生前贈与やお墓の維持費等も考慮して公平に遺産分割したい【不動産を共有にせず生前贈与等も考慮した上で遺産分割したいケース】

財産に偏りがあるため、公平な専門家に分配してもらいたい。

ご相談前の状況

お父様が亡くなられた方からのご相談。

相続人はお子様二人。

遺産についてはなるべく公平に分けたいという事でご兄弟の意見は一致しているとのこと。

ただ、遺産総額に占める自宅マンションの割合が大きい、多額の生前贈与をしている、などの事情があるため、公平な専門家のアドバイスを受けながら分け方を決めたいということで相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 自宅は同居していた二男が相続する事で異存はないものの、不動産が遺産総額に占める割合が大きいため、金融資産で調整する必要がある。
  • 亡くなる前年に長男に対し住宅購入資金の贈与をしているため、それを踏まえて分け方を決める必要がある。
  • 今後の法事にかかるお金やお墓の維持費についても、考慮に入れて分け方を決めたい。
  • 二人とも仕事が忙しいので、遺産分割協議書等の必要書類のやり取りは郵送対応して欲しい。
  • 金融機関の調査や解約などの手続きの負担がどちらかに負担が偏ることは避けたい。

当事務所からのご提案

亡くなった方の財産は、遺言書が無ければ法定相続分通りに分けるのが原則です。

相続人全員の同意があれば、法定相続分にとらわれず自由に分け方を決めることもできますが、実際には法定相続分をベースに決めることが多いです。

しかし、財産の構成や生前贈与の有無によっては、どのように分けるべきか悩ましい場合もあります。

このケースでは、まず遺産総額に占める自宅マンションの割合が大きいという事情がありました。

不動産の共有は望ましくないため、同居していた二男が相続するという事で意見は一致していましたが、公平に分けるためには不動産の分をその他の財産で調整する必要があります。

不動産を取得しない方がその分金融資産を多く貰う事で調整すればいのですが、不動産には相続税評価、時価評価などいくつかの評価基準があるため、評価額をどう決めるかが問題になります。

またこのケースでは、亡くなる前年に長男に対し住宅購入資金として多額の金銭贈与をしているという事情もありました。

少額であればあまり問題になりませんが、数百万円、数千万円の贈与を考慮に入れないというのはさすがに公平さに欠けます。

きっちり公平に分けるという事であれば、生前贈与の金額を遺産総額に加えた上で、それぞれの取得金額を計算すべきでしょう。

さらに財産ではありませんが、将来の法事費用やお墓の維持管理費用についても問題になる事があります。

通常は家族の代表が法事を取り仕切る事や墓地の使用者になる事が多いですが、その中には費用については他の相続人にも負担してもらいたいと考える方もいらっしゃいます。

法事や祭祀にかかる費用については法律上の取り決めは無く、当事者たちの判断に委ねられていますが、後でトラブルにならないように遺産分割の際に取り決めておく方がいいでしょう。

上記の事情を踏まえ、今回は当事務所で不動産の評価額や法事費用等の負担についてアドバイスを行い、金額を決めていただくことになりました。

また、生前贈与については遺産総額へ足し戻しした上で、二人の取得額が同額になるよう調整を行い、ご希望に沿う形の遺産分割案の提案を行う事になりました。

また、どちらかに負担が偏ることの無いよう、当事務所で戸籍収集、金融機関の調査、遺産分割協議書の手配、不動産や預貯金の相続手続きなどの必要な手続きを代行させていただくことを提案しました。

このように解決しました

  • 不動産の価格については、客観的な評価基準をいくつかご提案し、結果、固定資産評価額をベースとする事で話がまとまりました。
  • 生前贈与を遺産総額に加え、不動産の価格や法事費用等も考慮した上でそれぞれが取得する金融資産の額を計算し、遺産分割案を提案しました。
  • 提案した内容で協議がまとまったため、遺産分割協議書を作成・郵送し、署名捺印をいただきました。
  • 忙しい相続人様に代わって戸籍収集、財産調査、不動産や預貯金等の相続手続きを行い、どちらかに負担が偏ることなく完了する事ができました。

担当者からのコメント

不動産の共有はトラブルのもとになるため、すぐに売却する時を除いて、特定の方が単独相続することが望ましいです。

ただ、遺産のほとんどが自宅不動産である場合などは、他の相続人が取得する金融資産(あるいは代償金として支払う金銭)の金額について意見が一致しない事も少なくありません。

不動産を取得する方からすると、できるだけ低く評価したいので固定資産評価額等をベースにしたいと考えるでしょう。

一方、不動産を取得しない方はできるだけ自分の取り分が多くなるように、時価評価などの高い評価基準を主張してくるでしょう。

このような場合、公平な第三者として専門家に関与してもらう事ですんなりと話がまとまることも多いです。

このケースのように生前贈与がある場合や、法要費用やお墓の管理費用について負担してもらいたいと考えている場合は、専門家の客観的な意見を聞くことがより重要になります。

専門的知識のない相続人同士で話し合うと、つい感情的になってしまい関係性がこじれてしまいやすいので、専門家に相談した上で分け方を決めることを強くおすすめします。

当事務所では、面倒な相続手続きをまるごとおまかせいただける「相続まるごとおまかせプラン」をはじめとしたサービスを提供しており、生前贈与やお墓の維持費用も考慮した公平な遺産分割についても数多くのご提案・サポートの実績がございます。

ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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