農協や信用金庫等の出資金の相続手続きとは?流れ、注意点を解説
出資金の手続きを忘れずに!
身近な人が亡くなった後は、大小さまざまな手続きが必要になります。
亡くなった方が農協や信用金庫等の組合員になっていた場合に必要な出資金の相続手続きもその一つですが、出資額が少額であることがほとんどのため、忘れられがちな手続きです。
出資金の相続手続きはお早めに!
ここでは、出資金の相続手続きについてくわしく解説するとともに、出資金の相続手続きをはじめとする死後手続き・相続手続きのつまずきポイントについても解説します。
出資金の相続手続き等の死後手続き・相続手続きに関する無料相談実施中!
出資金の相続手続きをはじめとして、お客様にどのような手続きが必要なのかをご案内させていただくため、当事務所では無料相談を行っています。
当事務所では、身近な人が亡くなった後に必要な死後手続き・相続手続きに関して、数多くのご相談とご依頼を受けています。
このような豊富な相談経験を活かし、お客様に必要な手続きと最適なサポートを提案させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
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出資金とは
出資金とは、農協や信用金庫等の組合、団体の構成員(組合員・会員)になるに際して、拠出(出資)したお金のことです。
農協や信用金庫等は組合員等による相互扶助を理念として、組合員等から集めた出資金をもとにして運営を行っています。
【加入に際して出資金が必要な団体の代表例】
・農業協同組合(JA/農協)
・信用金庫
・信用組合
・労働金庫
・森林組合
・漁業協同組合(JF/漁協)
・生活協同組合(生協/コープ、こくみん共済、県民共済など)
など
亡くなった方が上記のような団体の組合員・会員になっていた場合、死亡による脱退手続きに加え、出資金の手続きが必要になります。
身近な人の死亡後に必要な出資金の相続手続きとは
農協や信用金庫等の団体では、規約によって、出資をしている会員が亡くなった場合は脱退となる(法定脱退)と定められていることがほとんどです。
その際、出資金については相続人に払い戻されます。(規約に定めがあれば相続人への名義変更(相続加入)も可能です。)
組合員(会員)本人が亡くなった場合は、各団体に死亡の旨を届けるとともに、出資金について払い戻し等を受けるための相続手続きが必要になります。
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出資金の相続手続きの流れ、必要書類、注意点について
出資金の相続手続きの流れは、各団体によって、また相続のケースによっても多少異なりますが、おおむね以下の通りです。
※クリックするとそれぞれの手順についてのくわしい解説に移動します。
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以下、それぞれの手順について詳しく解説します。
出資証券、預金通帳等から出資金の存在を確認する
まずは、亡くなった方が出資をして組合員等になっていたかを確認しましょう。
確認するのは主に以下の資料です。
・出資証券(出資証書、出資証明書)
・配当金支払通知書
・預金通帳
出資証券は、出資した組合員等に氏名と出資金額が記載された書面です。これがある場合はほぼ間違いなく出資金があるとみていいでしょう。
また、出資をして組合員等になっている場合、出資金額に応じて年に1回配当金が出る場合があります。この場合は配当金の金額等を記載した「配当金支払通知書」等が届いていることがあるので故人宅を探してみましょう。
出資証券や配当金支払通知書が無い場合でも、他の資料から出資していたかをある程度判別する方法はあります。
まず、農協(JA)、信用金庫、信用組合、労働金庫等の「預金業務」を行っている団体(金融機関)では、ほとんどの場合、出資と同時に預貯金口座を開設しています。
これらの金融機関の通帳が見つかったら、預貯金の相続手続きの際に出資金についても確認しておきましょう。
また、上記の金融機関やその他の金融機関の通帳に「配当金」「出資配当」「割戻金」等の記載がある場合は出資金を持っている可能性があるので、通帳や取引履歴で振込元を確認して問い合わせましょう。
なお、農協や信用金庫等では、出資をして組合員等にならなくても口座を開設できるので、預貯金口座を持っているからと言って必ずしも出資金があるとは限りません。
また、口座解約時に組合員脱退の手続きを行っていないケースなどもあるので、農協や信用金庫等に口座を持っていなくても出資金を持っている場合も稀にあります。
組合員(会員)が死亡したことを連絡する
故人が出資していた団体がわかったら、各団体の問い合わせ窓口等に連絡して、組合員(会員)が死亡したことと、出資金の相続手続きをしたい旨を伝えましょう。
農協(JA)、信用金庫、信用組合、労働金庫等の金融機関の場合は、預貯金等の相続手続きの連絡と一緒に行えば大丈夫です。
また、出資金は相続財産として遺産分割協議や相続税課税の対象になるので、相続開始時点の出資金の額が確認できる残高証明書等を発行してもらいたい旨もあわせて伝えましょう。
(預貯金等の残高証明書とは別に請求が必要になります。)
必要書類を準備する
出資金の相続手続きに必要な書類等の案内を、郵送や店舗窓口等で受け取ったら、案内に従って戸籍謄本等を集めます。
出資金の相続手続きに必要な書類は、相続関係その他の事情によって多少異なりますが概ね以下の通りです。
なお、預貯金の相続手続きでも基本的に同様の書類が必要になります。
1
原則として必要な書類
被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本等(除籍謄本・改製原戸籍謄本含む) | 原則として被相続人が生まれた時から亡くなった時までの連続した戸籍謄本等。 ※法定相続情報一覧図による代用も可。 |
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相続人全員の戸籍謄本 | 亡くなった日以降に発行された相続人の現在の戸籍謄本。 被相続人と同一戸籍の方については不要。 ※法定相続情報一覧図による代用も可。 |
相続人全員の印鑑証明書 (発行後6か月以内のもの) | 相続人全員分 各1通 (海外にお住まいの方は、在外公館交付のサイン証明書・在留証明書等) |
出資証券等 | 紛失している場合は不要。 |
脱退届、加入届、出資持分請求書、念書等 | 各団体所定の書類。手続きの内容によって必要な書類が異なります。 |
2
場合によって必要な書類
【1】遺産分割協議が済んでいる場合
遺産分割協議書 | 相続人全員の署名押印(実印)がある原本 |
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【2】公正証書遺言による場合
a.遺言執行者なしの場合公正証書遺言書 | 家庭裁判所の検認は不要。 |
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b.遺言執行者ありの場合 ①公正証書遺言書 ②遺言執行者選任審判書 ③遺言執行者の資格証明書・印鑑証明書・身分証明書 | 遺言書で遺言執行者が指定されている場合は②は不要。 |
【3】自筆証書遺言による場合
a.遺言執行者なしの場合 ①検認済自筆証書遺言書 又は ②遺言書情報証明書 | 法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合は②、それ以外の場合は①。 |
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b.遺言執行者ありの場合 上記①又は②に加えて ③遺言執行者選任審判書 ④遺言執行者の資格証明書・印鑑証明書・身分証明書 | 遺言書で遺言執行者が指定されている場合は③は不要。 |
なお、手続きをする団体によっては、相続人全員の同意を必要とせず、代表者の署名押印のみで簡易的な手続きが可能な場合があります。(特に出資金の額が少ないケースで多いです。)
その場合、必要な戸籍や印鑑証明書等も簡略化されます。具体的には以下のような書類の提出を求められることが多いです。
■簡易的な手続きで必要な書類
被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本等 | 被相続人の死亡の事実がわかるもの。 ※法定相続情報一覧図による代用も可。 |
---|---|
被相続人と手続きをする方との関係がわかる戸籍謄本 | 亡くなった日以降に発行された相続人の現在の戸籍謄本等。 被相続人と同一戸籍の場合は不要。 ※法定相続情報一覧図による代用も可。 |
手続きをする方の印鑑証明書 | 原則として発行後6か月以内のもの。 |
出資証券等 | 紛失している場合は不要。 |
脱退届、支払請求書、念書等 | 各団体所定の書類。手続きの内容によって必要な書類が異なります。 |
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必要書類を提出する
戸籍等の必要書類が揃ったら、郵送又は窓口に持ち込んで提出します。預貯金の相続手続きが必要な場合は一緒に提出することができます。
また、戸籍謄本をはじめとするほとんどの書類が預貯金と出資金の両手続きで共通しますが、同一の書類は共通して利用できるため、2セット別々に準備する必要はありません。
相続税の申告が必要な方で、まだ出資金の金額がわかる証明書を発行してもらっていない場合は、この時にあわせて請求しておきましょう。
なお、多くの団体では本人の死亡によって自動的に脱退(法定脱退)となる、と定められており、出資金については払い戻しのみの対応としているところが多いですが、中には規約で相続人への名義変更(被相続人の出資金を引き継ぐこと。相続加入等と言います。)が可能と定められている団体もあります。
この場合は脱退して出資金の払い戻しを受けるか、相続人が引き継ぐかを選択することになります。
ただし、その場合でも一定期間内に名義変更(相続加入)の手続きをしなければ「法定脱退」となることがあるので、注意しましょう。
参考
(4)出資金の相続加入又は法定脱退
「相続加入」される場合は、相続の開始(死亡の日)から3ヶ月以内にお申し出ください。
なお、死亡した会員の相続人が複数人いる場合は、全相続人により承認された会員資格がある1名に限り、相続加入することができます。
期限内にお申し出がない場合は、「法定脱退」となります。
※相続加入の場合は、「出資申込書」等に相続加入者様自身の署名押印が必要となります。
払戻又は名義変更(相続加入)が行われ、手続き完了
提出書類に不備が無ければ、払い戻しや名義変更等が行われ、手続き完了となります。相続のケースによっては、追加の書類提出を求められることもあります。
なお、脱退して払い戻しを受ける場合は、書類の提出後かなり時間が経ってから振込が行われることがあります。
場合によっては1年以上後に振り込まれることもあるので、振込先として指定した口座を解約したりしないよう注意しましょう。(出資金の振込みの時期についてくわしくはこちら)
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払戻額について
組合等を脱退して出資金の払い戻しを受ける場合、基本的には故人が出資した金額がそのまま払い戻されます。
ただし、出資した団体に財務内容の悪化等の事情がある場合は、出資した金額(出資証券等に記載されている金額)よりも減額されて支払われる可能性はあります。
また、万が一出資している団体が破綻した場合は払戻しを受けられない可能性もあるので、早めに手続きを行っておきましょう。(出資金は預金ではないので、預金保険法による保護の対象外です。)
払い戻しの時期に注意
出資して加入する団体の多くでは、出資金の払い戻し(脱退)は、事業年度(4月~3月のところが多い)終了後に行われる通常総会(または総代会)の承認後に行うとしています。
通常総会(または総代会)の開催は年1回のため、手続きをする時期によっては書類提出から1年以上経ってから振り込まれることもあります。
特に農協、信用金庫、信用組合、労働金庫などの金融機関系では、預貯金の払い戻しからかなり時間が経った後に振り込まれることになるので、出資金のことをすっかり忘れて振込先として指定した口座を解約したりしないよう注意しましょう。
なお、一部の農協(JA)など、団体によっては一定の条件(出資金を相続する方が営業地域外に居住している等)のもと、総代会の承認を待たずに払戻しするなどの対応をしているケースもあるようです。詳しくは各団体にお問い合わせください。
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出資金の相続税評価
出資金は脱退の際に金銭で払い戻しがされるので、経済的価値があるものとして相続税の課税対象になります。
出資金の相続税評価額は、「払込済みの出資金の額」です。相続開始時点の残高証明書に記載の金額がそのまま相続税評価額になります。
なお、出資金の残高証明書は、預貯金の残高証明書とは別に請求が必要なことがほとんどなので、忘れずに請求しておきましょう。
出資金の相続手続きその他の死後手続き・相続手続きのつまずきポイント
ほとんどの人にとって死後手続き・相続手続きを行うのは初めての経験でしょうから、思わぬところでつまづいてしまうことがあります。そこでここでは、出資金の相続手続きをはじめとする死後手続き・相続手続きを自分で行う場合につまずきやすいポイントについて解説します。ご自身で手続きを行うか悩まれている方は参考にされてください。
また、これを読んで自分には難しそうだな・・・と感じられた方はお早めに専門家に相談することをおすすめします。
死後手続き・相続手続きのつまずきポイントについて
死後手続き・相続手続きを、ご自身で行う場合多くの方がつまずくポイントとしては、主に以下の3つが挙げられます。
1
平日に役所や金融機関に行く時間が取れない。
死後手続き・相続手続きを自分で行う場合、戸籍等の請求や手続きに必要な書類の提出のために役所や金融機関、法務局などに足を運ぶ必要があります。
役所や法務局の窓口は17時過ぎには閉まってしまいますし、金融機関の窓口は、ほとんどの場合15時で閉まってしまいます。金融機関の中には14時までに受付をしないと駄目、というところもあります。
仕事や家事育児などで忙しい中、わざわざ時間を作って出向くのは厳しい…という方も多いのではないでしょうか。
2
金融機関や役所の担当者に間違った案内をされても気づかない。こちらが正しいことをうまく説明できない。
相続をめぐる事情は十人十色のため、イレギュラーな事態は普通に発生するのですが、手続先の担当者は法律家や相続の専門家ではないことがほとんどのため、基本的にマニュアルに沿った対応しかできず、イレギュラーな事があると、確認に時間がかかったり、最悪の場合、間違った対応をされてしまう事さえあります(本当は不要な書類を提出してくれと言われたりとか)。そのような対応をされた場合でも、間違っていることがわからなければ、指示に従わざるを得ないでしょうから無駄な手間がかかることになります。
また、仮に相手が間違っていることが明らかでも、こちらが正しい事をきちんと説明してスムーズに手続きを進めてもらうよう取り計らうのは、一般の方には難しいでしょう。そのような要領を得ないやり取りは、思った以上に非常にストレスになるものです。
3
手続きの分担をめぐって不公平感が生じてしまう。特定の方に手続きの負担が偏ってしまう。
相続人の方が複数いる場合、死後手続き・相続手続きを行うにあたって、公平に分担することができればいいのですが、実際には仕事の忙しさや、居住地の関係などの事情から特定の方に負担が偏ってしまいがちです。
また、代表者の方が主に書類の手配や手続先とのやり取りを行うケースも多いのですが、財産は等分なのに自分ばかり負担が大きいということで、不満がたまり、手続き後もわだかまりが残ってしまうことがあります。特定の方への負担の偏り、手続きの分担をめぐる不公平感は、見落とされがちですが重要なつまずきポイントです。
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死後手続き・相続手続きの代行を当事務所に依頼した場合
出資金の相続手続きをはじめとする死後手続き・相続手続きについては、上記のようなつまずきポイントがあるため、ご自身で行おうとしたものの、やっぱり専門家に依頼することにした、という方も多いです。
当事務所では、面倒な相続手続きをまるごとおまかせできる「相続まるごとおまかせプラン」をはじめとした相続代行サービスを提供しているので、出資金の相続手続きを含む死後手続き・相続手続き全般について代行・サポートが可能です。
出資金の相続手続きを含む死後手続き・相続手続きを、当事務所にご依頼いただいた場合の主なメリットは以下のとおりです。
メリット1
死後に必要な100種類以上の手続きについて正確に把握しているため、お客様にどの手続きが必要かをご案内することが可能です。お客様の方でどのような手続きが必要かを一つずつ確認する必要はありません。
メリット2
役所や金融機関、法務局とのやり取りは基本的に当事務所が行うため、お客様が連絡をしたり、窓口に行ったりする必要はありません。
メリット3
相続関係その他の事情によって異なる必要書類の内容や有効期限についても正確に把握しているため、不足書類の取得で手間がかかることはありません。
メリット4
これまでの相続手続きの豊富な実績から、手続先の担当者に間違った案内をされても、根拠をもって正しい対応を求めることが可能なため、余計な時間や手間がかかりません。
メリット5
各相続人への連絡・説明や、必要書類の郵送手配なども当事務所が代行するため特定の方に負担が偏ることはありません。
メリット6
手続きの進捗については、定期的に報告させていただきますので、安心してお仕事や家事育児等に専念できます。
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出資金の相続手続きについてのよくある質問
ここからは出資金の相続手続きを含む死後手続き・相続手続きのご相談の際によく受ける質問を、Q&A形式で解説します。
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出資金の相続手続き等で困ったら専門家に相談しましょう!
出資金の相続手続きは、預貯金の相続手続きと一緒に進めればそれほど手間のかかる手続きではないので、本記事を参考にすればご自身でも手続きできると思います。
また、出資金は少額であることがほとんどなので、放置したとしてもトラブルになることは少ないかも知れません。
しかし、相続をめぐる事情は人によって千差万別であり、必要な手続きはそれぞれに異なります。手続きの中には放置することで将来重大なトラブルにつながるものもあります。また、どの手続きを難しいと感じるかは人それぞれです。
出資金の相続手続きを含む死後に必要な手続き、特に専門的知識が必要な相続手続きについて、ご自身で行うのが難しいと感じている方、自分にどんな手続きが必要かわからないという方は、お早めに死後手続き・相続手続き全般に詳しい専門家へ相談することをおすすめします。
出資金の相続手続きを含む相続手続きについてのご相談は当事務所で承ります。ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。
※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。
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