遺言書に従い遺産の一部について寄付するにはどうすればいい?【遺言書で遺産の一部についてのみ指定があるケース】
遺言で指定されていない部分はどうしたらいい?
ご相談前の状況
お姉様が亡くなられた方からのご相談。
子供はおらず、配偶者もすでに亡くなっているため相続人は妹二人。
財産の約半分を公益法人に寄付する旨の公正証書遺言があるものの、それ以外の財産については指定がないため、どのようにすればいいかわからないという事で相談にいらっしゃいました。
問題点
- 遺言書がある場合、原則として遺言に従って手続きを行う必要がある。
- 遺言書ですべての財産について指定されていない場合は、指定のない財産については相続人全員による話し合いの上、手続きを行う必要がある。
- 遺言で指定された財産と残りの財産が不可分の場合、どのように手続きを行うかについて、金融機関とも調整の上、検討する必要がある。
当事務所からのご提案
亡くなった方が遺言書を遺していた場合、基本的には、遺言に従って手続を行うことになります。
しかし、遺言ですべての財産について分け方・取得者を指定していない場合や、財産の特定が不十分な場合は、指定・特定されていない財産について、相続人全員で遺産分割協議を行って分け方を決める必要があります。
今回は、故人の財産について、公益法人に寄付(遺贈)する旨と、遺言執行者についての記載はあったものの、文脈的に財産のすべてを寄付するとは解釈できない内容でした。
また、故人の財産は金融機関1行の預貯金口座がほとんどすべてで、遺言では口座の特定もされていなかったため、遺言だけでは解約手続きができない状況でした。
遺言執行者は遺言の内容を実現することが仕事ですが、遺言にない事まで行うことはできません。
そこで、当事務所で、金融機関や遺言執行者である弁護士と連絡を取り、手続き方法について調整の上、金融機関の解約及び預貯金の分配を含む相続手続きをまるごとサポートさせていただくことを提案しました。
このように解決しました
- 金融機関に連絡を取り、公正証書遺言に加えて、相続人全員による遺産分割協議書を提出することで手続きが可能であることを確認しました。
- 遺言執行者である弁護士との調整の結果、当事務所で解約した後、寄付金相当額を弁護士の口座に振込み、寄附を行う事で合意が取れました。
- 戸籍謄本や遺産分割協議書等の必要書類の手配を整え、金融機関に提出しました。
- 預貯金解約後の、寄付金相当額の送金、残りの預貯金の分配まで当事務所で代行させていただきました。
- 相続税の申告が必要だったため、相続に強い税理士をご紹介し、無事申告を完了することができました。
担当者からのコメント
遺言書がある事で、遺された相続人の争いのリスクや手続き面での負担は大きく軽減されることが通常ですが、このケースのように遺言の内容が不十分な場合、かえって争いの原因になったり、手続きの負担が増えることもあります。
遺言は、単に法的要件に不備が無いよう注意して、分け方を指定しておけばいいというものではなく、遺言によってトラブルにならないか、手続きの負担が増えないか、という事まで気を配る必要があります。
とは言え、普通の方があらゆる相続のケースを検討して不備のない遺言を作成することはとても難しい作業です。
また、このケースのように公証人が作成した遺言で、かつ作成に弁護士が関与していても、問題が起きることもあります。
せっかく遺言を遺すのであれば、自分の意思を確実に実現するというだけではなく、遺された方に負担をかけないような遺言を遺すべきです。
遺言を作成する際には、単に法律知識があるだけではなく、本当に相続手続きに詳しい専門家に相談することを強くおすすめします。
当事務所には、年間100件以上の相続手続きの経験のある国家資格者など、相続に精通した専門家が在籍しております。
ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。
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