亡くなった家族のポイントやマイルは相続できる?生前にできる対策は?

クレジットカードのポイントは相続できる?

クレジットカードのポイント、家電量販店やECサイト、ショップオリジナルのポイントなど、最近ではサービスを利用することで貯まる多種多様なポイントがありますが、これらのポイントは本人が亡くなった後はどうなるのでしょうか?

貯まったポイントは相続できる?

大量に貯めてから一気に使おうと考えているうちに本人が亡くなった場合、せめて貯めたポイントを家族の方が使用することができれば、故人も浮かばれるかもしれません。

本記事では、クレジットカードや各種サービスの利用で貯まるポイントやマイルについて本人死亡後の取り扱いと、生前にできる対策について解説します。

大切な人が亡くなった後は、大小さまざまな手続きに追われるため、ポイントのことまで頭が回ることは無いでしょうから、本記事を参考に今の内にポイントの処理について考えておきましょう。

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このような豊富な相談経験を活かし、お客様に必要な手続きと最適なサポートを提案させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

目次

亡くなった方が貯めたポイントは相続の対象?

最近では、顧客を自社のサービスに囲い込むために、各社独自のポイントサービスを提供しています。例として以下のようなものが挙げられます。

【ポイントサービスの代表的な例】

・クレジットカードの利用で貯まるポイント

・電子マネーやQRコード・バーコード決済の利用で貯まるポイント

・飛行機の利用や航空会社提携クレジットカードの利用で貯まるマイル

・家電量販店の利用で貯まるポイント

・スーパーや百貨店の利用で貯まるポイント

・ECサイトの利用で貯まるポイント

・携帯電話等の通信サービスの利用で貯まるポイント

・ドラッグストアの利用で貯まるポイント

・アパレルショップの利用で貯まるポイント

・小規模チェーン店や個人経営店独自のポイントカード

上記以外にも挙げればきりがないほど乱立気味のポイントサービスですが、これらのポイントについて本人の死亡後に家族が受け継いだり、使用したりすることは可能なのでしょうか?

ポイントは死亡によって失効するケースがほとんど

本人死亡後のポイントの取り扱いについては、規約によって失効する(本人以外は利用できない)と定めているか、そもそも死亡時の規定が無いところがほとんどです。

規約によって本人死亡時の取り扱いを定めていない場合は、ポイントは「本人の一身に専属する権利」(民法第896条)として相続の対象にはならないと解されます。

参考(相続の一般的効力)

第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

引用:民法|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

大量のポイントを貯めたまま亡くなってしまった場合、残念ながらあきらめるしかないというケースがほとんどです。

とは言え、サービス利用の際にポイントカードの現物を提示する形式の場合、ポイント使用の際に一々本人確認をされる事など稀でしょうから、ポイントの有効期限が切れていなければ家族の方が使用することはできてしまうかもしれません。

ただ、最近ではそもそもカードが発行されず、データのみで管理されていて、実店舗で利用する場合もスマホを提示する形式のサービスも増えてきています。

近年のキャッシュレス化の流れに伴い、今後はそのようなポイントサービスが主流になっていくと思われますので、本人の死亡後に家族がポイントを使用することはどんどん難しくなっていくでしょう。

なお、本人の死亡後に故人のクレジットカードを利用することは、例えポイント利用のためであっても重大な規約違反にあたり、後で相続人間でもトラブルになる可能性も高いので控えましょう。

クレジットカードの契約者が亡くなった場合は速やかにカード会社に連絡をして解約および清算の手続きを行いましょう。

契約者が亡くなった後のクレジットカードの解約手続きについてくわしくはこちら

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例外的に家族がポイントを引き継げる場合も

上記で本人死亡後のポイントはあきらめるしかないと解説しましたが、ポイントの取り扱いについては各社の規約によるので、規約で相続できる(家族が使用できる)となっていれば引き継ぐことができます。

また、規約によって死亡時のポイント失効を定めている場合や、そもそも規約が無い場合でも、独自の対応として家族によるポイントの引き継ぎや使用を認めている所もあります。

家族による引き継ぎ・使用を認めている例は少ないですが、一部の大手家電量販店などで死亡した家族のポイント合算を認めているケースもあるようなので、大量のポイントがたまっている場合は、有効期限が切れる前に、念のために問い合わせてみましょう。

マイルは相続できる

クレジットカードによっては、利用によってポイントではなく航空会社のマイルが貯まるカードや、貯めたポイントをマイルと交換できるカードがあります。

先に解説したとおり、ポイントについては相続の対象にならないことが原則ですが、マイルについては相続できる可能性があります。

マイルについても相続できるかどうかは各航空会社の規約によりますが、国内の最大手航空会社であるANA及びJALでは、いずれも相続人によるマイルの承継を認めています

参考

【ANA】

21条 会員の死亡

会員が死亡した場合、法定相続人は、会員が取得していたマイルを、所要の手続きが完了した時点で有効な範囲で承継することができます。その際、当該法定相続人は、故人である会員のマイルの相続権を有することを証明する書類を弊社に会員の死亡後6カ月以内に提示する必要があります。相続の申し出が前記の期間内になされない場合は、当該会員の積算マイルはすべて取り消されます。

引用: ANAマイレージクラブ会員規約|ANA

【JAL】

14条 合算不可

積算されたマイルを会員間で共有、合算および譲渡することはできません。ただしJALFCおよびJALカード家族プログラム登録会員は、そのプログラムの特典として、特典の引き換え時に限り、登録している家族会員間で積算マイルを合算することができます。また会員が死亡した際、法定相続人は所定の手続きにより会員のマイル口座に残る有効なマイルを相続することが可能です。

引用:JMB一般規約 |JALマイレージバンク

また、ANAと同じ航空アライアンス(スターアライアンス)に加盟しているユナイテッド航空では、遺族へマイルが付与される旨の規定があり、必要書類を提出することで相続人がマイルを承継することが可能です。

参考

7.蓄積されたマイル、…(中略)…会員が死亡または離婚した場合、ユナイテッドは、独自の裁量により、会員の蓄積されたマイルのすべてまたは一部を、ユナイテッドが納得する文書を受領し適格と認めた人物に、適用される手数料の支払いに応じて付与することがあります。

引用:マイレージプラスプログラムの規約|ユナイテッド航空

マイルを相続するためには、戸籍謄本等の必要書類を提出する必要がありますが、旅行が趣味の方などは大量のマイルを貯めていることがあるので、まずは確認してみましょう。

なお、ANAでは本人の死亡後6か月以内に書類を提出しなければ手続き自体ができなくなってしまいます。また、他の航空会社でもマイル自体の有効期限が切れている場合は相続することはできないので、期限内に手続きを行いましょう。

マイルの相続手続きについてくわしくはこちらをご覧ください。

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生前にできる貯まったポイントの有効活用方法

これまで解説したとおり、本人の死亡後はポイントは消滅してしまうのが原則です。

それでは、せっかく貯めたポイントを無駄にしないために生前にできる対策としてはどのようなものがあるのでしょうか?

以下に本人死亡によって失効するポイントについての生前対策をまとめました。

貯めずに使い切る

そもそもの話になってしまいますが、亡くなった時点でポイントが貯まっていなければ、このような心配する必要はありません。

極端なデフレでも起きない限り、時間の経過と共に物価は上昇するのが原則です。

物価が上昇するとその分ポイントの価値も目減りしてしまいます。また、そのうち使おうと思っているうちに有効期限が切れてしまう恐れもあります。

自分が貯めたポイントを自分のために使うことに文句を言う人は誰もいませんので、ポイントはあまり貯め込まず、どんどん使っていくことが一番の対策です。

また、死亡後のクレジットカードの解約手続きは意外と家族の負担になるので、あまり使用していないクレジットカードがある場合は、ポイントを使い切ったら思い切って解約して身辺整理しておくことをおすすめします。

家族間のポイント合算・共通化サービスを利用する

各社のポイントサービスの中には家族間でのポイントの合算や共通化、譲渡などが可能な所もあります。

自分があまり使う事が無くなったサービスでも、家族がよく利用するサービスであれば、貯めたポイントをより良い形で活用することができます。

貯めているポイントがこのようなサービスに対応している場合は、今のうちに家族にポイントを移しておくと喜ばれるかも知れません。

相続できるマイルに交換しておく

上記で解説したとおり、ANAやJALのマイルは相続の対象になります。

クレジットカードの中にはポイントとマイルを交換可能なものもあるので、どうしても使い道が思い浮かばず、ポイントの合算もできない場合は生前に交換しておくというのも一つの手かもしれません。

ただしマイルには有効期限があるので(通常は獲得した日から約3年間)、あまりにも早く交換してしまうと、相続発生前に期限切れになってしまうかもしれません。

遺言書を遺しておく

上記のとおり、ポイントはマイルに交換することで相続の対象になります。

しかし、せっかくマイルを遺しても、相続人がその存在に気が付かなければ意味がありません。

そこで、確実にマイルを引き継ぐための方法として、遺言書を遺すことをおすすめします。遺言書でその旨を明記しておけば相続人以外の方にマイルを受け継がせることも可能です。

遺言書は相続人の最期の意思を後世に伝えるためのツールであり、相続をめぐるトラブルを回避するためにも有効な手段ですので、ポイントやマイルの有無に関わらず、全ての方に作成することをおすすめします。

ただし、遺言書は内容によっては十分に効力を発揮しなかったり、かえってトラブルの原因になることもあります。作成する際は相続に精通した専門家に相談の上、円満相続を実現できる遺言を作成しましょう。

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相続対策に関するお悩み・ご相談は相続の専門家へ!

本記事では、本人が亡くなった後のポイントやマイルの取り扱いについて解説しましたが、正直なところ、大切な人が亡くなった後は、大小さまざまな手続きに追われるため、ポイントのことなど考える余裕は無いでしょう。

遺された家族の負担をできるだけ減らすためには、生前にクレジットカードの整理や遺言書を作成するなどの対策をしておくことが重要です。

ただ、間違った方法で対策をしてしまうと逆効果になってしまう事もあるので、遺言書作成や生前対策を実行する際は、一度相続の専門家に相談の上で、進めることをおすすめします。

円満相続を実現するための遺言書作成などの相続対策についてのご相談は当事務所で承ります。ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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