幼い頃に生き別れた父が死亡、財産の詳細が全く分からない・・・【幼い頃に離婚して以来音信不通の父親の相続手続きが必要なケース】

音信不通だった父の相続手続きを一人でしなければならない…

ご相談前の状況

お父様が亡くなられた方からのご相談。

相続人はお子様一人のみ。

父と母は幼い頃離婚しており、以来音信不通の状態で、亡くなってから数日後に警察からの連絡ではじめて死亡したことを知ったとのこと。

物心つく前に生き別れたため、父についての記憶が全くなく、住所も今回初めて知ったという状態で、何をどうすれば良いかわからず、途方に暮れて相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 父についての情報が全くないため、自宅を捜索して財産や債務の状況を調べることから始めなければならない。
  • 債務の方が多いようであれば、相続開始を知ってから3か月以内に相続放棄の手続きを行わなくてはならない。
  • 不動産収入を得ていた形跡があるので、相続開始から4か月以内に故人の確定申告(準確定申告)を行わなくてはならない。
  • 遺産の額によっては、相続開始から10か月以内に相続税の申告を行わなくてはならない。
  • 不動産をいくつか所有していて、かつ売却した形跡があるので、一つずつ調査をして譲渡所得の申告などの必要な手続きを確認しなくてはならない。
  • 今後利用する予定もないので、相続した不動産は早期に売却したい。

当事務所からのご提案

亡くなった方と生前の交流がほとんど(あるいはまったく)なかった場合、まずは自宅等を捜索して財産や債務の手がかりとなる資料を探すことから始めなければなりません。

万が一、借金等の債務の方がプラスの財産を上回る場合は相続放棄することを検討すべきですが、相続放棄には相続開始を知ってから3か月以内という期限があるので、迅速に対応することが求められます。

幸いこのケースでは、過去の通帳や確定申告書の控え等が見つかり、故人には十分な収入があり、契約している携帯電話やクレジットカードの支払い、マンションの管理費などの他に大きな借金等はなさそうという事が確認できました。

そこで当事務所で、戸籍収集、金融機関の調査及び解約払い戻し、各種契約の解約や債務の清算など、死亡後に必要な一切の手続きを代行させていただくことを提案しました。

また、相続税の申告が必要と思われたので、当事務所で相続に強い税理士をお繋ぎし、相続税の申告もサポートさせていただくことになりました。

さらに、相続した自宅マンションについても、すでに生活の拠点が別にあり、今後利用する予定もないとのことでしたので、当事務所で相続登記だけでなく、売却のサポートもさせていただくことになりました。

故人が自宅以外の不動産を所有していた場合に気を付けるべきことは?

このケースでは、故人は不動産の購入が趣味だったようで、自宅から複数の不動産に関する売買契約書等が見つかりました。

もし亡くなった年やその前に不動産を売却していた場合、譲渡益(不動産売却による利益、もうけ)が出ていれば、確定申告が必要になります。

また、賃貸借契約書等の資料も見つかったことから、故人は生前に家賃収入を得ていたものと思われました。年間の賃料収入が一定額を超える場合もやはり確定申告が必要になります。

亡くなった方の確定申告は、準確定申告と言って、死亡を知った日から4か月以内に相続人から申告する必要があります。

確定申告の際には、自分で収入や経費を計算して、関係資料とともに提出する必要があります。

ただこのケースでは、そもそも複数の不動産のうちどの物件を現在も所有しているのか、賃貸しているのか、いつ売却したのかが全く分からない状況でした。

そこで、当事務所で、資料に記載のある不動産について、片っ端から登記情報を取得し、また、不動産のある自治体に対して名寄帳を請求し、現在の権利関係や売却の時期について調査することになりました。

また、預金通帳や賃貸借契約書、過去の確定申告書の控え等から賃料収入を確認し、税理士をお繋ぎして準確定申告の手配も行うことになりました。

このように解決しました

  • 自宅から見つかった資料を一つずつ精査して、財産や債務の状況を確認しました。
  • 資料で確認できた金融機関に連絡を取り、口座の有無の確認や残高証明書・取引履歴の請求等を行いました。
  • 資料で確認できた不動産について、登記情報や名寄帳の取得を行い、現在の権利関係についての調査を行いました。
  • 戸籍収集、金融機関の解約、不動産の名義変更(相続登記)など、必要な相続手続きはすべて代行しました。
  • クレジットカードの解約・清算や、マンション管理費の清算など、各種契約の解約や債務の清算なども一括して代行しました。
  • 相続に強い税理士をお繋ぎし、故人の準確定申告及び相続税の申告についても期限内に終えることができました。
  • 利用予定のない不動産について、信頼できる不動産会社をご紹介させていただき、無事、早期に売却することができました。

担当者からのコメント

このケースのように、生前、被相続人(亡くなった方)との交流がほとんどない場合、自宅を捜索して資料を集め、内容を精査することから始めなくてはなりません。

ましてやこのケースのように相続人が一人しかいない場合、全ての手続きを一人で行わなくてはならず、仕事や家事育児で忙しい方にはほぼ不可能と言ってもいいでしょう。

自分でやろうとしたが、いたずらに時間を消費し、体力や気力を浪費しただけで手続きは一向に進んでいない、というケースも珍しくありません。

亡くなった方と生前の交流がなく、財産の詳細がわからない場合は、お早めに相続の専門家に相談しましょう。

当事務所では、財産調査から名義変更まで面倒な相続手続きを一括して代行可能な「相続まるごとおまかせプラン」をはじめとした相続サポート・代行サービスを提供しています。

故人と疎遠なケースでの相続手続きでも、名前と住所以外は一切不明の状態で、自宅の捜索から開始して相続税の申告まで完了した事例など、多数のサポート実績があります。

ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

相続まるごとおまかせプランについてくわしくはこちら

相続財産の調査方法についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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