借地の相続、登記以外に何が必要?【借地権を相続したケース】

借地権を相続したら登記以外にどのような手続きが必要?

ご相談前の状況

お父様が亡くなられた方からのご相談。

相続人はお母様とお子様、代襲相続人であるお孫様2人。

遺産の中に借地とその上に建っている建物があるため、名義変更登記が必要だとは思うものの、登記以外の手続きが必要かについて不安があるという事で相談にいらっしゃいました。

また、お孫様二人は離れて暮らしているため、必要書類の手配などでどれだけ手間がかかるのかも心配しているとのことでした。

問題点

  • 借地権については相続登記とは別に、地主に連絡を取り、名義変更手続きを行う必要がある。
  • 離れて暮らしている相続人がいるが、必要書類の手配などで必要以上の手間をかけるのは避けたい。

当事務所からのご提案

他人が所有している土地の上に自分名義の建物が建っている場合、地主(土地所有者)に対して地代を支払っていれば、建物所有者には「借地権」という権利が発生します。

借地権については借りているだけという認識のため、遺産にはカウントしなくていいと思われている方も多いのですが、れっきとした権利であり、遺産として相続税評価の対象にもなれば、売買することも可能です。

都心部にも借地権は数多く存在しており、数千万円で取引されることもざらです。

相続財産なので、借地権にも相続手続きが必要なのですが、一般的に借地権(建物所有目的の土地賃貸借契約)は登記されません。

そこでどのような手続きが必要かというと、通常は、以下の2つを行うことになります。

  • 地主に連絡を取り、建物所有者に相続が発生した旨を通知し、今後の地代の支払方法等を確認する。必要であれば地主が指定する書面を提出する。
  • 建物について相続人名義への所有権移転登記(相続登記)を行う。

このうち②についてはどのようなケースでも手続きの内容にほとんど違いはありません。

しかし①については、地主によって細かく手続き方法や提出書類を指定されることもあり、手順に従わなければ今後の関係に悪影響を及ぼす可能性があります。

そこで、まずは地主に連絡を取っていただき、手続きの手順と名義変更のために必要な書類を確認していただいた上で、適切なタイミングで建物の相続登記と借地権の名義変更手続きを行うことを提案しました。

また、離れて暮らすお孫様二人については、当事務所で遺産分割協議書等の書類の郵送及び署名捺印の手配を代行し、ご相続人様の負担を軽減することを提案しました。

このように解決しました

  • 当事務所で登記に必要な戸籍や不動産に関する資料等を収集し、建物について相続登記申請を完了させました。
  • 離れて暮らす相続人については、当事務所で連絡を取り、遺産分割協議書等の書類の郵送及び署名捺印の手配を代行し、ご相続人様の負担を軽減することができました。
  • 事前に地主に確認した手順に沿って借地権の名義変更手続きを行い、スムーズに手続きを完了させることができました。

担当者からのコメント

借地権の相続に伴う名義変更手続きは、基本的に建物の相続登記以外は地主の指示に従えばよく、必要書類も相続登記に必要な書類とほぼ同じため、それほど難しくはありません。

しかし、地主の中には名義変更についてかなり細かく手順を指定してくる方もいます。(例えば、先に遺産分割協議書を提出して、確認後に登記申請して欲しいなど)

手順を誤ったからと言って直ちに契約が解除になるわけではありませんが、今後の関係を考えると、要求がよっぽど不当なものでない限りは素直に従った方が得策ですので、相続が発生したら、まず地主に連絡を取っておくことをおすすめします。

また、地主の中には相続の際の名義変更の際にも承諾料や更新料が発生すると言って、請求してくる方もいます。(単に勘違いしている方もいれば、知っていてあえて請求してくる悪質な方もいます)

相続による名義変更の際には承諾料等はかからないのですが(遺言で相続人以外に遺贈した場合はかかります)、地主からそう言われたら言い返すのは難しいという方もいることでしょう。

借地権の名義変更の際にはいずれにしても建物の相続登記が必要になりますので、余計なトラブルになることは避けたいという方は、相続が発生したら、早めに相続に精通した司法書士に相談することをおすすめします。

当事務所では、名義変更手続きからその後の売却手続きまでおまかせいただいたケースなど、借地権の相続について数多くのサポート実績がございます。

ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

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※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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