兄の相続手続き中に相続人である母が死亡、どう処理すればいい?【相続手続き中に相続人が亡くなり、二人分の手続きが必要なケース】

相続手続き中に高齢の相続人が亡くなってしまった!

ご相談前の状況

お兄様が亡くなられたからのご相談。

故人には子供がおらず、当初の相続人は妻と母の二人。

相続人であるお母様は高齢で施設に入所中のため、故人の妹であるご相談者様が代わりに対応しているとのこと。

兄の妻とはあまり交流が無いため、お互いのために公平な第三者に手続きを取り仕切ってもらいたいという事で相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 相続手続を行うにあたり、疎遠な義妹と連絡を取る必要がある。
  • 公正な遺産分割のため、財産調査をしっかりと行い、財産目録を作成して開示する必要がある。
  • 相続人である母は健康状態がよくないため、できるだけ負担をかけたくない。
  • 後で不満が出ないように、相続預金の分配も含めて公平な第三者に任せたい。

当事務所からのご提案

子供がいない夫婦の一方が亡くなった場合、配偶者と共に存命の父母が相続人になります。

配偶者と父母が相続人になるケースは、相続手続きの進め方に最も気を遣うケースです。

配偶者はパートナーを亡くした悲しみを、父母は子供を先に亡くすという悲しみを負っているところ、財産の分け方というデリケートな話題について切り出すのはどちらの側からであってもとても難しいものです。

このケースでは元々故人の妻との交流があまりなかったという事もあり、当事者同士でやり取りをしてトラブルになるより、専門家に間に入ってもらって公平に手続きを進めたいと希望されていました。

また、お母様は施設に入所中で健康状態も良くないため、できるだけ負担をかけたくないとのことでした。

そこで事務所で戸籍調査、財産調査、財産目録の作成および開示、相続人とのやり取り、遺産分割協議の調整及び協議書の手配、各種財産の名義変更及び解約・分配手続きまで、相続手続き一式をまるごとサポートさせていただくことを提案しました。

相続手続き中に母が死亡…手続きはどうなる?

ご依頼をいただいてからは、戸籍の収集や財産調査を行い、故人の妻と連絡を取り財産目録を開示するなどして手続きを少しずつ進めていきました。

その結果、法定相続ベースで遺産を分けるという事で話がまとまりました。

早速遺産分割協議書を作成して関係者全員に郵送しようとしたところ、新たな問題が発生しました。

実は、かねてより闘病中だったお母様が亡くなられてしまったのです。

故人の相続人が遺産分割協議書への署名捺印前に亡くなってしまった場合、亡くなった相続人の相続人(二次相続人)に遺産分割協議に参加してもらい、手続きに協力してもらうことになります。

お母様の相続人は妹であるご相談者様の他にもう一人弟様がいたのですが、幸いお兄様の手続きに関して頻繁にやり取りをしていたため、問題なく協力いただけそうでした。

ただ、お母様の相続についての兼ね合いもあるので、分け方についてはお母様の相続をある程度進めてから決めたいとの事でした。

また、お母様の相続手続きについても、ここまでお任せしてきた当事務所に全面的に任せたいとのご意向でした。

そこで、お母様の相続手続きについても全面的にサポートさせていただくとともに、お兄様の相続についても分け方が決まった段階で改めて遺産分割協議書を作成し、手続きを進めることになりました。

このように解決しました

  • 疎遠な義妹に連絡を取り、相続手続きについてご説明をし、手続きに協力していただけるとの回答をいただきました。
  • 金融機関や不動産について漏れなく調査を行い、財産目録を作成して相続人の皆様に開示しました。
  • お母様の相続についても、戸籍調査、財産調査等を行い、財産目録を作成しました。
  • お兄様の相続については、法定相続を基本とする分割内容でまとまったため、遺産分割協議書を作成し、署名捺印をいただきました。
  • お母様の相続についても、話し合いがまとまったため、遺産分割協議書を作成し、署名捺印をいただきました。
  • 相続預金を解約し、葬儀費用等を精算の上で各相続人様に分配しました。
  • 調査の結果、相続税申告が必要であると判明したため、税理士をお繋ぎして申告に必要な資料を連携しました。
  • 不動産の名義変更など、その他の必要な手続きも全て代行し、二人分の相続についてご相続人様の負担なく完了させることができました。

担当者からのコメント

故人の妻と父母、あるいは妻と兄弟姉妹というのは微妙な関係であり、いくら冷静に手続きを進めようとしても主に感情的な部分でトラブルになりやすいものです。

特に父母が相続人である場合、高齢のため健康状態が思わしくない事も多く、子供を先に亡くすという大きなストレスのかかる状況について、より慎重な配慮が必要です。

残された家族がわずらわしい手続きで疲弊してしまうことや、遺産をめぐってトラブルになることは故人も決して望まれていないでしょう。

このケースのように思い切って専門家にすべて任せるというのも円満かつ早期に解決するための選択肢の一つです。

子供のいない夫婦の片方が亡くなり、父母や兄弟との間でやり取りが必要な方は、相続の専門家にまかせて、肩の荷を下ろしてはいかがでしょうか。

また、残された配偶者の方が困らないように、お子様がいないご夫婦は必ず「夫婦それぞれが」遺言書を書いておきましょう。

当事務所は、お子様がいないご夫婦の相続手続について、数多くのご相談・サポートの実績があります。

ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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