却するためには共有者全員の同意が必要なため、結局他の相続人に連絡を取る必要があります。

相続税申告で不利益が生じることがある

遺産の額が一定額を超える場合、相続税の申告が必要になりますが、連絡が取れない方がいると、相続税の申告でも大きな不利益を被る可能性があります。

相続税の申告の際に大きな減税効果のある「配偶者控除」や「小規模宅地等の特例」の適用を受けるためには、相続税の申告期限内(相続開始の翌日から10か月以内)に相続人全員が実印で押印した遺産分割協議書(印鑑証明書添付)を申告書と一緒に提出する必要があります。

「配偶者控除」や「小規模宅地等の特例」は、適用できるか否かで、税額が数百万円、数千万円変わってしまう事もあるので、非常に大きなデメリットと言えます。

固定資産税や過料などの余計な負担が生じてしまう

先に述べたとおり、遺産分割協議が整うまでは特定の相続人への名義変更はできないため、相続登記はしないことが普通です。

しかしその状態でも、当然固定資産税は課税されます。

亡くなってからしばらくは故人名義のまま納付書が届くこともありますが、支払われない場合、役所が独自に調査をして、相続人の一人を代表者(納税管理人)に指定し、納税を求めてきます。

最終的に他の相続人が不動産を取得した場合でも、名義変更するまでに支払った税金の返還を求めることはできないので払い損という事もあり得ます。(不動産を取得した方や他の相続人に求償することはできます。)

また、2024年からは相続登記の義務化が予定されており、3年以内に相続登記をしなかった場合、10万円以下の過料を科される可能性があります。

こちらは登記をしないことに対するペナルティなので、本当に余計な負担でしかありません。

時間が経つほど解決のための手間や費用が大きくなってしまう

相続開始から長期間が経過してから、ようやく重い腰を上げて手続きをしようとしても、今以上に手続きが難航する可能性が高いです。

相続人の中に死亡した方がいればその方の相続人と連絡を取る必要がありますし、認知症になっている方がいれば、成年後見人等を選任してもらう必要があります。

関係者が増えたり、事情が込み入ってくるほど、当事者へ説明し、協力を得るのは難しくなってしまいます。

また、当初は仲の良かった相続人とも、事情の変化によって関係が悪化したり、疎遠になっている可能性もあります。

そうなってしまえば、問題解決のための手間や費用は今以上に大きくなることは間違いありません。

なお、当事務所(司法書士法人東京横浜事務所)では、連絡が取れない相続人がいるときの相続手続きについて、戸籍収集、財産調査、疎遠な方とのやり取りや遺産分割協議書の作成及び署名捺印の手配など、すべておまかせ可能な「相続まるごとおまかせプラン」をはじめとした相続手続き代行・サポートのサービスをご提供しております。ご相談は無料で承ります。

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残された家族が困らないよう遺言書を作成しておきましょう

ここまで、連絡が取れない相続人がいるときの相続手続きについて解説してきましたが、故人が生前に遺言書をのこしていれば、遺産分割協議は不要なので、このような面倒な手続きはほとんど行わずに済みます。

ただし、遺言書の記載に不備があると、やはり相続人全員の協力が必要になってしまうことがあります。

遺された家族に負担をかけないためにも、遺言書を作成する際は相続の専門家に相談の上、不備のないものを作成しましょう。

遺言書作成の際の注意点等についてくわしくはこちらをご覧ください。

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まとめ

今回解説したことを実践すれば、連絡が取れない相続人がいるときの相続手続きについて自分で行うことも可能です。

ただ、相続をめぐる事情は千差万別であり、本記事では書ききれないイレギュラーな事態も普通に起こります。

また、手続きのやり方はわかっても、そちらにかかりきりになるわけにもいかないという方も多いでしょう。

本記事を読んで、自分たちだけでは難しいと思われた方は、相続手続きの経験が豊富な専門家への相談・依頼を検討してみて下さい。

連絡が取れない相続人がいる場合は相続の専門家に相談を!

当事務所では、これまでに数多くの方から相続についてのご相談・ご依頼をいただいており、連絡が取れない相続人がいるときの相続手続きについても、多数のサポート実績があります。

当事務所がお手伝いした疎遠な相続人がいる相続手続きの事例についてはこちらをご覧ください。

自分でやろうとしたが無理そうなのでご相談に来られた・ご依頼されたお客様のお話を聞くと、「専門家に任せることでこんなに上手く行くなら費用はかかっても初めから依頼すればよかった。」という声を多くいただきます。

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連絡が取れない相続人がいる場合、ご自身たちで進めようとするとかえって事態が複雑化するケースも少なくないので、お早めに一度相談することをおすすめします。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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