相続手続きに必要な戸籍の種類と集め方

意外に手間のかかる戸籍集め

相続手続きの中でも、不動産の名義変更、預貯金の解約・名義変更、自動車の名義変更、株式の名義変更などでは『亡くなった方の出生から死亡までの戸籍』が必要になります。

ここでは戸籍の種類と戸籍を取り寄せる具体的な方法について解説します。

時には膨大な数の戸籍が必要になることもあります

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戸籍集めをはじめとして、お客様にどのような手続きが必要なのかをご案内させていただくため、当事務所では無料相談を行っています。

当事務所では、身近な人が亡くなった後に必要な死後手続き・相続手続きに関して、数多くのご相談とご依頼を受けています。

このような豊富な相談経験を活かし、お客様に必要な手続きと最適なサポートを提案させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

目次

戸籍の種類

戸籍とは、個人の親族的身分関係を明確にするために、氏名、生年月日、血族関係、婚姻関係、などの情報が登録・記載された公文書のことです。

かつて戸籍は『家』を単位として作られていましたが、時代の変遷に従って現在では夫婦とその未婚の子供を単位として作られることが基本となっています。

金融機関や我々専門家もお客様に説明する際は、わかりやすくひとまとめに『戸籍』ということが多いですが、戸籍には以下の種類があります。

現在戸籍(現戸籍、単に戸籍と呼ぶことも)

その名の通りコンピュータ化による改正が行われた後の現行の戸籍のことです。相続手続き以外で戸籍が必要な場合、通常は現在戸籍のことを指します。

現在の本籍地で請求できます。

除籍

転籍、婚姻、死亡などの理由によって、その戸籍に記載されている全員がいなくなったため閉鎖された戸籍のことです。

現在では閉鎖されてから150年間保存されることになっています。

相続手続きの際に銀行の担当者から『亡くなった方の除籍を取ってきてください』と言われることがありますが、これは除籍謄本のことではなく『亡くなった方の除籍(死亡)の記載のある戸籍謄本』のことを指している可能性が高いので注意が必要です。

※亡くなった方に配偶者や未婚の子供がいれば現在戸籍は閉鎖となりません。

閉鎖された時の本籍地で請求することができます。

改製原戸籍(かいせいげんこせき、はらこせき)

法律の改正による形式の変更(=改製)がされる前の、古い形式の戸籍のことです。

最近では平成6年に戸籍法の改正があったため、相続手続きの際はこの改製原戸籍も必要になることがほとんどです。

本来は『げんこせき』と読みますが、実務上『現戸籍』と区別するため『はらこせき』と呼ぶ方が多いです。

改製された時の本籍地で請求できます。

戸籍の附票

その戸籍が作成されてからの住所移転がすべて記載された文書のことです。

正確には住民基本台帳法に基づく記録であり、戸籍とは異なります。相続手続きでは、主に連絡先のわからない相続人の現住所調査のために取得します。

それぞれの本籍地で請求できます。

戸籍の附票の保存期間は、以前は除票(その戸籍から構成員全員がいなくなること)になってから5年間でしたが、法令の改正に伴い、令和元年6月20日より150年間に延長されました。

ただし、平成26年3月31日以前に除票となったものについては、保存期間の経過により、原則として取得できません。

なお、自治体によっては保存期間経過後も独自に保存を続けていることがあり、その場合は今でも請求可能です。

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具体的な戸籍の収集方法

それでは相続手続きで必要な『亡くなった方の出生から死亡までの戸籍』の取得方法について説明します。

窓口で請求する場合

1

亡くなった方の本籍地の役所の窓口に行き、担当者に『相続手続きに必要なので、(亡くなった方の)出生から死亡までの戸籍をとれるだけ全部くださいと伝えて、所定の用紙に記入しましょう。

2

身分証などの必要書類を提示して、戸籍が出てきたらこれで必要な書類は全部そろっていますか?次はどこに請求すればいいですか?と聞きましょう。

基本的に上記1を伝えればその役所にある必要な戸籍類がすべて出てきますが、担当者が不慣れな方だと漏れがあるかもしれないので念のため確認しておきましょう。

また、特に古い戸籍は解読するのに時間がかかることがありますが、次の請求先がわかれば少しでも手続きを早く進めることができるので、聞いておきましょう。

担当の方がその場で一番古い戸籍を確認して、それが出生時の戸籍でなければ次にどこの役所に請求すればいいか教えてくれるはずです。

■必要書類

本人確認書類(免許証等の身分証)

亡くなった方との関係を証明する書類

 ※請求者自身の戸籍謄本等、ただし亡くなった方と同一戸籍の場合は不要

代理人による請求の場合は委任状

※亡くなった方と請求する方の関係によって異なる可能性があるため詳しくは各役所へお問い合わせください。

■手数料

・戸籍謄本 450円

・除籍謄本 750円

・改正原戸籍750円

・戸籍の附票100~500円

※戸籍の附票の発行手数料は役所によって異なるのでそれぞれのホームページなどで確認してください。

■死亡時の本籍地が不明な場合

死亡時の本籍地がわからない場合は、死亡時の住所地の役所で、本籍が記載された(本籍の記載が省略されていない)住民票を取得すればわかります。

郵送で請求する場合

1

各役所のホームページまたは電話で、必要書類、手数料等を確認する。

2

各役所のホームページから申請書の書式をダウンロードして記入する。

  • ダウンロードできない方は必要事項を紙にもれなく記入して送れば大丈夫です。

3

発行手数料分の定額小為替準備する。

  • 定額小為替は郵便局で購入できます。1枚100円の発行手数料がかかります。
  • 相続手続きの場合、何通必要になるかわからないことが多いので多めに入れておいた方が安心です。(3000円もあれば大体足ります)差額は定額小為替で返還してくれます。
  • 定額小為替が不足した場合、不足分を追加で送れば発行してくれますが、その分返送までに時間がかかるのでお急ぎの方は注意してください。

4

返信用の封筒を準備して切手を貼る。

  • 封筒のサイズに決まりはありませんが、通常はA4横3つ折りサイズ(長形3号)又はA4サイズ(角形2号)を使用することが多いです。戸籍を折りたくない方は角形2号を使用しましょう。
  • 戸籍の数がわからない場合は、切手は念のため多めにしておいた方がいいでしょう。戸籍が2~3通であれば140円、4~5通になっても205円あれば足りることがほとんどです。
  • 郵便料金を負担すれば速達で送ってもらうことも可能です。

5

必要書類をすべて封入して役所あてに送る。

  • 書類等に不備がなければ、普通郵便でも大体4日~1週間程度で届くはずです。

■必要書類

本人確認書類のコピー

亡くなった方との関係を証明する書類(請求者の戸籍謄本等)

※不要な場合もあります。何が必要かは故人との関係や役所によっても異なるのでそれぞれの請求先へお問い合わせください。

手数料分の定額小為替

返信用封筒(切手を貼ったもの)

代理人による請求の場合は委任状

■手数料

窓口の場合と同じ

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戸籍収集の際の注意点

戸籍集めは、亡くなった方の相続関係や転籍等の事情で難易度が大きく変わります。

ご自身で請求される際は、以下の注意点を頭に入れておきましょう。

一つの役所ですべての戸籍が揃うことはあまりない

多くの方は亡くなるまでに一度は転籍されているため、出生から死亡までの戸籍が一か所でそろうことはあまり多くありません。

何度も引っ越しを繰り返している方では、10ヶ所以上の役所から請求しなくてはいけないということもあります。

調べ始めたら思っていたより時間がかかったということもよくあるので、特に相続税の申告の必要がありそうな方などは余裕をもって調査を始めた方がいいでしょう。

相続関係によっては被相続人以外の戸籍の収集が必要な場合もある

相続人が子供(および配偶者)であれば、被相続人(亡くなった方)以外の戸籍は基本的には現在戸籍のみで足りるので、収集することはそれほど難しくないかもしれません。

しかし相続人が直系尊属(父母や祖父母)または兄弟姉妹であれば、相続人であることを確定するために、すでに死亡している直系尊属等の戸籍が必要になることがあります。

特に兄弟姉妹が相続人になる場合は、少なくとも直系尊属についての出生から死亡までの連続した戸籍が必要になるため、戸籍の収集にかなりの時間を費やすことは覚悟しましょう。

相続関係によっては請求理由の詳細や追加資料を求められることがある

被相続人(亡くなった方)の戸籍についてはあまり問題になりませんが、相続人の戸籍を請求する場合、相続関係によっては役所から請求が必要な理由を電話で尋ねられることがあります。

戸籍は、正当な理由があれば自分以外のものでも請求可能であり、「相続手続きのため」というのは正当な理由にあたるので、当然請求することができます。

しかし、特に兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合、一見すると関係のない第三者の戸籍を請求しているように見えることがあり、役所から相続関係等の確認の電話が入ることがあります。

ほとんどの場合、電話で相続関係等を説明すれば発行してくれますが、場合によっては正当な理由があることを証明するための資料(疎明資料)を提出して欲しいと言われることがあります。(取得済みの戸籍謄本や遺言書など)

また、担当者が不慣れな場合、正当な理由があるにもかかわらず、「その戸籍は発行できない」等と言われることが稀にあります。

相手方の勘違いなので、正当理由がある事を根拠とともに説明すればいいのですが、よくわかっていない方に上手く説明するのは骨の折れる作業です。

役所とのやり取りに煩わされたくない方は、相続の専門家に戸籍収集を依頼されることをおすすめします。

どうしても戸籍が辿れない場合もある。行き詰まったら専門家に相談を

保存期間の経過や戦争や災害による消失で、どうしても戸籍が辿れない場合もあります。

また、無事戸籍を収集できても、戸籍の解読は慣れない方には苦労を伴う作業です。特に古い戸籍は手書きのため達筆すぎて解読が難しいこともよくあります。

それぞれ対応策はありますが、事情によっても異なるため、一般の方には難しいことが多いです。戸籍収集や相続人の確定作業で行き詰まったときは、無理をせず早めに専門家へ相談されることをおすすめします。

戸籍収集や相続人の調査についてのご相談は当事務所で承ります。ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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