父の借金⁉とっくに返済終わったはずだけど・・・【完済済みの借入に関する根抵当権の抹消登記をしていなかったケース】

借金はとっくに返済したはずなのに、実家の根抵当権が抹消されていなかった!

ご相談前の状況

お父様が亡くなられた方からのご相談。

相続人はお母様とお子様二人。

当初はお父様名義の実家不動産を相続人の名義に変更したいという事でいらっしゃいました。

しかし登記簿を確認したところ、根抵当権が設定されており、債務の状況についての確認が必要という事が判明しました。

問題点

  • 30年以上前に設定された根抵当権について、債務が残っているかを確認しなくてはならない。
  • もしすでに完済済みの場合、根抵当権抹消のための書類を抵当権者から発行してもらい、抹消登記を申請する必要がある。

当事務所からのご提案

亡くなられた方が、以前住宅ローン等で金融機関からお借入れされた際に設定した抵当権が、抹消されずにそのままになっているというのは良くある話です。

とっくに返済は終わっており、抹消の登記をしていないだけ、という方が多いのですが、もし債務が残っていれば、債務の返済や承継手続き、債務者の変更登記など、金融機関と話し合って行う必要があります。

また、このケースのように抵当権ではなく“根”抵当権の場合はより注意が必要です。

根抵当権(ねていとうけん)とは、債権者(金融機関等)と債務者の間で、あらかじめ貸し出しできる上限(極度額)を決めておき、その範囲内でなら何度もお金を借りたり返したりすることができるよう不動産で担保するというものです。

通常の抵当権は一つの契約に紐づくため、借金を完済すると抵当権も消滅するのですが、根抵当権の場合は、完済してもまた別の契約を結んでお金を借りる可能性があるので、原則として当事者の合意がない限り根抵当権は消滅しません。

普通の方は担保が必要なほどの大金を何度も借りたりはしないので、根抵当権が設定されている場合は、不動産の所有者が個人事業主や法人の経営者であることがほとんどです。

亡くなった方が個人事業主や法人の経営者の場合、事業上の借入があったり、付き合いで誰かの連帯保証人になっていたりすることがあるので、財産や債務についてより詳細に調べる必要があります。

幸いにもこのケースでは、お父様は昔商売をされていたものの、とっくの昔にやめられており、借り入れはなく、保証人になっていることも無いとのことでした。

そこで当事務所で金融機関に連絡を取り、債務を完済していることを確認の上、抹消登記に必要な書類を出してもらい、相続登記と一緒に根抵当権抹消登記申請を代行させていただくことを提案しました。

このように解決しました

  • 金融機関に連絡を取り、債務を完済していることを確認の上、根抵当権抹消登記に必要な書類を出してもらいました。
  • 相続登記と一緒に根抵当権抹消登記を申請し、無事登記を完了させました。
  • 相続登記に必要な戸籍の収集、評価証明書・名寄帳の取得、遺産分割協議書の作成及び署名・捺印の手配等も当事務所で代行し、相続人の皆様の負担なく手続きを完了させることができました。

担当者からのコメント

このケースのように、とっくに完済した借入金についての抵当権や根抵当権が抹消されずにそのままになっているというケースは多いです。

抵当権が残ったままでも、普通に生活している分には全く支障がないため放置されてしまう方も多いのですが、抵当権が残ったままでは第三者への売却等はできないのが基本です。

売却が決まってから慌てて抹消登記のご相談にいらっしゃる方も多いのですが、抵当権がかなり昔に設定されている場合は注意が必要です。

抵当権者である金融機関が合併や事業譲渡を何度も行っているため、現在の抵当権者を探すのに手間取ったり、抹消の前提として抵当権移転の登記が必要だったりすると、抹消登記に予想以上に時間がかかることもあります。

抵当権の抹消登記に時間がかかったせいで、せっかく決まった契約が流れてしまった…ということの無いように、相続した不動産に抵当権が付いていることが分かった場合は、相続に強い司法書士にお早めに相談することをおすすめします。

当事務所では、50年以上前に設定された抵当権について現在の抵当権者の調査からサポートした事例など、抵当権・根抵当権抹消登記について数多くのサポート実績がございます。

ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

相続登記サポートについてくわしくはこちら

死亡後に必要な抵当権抹消登記についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

借入金の相続についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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