NISAの相続手続きについて
NISA口座の相続手続きを忘れずに!
2014年から開始された「NISA(少額投資非課税制度)」は、NISA口座内で購入した株式・投資信託から得られる利益を一定期間非課税とする個人投資家のための税制優遇制度です。
NISAの相続手続きはお早めに!
NISA口座の名義人の方が亡くなった場合、通常の証券口座と同様に相続手続きが必要になります。ここでは、NISA口座の相続手続きについてくわしく解説するとともに、死後手続き・相続手続きのつまずきポイントについても解説します。
2018年からはより少額・長期の投資に適した「つみたてNISA」が開始されたこともあり、利用されている方も多いと思いますので、本記事を参考にNISA口座の相続手続きを行っていただければ幸いです。
NISA口座の相続手続き等の死後手続き・相続手続きに関する無料相談実施中!
NISA口座の相続手続きをはじめとして、お客様にどのような手続きが必要なのかをご案内させていただくため、当事務所では無料相談を行っています。
当事務所では、株式・投資信託等の相続手続きに関して、数多くのご相談とご依頼を受けています。
このような豊富な相談経験を活かし、お客様に必要な手続きと最適なサポートを提案させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
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亡くなった後に必要なNISA口座の手続きとは?
NISA口座を開設している方が亡くなった場合、そのままでは売却したり、配当金・分配金を受け取ることはできません。
運用を続けたり、売却するためには、金融機関へ「非課税口座開設者死亡届出書」等の書類を提出して、相続人の口座へNISA口座内の株式・投資信託等を移管する必要があります。
相続人名義の“NISA口座”への移管はできない
上記のとおり、亡くなった方のNISA口座は解約して、口座内の株式等は相続人名義の口座に移す必要があります。ただし、故人のNISA口座内の株式等を相続人のNISA口座に移管することはできません。(NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAのいずれであっても同様です。)
相続が発生した時点でNISA口座内の株式等はすべて払い出された扱いとなるため、移管先の口座は相続人の「特定口座」または「一般口座」のいずれかになります。
NISA口座の相続手続きの流れ・必要書類
NISA口座の相続手続きの流れと必要書類は、相続の事情等によっても異なりますが、おおむね下記の通りです。
手続きの流れ
1. 金融機関に連絡をして、手続き書類を取り寄せる。
2. 戸籍謄本等の必要書類を収集する。
3. 未受領(未払)配当金明細書の請求を行い、相続の対象となる株式等の保有銘柄や数量を確認する。
4. 相続人間で遺産分割協議を行い、誰がどのような割合で株式等を相続するかを決める。(遺言書によって相続する場合は不要)
5. 相続人名義の証券口座がない場合は、あらかじめ被相続人と同じ金融機関に口座を開設しておく。
6. 金融機関所定の用紙に相続人全員で署名、押印して必要書類とともに提出する。
7. 書類等に不備がなければ2~3週間程度で相続人の口座に移管され手続き完了。
残高証明書の請求に必要な書類
・被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本(死亡の記載のあるもの)
・請求者が相続人であることがわかる戸籍謄本等
・請求者の実印および印鑑証明書(6ヵ月以内のもの)
・残高証明書等発行依頼書(金融機関所定の書類)
NISA口座の相続手続きに必要な書類
・被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本等
・相続人全員の戸籍謄本等
・相続人全員の印鑑証明書
・相続手続依頼書(株式等移管依頼書)
・非課税口座開設者死亡届出書
・遺言書(ある場合)*1
・遺産分割協議書(遺言書がない場合)*2
*1.遺言書がある場合の取り扱いは各金融機関で異なるため、それぞれお問い合わせください。
*2.遺産分割協議書はあった方がいいですが、絶対に必要なわけではありません。
なお、亡くなった方がNISA口座以外の口座(特定口座、一般口座)をお持ちの場合は、そちらも一緒に手続きを行うことになります。
株式の相続手続きについてくわしくはこちらの記事をご覧ください。
死後手続き・相続手続き代行についてくわしくはこちら
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NISA口座の相続の際の注意点
NISA口座内の株式等を相続する場合、いくつか気を付けるべきポイントがあります。
通常の証券口座の手続きとは異なるNISA口座特有の注意点もあるので、以下で解説します。
移管のための口座を開設する際の注意点
NISA口座内の株式等を相続するためには、相続人名義の口座が必要になります。
移管のための口座はどの証券会社のものでもいいということはなく、原則として故人の口座と同じ証券会社の口座しか指定できません。
例:亡くなった方が楽天証券のNISA口座で保有していた株式等
〇 相続人名義の楽天証券の口座(特定・一般)への移管
× 相続人名義の別の証券会社の口座への移管
そのため、相続するためには、あらかじめ(又は相続手続きと同時に)、故人がNISA口座を持っていた証券会社で受け取る方名義の口座を開設しておく必要があります。(すでに口座をお持ちの場合は改めて口座を開設する必要はありません。)
口座の開設はネットや郵送で行えるため、それほど難しくありませんが、申し込みの際に口座の種類を選ぶ必要があります。
NISA口座への移管ができないことは先に述べた通りですが、「特定口座」と「一般口座」のどちらを選べばいいか、また、源泉徴収の有無で迷われる方もいるかもしれません。
この点、「一般口座」や「特定口座・源泉徴収なし」を開設するメリットは普通の方にはほとんどないので、はじめて証券口座を開設される方は「特定口座・源泉徴収あり」を選んでおけば問題ありません。
株式を相続する際の口座開設の注意点についてくわしくはこちら
相続発生日までの含み益や配当金は非課税の対象?
相続が発生した時点でNISA口座内の株式等はすべて払い出された扱いとなります。
この時、NISA口座内の株式等に含み益(購入時からの値上がり益)があっても非課税となります。
また、相続開始日までに権利が確定した配当金・分配金については非課税対象です。
一方、相続人の口座へ移管した後に売却した場合は、課税口座内での取引となるため、相続時点の時価と比べて値上がりしていれば、利益分について課税されます。(詳しくは後記「売却の際の注意点」参照)
また、相続開始日翌日以降に権利が確定した配当金・分配金についても課税の対象となります。金融機関への連絡が遅れたために、NISA口座内の株式等の配当金が非課税で支払われることがありますが、この配当金は遡及して課税されます。
売却の際の注意点
NISA口座内の株式等を相続人の口座へ移管した後に売却する場合、タイミングに気を付けることはもちろんですが、相続した株式を売却して代金を分けるケース(換価分割のケース)では、他にも注意すべき点があります。
それは、売却した際に利益(譲渡益)が出た場合は、売却代金を受け取った相続人全員について確定申告が必要になるということです。
換価分割のケースでは、NISA口座内の株式等の移管先が「特別口座(源泉徴収あり)」であっても、譲渡益が出れば必ず確定申告が必要になるので気を付けましょう。
特に代表者(相続した株式等を実際に売却した人)以外の方は申告を忘れがちです。トラブルを防ぐために代表者の方は申告が必要なことを他の方に伝えておきましょう。
また、売却時の譲渡益は売却時の価格と取得価格の差額で判断しますが、NISA口座内の株式等を相続によって取得した場合、取得価格は相続発生日の時価となります。
通常の証券口座(特定口座・一般口座)内の株式等を相続した後に売却した場合は、被相続人が株式等を購入した際の価格が取得価格となるため、この点はNISA口座特有の注意すべきポイントです。
なお、株式等を相続した際に相続税を支払った方については、譲渡所得の計算時に、相続税額のうち一定の金額を取得費に加算することができます。(相続開始の翌日から、3年10カ月以内に株式等を譲渡した場合に限る。)
死後手続き・相続手続き代行についてくわしくはこちら
NISA口座内の株式等の相続税評価
遺産の総額が基礎控除額〔3,000万円+(相続人の人数+600万円)を超え、相続税の申告が必要な場合は、株式や投資信託もきちんと評価を行い、相続財産として計上する必要があります。これはNISA口座内の株式等であっても同じです。
上場株式等の相続税評価額は、相続開始日の終値など、下記の4つの価格の中から最も低い金額を選択することができます。
1. 相続開始日(亡くなった日)の終値
※相続開始日が取引所の営業日ではなかった場合は、前後で最も近い日の終値。(前後が同じ近さなら両日の終値の平均)
2. 相続開始日の当月の終値の平均
3. 相続開始日の前月の終値の平均
4. 相続開始日の前々月の終値の平均
2~4については、その月のすべての取引日(取引所の営業日)の終値の平均値を算出します。
NISAは相続対策にはならない?
先に述べたとおり、NISA口座内の株式等を相続した場合、相続開始日の時価が取得価格となります。
この仕組みは相続人にとってプラスに働くこともあればマイナスに働くこともあります。
具体的には以下の通りです。
(1)NISA口座内の株式等の相続発生日時点の時価が(故人が)購入したときより値上がりしていた場合。
例)故人が50万円で購入→相続時点で80万円に値上がり→相続人が100万円で売却
→通常の証券口座内の株式であれば値上がり益50万円に対して課税されるところ、20万円にしか課税されないため相続人にとってはプラス。
(2)NISA口座内の株式等の相続発生日時点の時価が(故人が)購入したときより値下がりしていた場合。
例)故人が50万円で購入→相続時点で30万円に値下がり→相続人が40万円で売却
→通常の証券口座内の株式であれば譲渡益なし(譲渡損)のため非課税のところ、10万円に対して課税されてしまうため相続人にとってはマイナス。
NISA、特につみたてNISAは長期保有を前提とした仕組みとは言え、相続発生のタイミングによっては最初の取得時より値下がりしているにも関わらず税金を支払わなくてはならない可能性もあります。(しかも損した分を、他の所得と損益通算することもできません。)
このことから、節税目的の相続対策として考えると、NISAは必ずしも最適とは言えません。
とは言え、株式や投資信託は長期で見れば基本的には値上がりすることが多く、生前に発生した配当金等は非課税なので、全体としてみると資産を増やす(=相続人に残せる財産が多くなる)という効果を期待できます。
投資商品による相続対策を検討する際は、NISA単体で考えるのではなく、生命保険やiDeCo(個人型確定拠出年金)等の直接的な相続(節税)対策となる制度・商品と併せて総合的に判断することをおすすめします。
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NISA口座の相続手続きその他の死後手続き・相続手続きのつまずきポイント
ほとんどの人にとって死後手続き・相続手続きを行うのは初めての経験でしょうから、思わぬところでつまづいてしまうことがあります。そこでここでは、NISA口座の相続手続きをはじめとする死後手続き・相続手続きを自分で行う場合につまずきやすいポイントについて解説します。ご自身で手続きを行うか悩まれている方は参考にされてください。
また、これを読んで自分には難しそうだな・・・と感じられた方はお早めに専門家に相談することをおすすめします。
死後手続き・相続手続きのつまずきポイントについて
死後手続き・相続手続きを、ご自身で行う場合多くの方がつまずくポイントとしては、主に以下の4つが挙げられます。
1
平日に役所や金融機関に行く時間が取れない。
死後手続き・相続手続きを自分で行う場合、戸籍等の請求や手続きに必要な書類の提出のために役所や金融機関、法務局などに足を運ぶ必要があります。
役所や法務局の窓口は17時過ぎには閉まってしまいますし、金融機関の窓口は、ほとんどの場合15時で閉まってしまいます。金融機関の中には14時までに受付をしないと駄目、というところもあります。
仕事や家事育児などで忙しい中、わざわざ時間を作って出向くのは厳しい…という方も多いのではないでしょうか。
2
戸籍等の必要書類を揃えたはずが、不備を指摘され、何度もやり取りをする羽目になった。
相続手続きの際は、戸籍謄本の他、遺産分割協議書や遺言書など、相続の状況によってさまざまな書類を提出する必要があります。
特に戸籍謄本については、昔のものは手書きで書かれており、判読しづらいため、すべての戸籍が揃ったと思い提出したところ、後になって金融機関から不足分の提出をお願いされてしまったという方も多いです。
また、戸籍や印鑑証明書は有効期限を設定している手続先が多いため、うっかり期限切れのものを提出してしまい、再提出が必要になってしまったというのはありがちなミスです。不備の確認に手間取った挙句、違う書類を提出してしまい、何度もやり取りをする羽目になってしまう方も少なからずいらっしゃいます。
3
遺産分割協議などで相続人間の調整が大変。
相続手続きについては、遺言書がある場合を除いて、原則として相続人全員で手続きを行う必要があります。
相続人が複数いれば、多くの場合、遺産分割協議書を作成することになりますが、知識のない一般の方が自分たちだけで協議を進めようとすると、分け方などをめぐって意見が一致しない場合に、手続きが止まってしまったり、最悪の場合、不信感から争いに発展してしまう事さえあります。
4
イレギュラーな事態が起きた場合に対応が難しい。
相続をめぐる事情は人によって異なるため、イレギュラーな事態は普通に発生します。例えば遺言書によって相続人以外の方への遺贈がある場合、相続人の中に未成年の方や認知症で意思能力の無い方がいる場合、相続人の中に行方不明者や長年疎遠で連絡を取りづらい方がいる場合などです。
死後手続き・相続手続きについて書かれた書籍やホームページには、基本的なケースについては記載されていても、イレギュラーな事態にどのような対応が必要かまでは書かれていないことがほとんどです。もし自分たちだけで手続きを進めようとすると、どのような手続きや対応が必要かについて、専門用語で書かれた書籍等を読み解き、理解しなければならず、大変な苦労が伴う事でしょう。
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死後手続き・相続手続きの代行を当事務所に依頼した場合
NISA口座の相続手続きをはじめとする死後手続き・相続手続きについては、上記のようなつまずきポイントがあるため、ご自身で行おうとしたものの、やっぱり専門家に依頼することにした、という方も多いです。
当事務所では、面倒な相続手続きをまるごとおまかせできる「相続まるごとおまかせプラン」をはじめとした相続代行サービスを提供しているので、NISA口座の相続手続きを含む死後手続き・相続手続き全般について代行・サポートが可能です。
NISA口座の相続手続きを含む死後手続き・相続手続きを、当事務所にご依頼いただいた場合の主なメリットは以下のとおりです。
メリット1
死後に必要な100種類以上の手続きについて正確に把握しているため、お客様にどの手続きが必要かをご案内することが可能です。お客様の方でどのような手続きが必要かを一つずつ確認する必要はありません。
メリット2
役所や金融機関、法務局とのやり取りは基本的に当事務所が行うため、お客様が連絡をしたり、窓口に行ったりする必要はありません。
メリット3
相続関係その他の事情によって異なる必要書類の内容や有効期限についても正確に把握しているため、不足書類の取得で手間がかかることはありません。
メリット4
公平な立場から、適切な遺産分割についてのアドバイス・サポートを行うので、わだかまりを残すことなく、円満な相続が実現できます。
メリット5
各相続人への連絡・説明や、必要書類の郵送手配なども当事務所が代行するため特定の方に負担が偏ることはありません。
メリット6
相続人多数のケースや、行方不明や疎遠な相続人がいるケースなど、これまでにあらゆる相続の事例を経験しているため、イレギュラーな事態にも柔軟かつ迅速に対応することができます。
メリット7
司法書士は、遺言の検認、成年後見制度の利用申し立て、特別代理人の選任その他の家庭裁判所での手続きについてもサポート可能なので、相続手続きをまるごとおまかせいただけます。
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NISA口座の相続手続きについてのよくある質問
ここからはNISA口座の相続手続きを含む死後手続き・相続手続きのご相談の際によく受ける質問を、Q&A形式で解説します。
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NISA口座の相続手続きで困ったら専門家に相談しましょう!
NISAは比較的新しい制度のため、相続についての記述があまりなく、相続手続きが必要になった際に戸惑われる方も多いかと思います。
株式や投資信託は時期によって大きく価格が変動するため、相続手続きに時間がかかってたことによって売り時を逃がしてしまうこともあり得ます。本記事を参考に、NISA口座についてもお早めに手続きを行っていただければ幸いです。
また、相続をめぐる事情は人によって千差万別であり、必要な手続きはそれぞれに異なります。また、手続きを難しいと感じるかも人それぞれです。
NISA口座の相続手続きを含む死後に必要な手続きについて、ご自身で行うのが難しいと感じている方、自分にどんな手続きが必要かわからないという方は、お早めに相続手続き全般に詳しい専門家へ相談することをおすすめします。
NISA口座の相続手続きをはじめとする相続手続きについてのご相談は当事務所で承ります。ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。
※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。
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