個人事業主の父が急死、仕事関係の手続きはどうすればいい?【個人事業主である父が亡くなり事業の清算処理が必要なケース】

個人事業主の父が急死!会社関係の手続きがわからない…

ご相談前の状況

お父様が亡くなられた方からのご相談。

相続人は妻と子供たち。

故人は個人事業主として仕事をしており、急死したため、取り急ぎ買掛金支払いや売掛金回収の他、従業員への給与の支払いも必要になるとのこと。

とりあえず経理関係は顧問税理士に任せているが、相続人は事業を継ぐつもりは無く、通常の相続手続きに加えて事業関係をどのように処理すればいいかわからないという事で、途方に暮れて相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 取り急ぎ、買掛金支払い、売掛金回収、従業員への給与の支払いなどを処理する必要がある。
  • 相続人は事業を継ぐつもりは無いが、その場合どのような手続きが必要かわからない。
  • 事業関係以外の相続手続きも必要なため、自分たちだけで行うには大変な負担になる。

当事務所からのご提案

亡くなった方が個人事業主として事業を営んでいた場合、遺族の方は事業の引き継ぎや清算・廃業の手続きを行わなくてはなりません。

家族経営のような形で以前から事業を手伝っていていれば比較的スムーズに処理できる事が多いですが、このケースのように相続人の方が事業に全く関与していない場合、どのような処理が必要かを把握するだけでも大変です。

このような場合、まず考えなくてはならないのが、買掛金支払い、売掛金回収、従業員への給与の支払いなどの支払い関係の処理です。

仕入れ先の買掛金や従業員の給与などは、支払わなくては相手が非常に困るため、最優先で対応すべきです。(相続放棄する場合を除く)

また、それらの未払金を支払うための原資として売掛金を回収する事も重要です。

死亡の事実を金融機関が把握すると預金口座は凍結されてしまうので、先方に連絡の上対応してもらう必要があります。

また、確定申告(準確定申告)についても期限があるため、早期に対応する必要があります。

一定以上の売り上げがある場合は所得税に加えて消費税の申告も必要になります。

今回は、顧問税理士がいたため税務についてはそちらに相談していただくことになりました。

さらに、事業を継続するにしても廃業するにしても官公署への届出が必要になります。

代表的なものでは、管轄の税務署に提出する青色申告に関する届出や廃業届、保健所や都道府県等に提出する特定事業に関する許認可などがあります。

特に事業を継続する場合は、一定期間内に手続きしなければ税務上の恩恵を受けられなかったり、そもそも営業出来なくなったりするので注意が必要です。

今回、ご相続人の皆様は事業を継続するつもりは無く清算して廃業する事を希望されていましたが、突然のことで何から手を付けていいかわからないという状況でした。

そこで、当事務所で戸籍収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更や金融機関の解約等の通常の相続手続きに加え、個人事業の清算処理についてもアドバイス・サポートさせていただくことを提案しました。

このように解決しました

  • 買掛金支払い、売掛金回収、従業員への給与の支払いなど、至急対応が必要な事項を確認し、適切に処理できるようアドバイスをいたしました。
  • 個人事業の廃業届出など、事業の清算・廃業に必要な手続きについてアドバイス・サポートを行いました。
  • その他戸籍収集や遺産分割協議書の作成、相続登記や金融機関の解約等の相続に必要な一切の手続も代行し、ご相続人様の負担なく完了しました。

担当者からのコメント

このケースでは事業を継ぐつもりが無かったため、支払い関係以外の事務処理についてはそれほど差し迫った対応は必要なく、無事手続きを終えることができました。

しかし、事業を継いでもらうつもりでいたのに引き継ぎを行う前に亡くなってしまった場合は本当に大変です。

対応が遅れてしまうと、事業の運営や家族の生活に影響が出てしまう恐れがあります。最悪の場合、事業の継続を断念せざるを得ないという事もあり得ます。

後継者に継がせるつもりで頑張ってきた事業を引き継ぎの不備によって終わらせるのは、誰にとっても望まない結末でしょう。

年齢や健康上の理由で本腰を入れた対策が必要な方はもちろんですが、当面は現役で頑張るつもりという方も、後継者の育成と、万が一に備えた承継対策は早めに手を打っておくことをおすすめします。

当事務所では、個人事業主の方の相続手続きについても、数多くのご相談サポートの実績がございます。

ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

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※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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