母の夫の相続のため全く面識のない相続人に連絡を取らなければならない…【相続関係が複雑な上、面識のない方がいるケース】

全く面識のない人と連絡を取らなければならない…

ご相談前の状況

お母様が亡くなられた方からのご相談。

お母様ご自身の相続人はご相談者様を含む子供二人で特に問題はないものの、少し前に亡くなった母の配偶者の相続が終わっていない状態。(お母様は後妻で、亡配偶者とご相談者様に親子関係はない。)

配偶者の相続人として兄弟姉妹や甥姪がいるが、その中に全く面識がない方がいるとのこと。

他の方に聞いても住所も連絡先も全くわからないという事で、途方に暮れて相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 相続に関係するすべての戸籍を取得し、相続関係者を確定する必要がある。
  • 連絡先が分からない相続人について、公的な手段で現住所を調べる必要がある。
  • まったく面識のない相続人と連絡を取り、遺産分割協議をして、遺産分割協議書に署名捺印を貰わなくてはならない。
  • 遺産分割協議を行う前提として、相続財産の調査を行い、財産目録を作成して開示しなくてはならない。
  • 協議成立後は、協議内容に従って相続預金の解約手続きを行い、各相続人へ分配しなければならない。

当事務所からのご提案

亡くなった方に子供がおらず、父母や祖父母もすでに死亡している場合、配偶者とともに兄弟姉妹や甥姪が相続人になります。

兄弟姉妹や甥姪が相続人の場合、相続人同士の関係性が薄く、一度も会ったことがない方がいることも珍しくありません。

このケースもまさにそうであり、亡配偶者の姪にあたる方についてご相談者様と全く面識がなく、その方と他の親族の関係も長年音信不通の状態でした。

相続手続きには原則として相続人全員の協力が必要なので、何とか連絡を取り、協力して貰う必要があります。

ほとんど(あるいはまったく)面識がない方に、快く手続きに協力してもらうためには、最初の連絡がとても重要になります。

よく知らない相手からいきなり連絡が来たら、警戒するのが普通です。ましてや相続や遺産分割などのデリケートな話題となればなおさらです。

「最初の連絡の際に失礼な印象を与えてしまったため、その後のやり取りが非常に難航してしまった」というのは、よく聞く話です。

そこで、まずは当事務所で戸籍等を収集し、相続関係及び相続人の現住所を調査した上で、面識のない相続人の方に相続手続きへの協力をお願いするお手紙を出すことを提案しました。

また、遺産の分け方を決めるにあたっては、前提として財産調査を行い、財産目録を作成して開示する必要があります。

遺産分割の対象となる財産の詳細が不明では、まともな話し合いはできないからです。きちんと話し合う姿勢を見せなければ、不信感を持たれても仕方ありません。

そこで、戸籍調査等と並行して当事務所で財産の調査を行い、他の相続人に対して開示するための財産目録を作成することになりました。

そこにいるのに返事がない…手紙への反応がない場合の対応策は?

ご依頼後、当事務所で戸籍等を収集して相続関係及び相続人の現住所を調べ、面識のない相続人の方へ、相続発生の事実と連絡がほしい旨を伝える手紙を送りました。

しかし、配達記録上は到達しているにも関わらず、1か月ほど経っても返事はありませんでした。

そこで、次に直接現住所を訪ね、ポストに直接お手紙を投函して反応を待ちましたが、やはり返事はありませんでした。

宛所に尋ね無しとして返還されたわけではないので、少なくともそこに居住していることは間違いありません。にもかかわらず返事がないという事は、一切のかかわりを拒否するという姿勢の現れでしょう。

こうなると相続する・しない以前の問題です。相続人と連絡を取ることすらできなければ、最終的には遺産分割調停や審判など裁判所の力を借りるしかありません。

このケースも調停やむなしという事で、弁護士をご紹介しようとしたのですが、その前に駄目もとのつもりでご依頼者様自身からお手紙を出してみるという事になりました。(これまでの2回は両方とも当事務所の司法書士が差出人となっていました。)

その結果、なんと先方から返事がきました。しかもその内容は相続に関する権利を一切放棄したいというものでした。

そこで、さっそく当事務所で相続分を譲渡していただくための書類を作成・送付し、印鑑証明書と一緒に返送してもらうよう依頼したところ、すぐに書類が届きました。

一時は長期化は避けられないと思いましたが、ご依頼者様のご協力もあって無事手続きを進められることになりました。

このように解決しました

  • 相続に関係するすべての戸籍を収集し、相続関係を確定させました。
  • 面識のない相続人については、戸籍の附票を取得して現在の住所を確認しました。
  • 相続財産の調査を行い、詳細な財産目録を作成して相続人の皆様に開示しました。
  • 面識のない相続人の方に手紙を出し、丁寧に事情をご説明しました。
  • ご依頼者様のご協力もあって、無事手続きに協力してもらうことができました。
  • ほかの相続人含め話し合いがまとまったため、相続分譲渡証明書や遺産分割協議書等を作成し、署名捺印をいただく手配をしました。
  • 遺産分割協議成立後は、協議内容に従って相続登記や預金の解約及び分配を行いました。

担当者からのコメント

今回のケースのように、疎遠な方、面識のない方と連絡を取る場合、最初の連絡が肝心です。

相手からするとよく知らない方からいきなり連絡が来るわけです。ここで失礼な印象を与えてしまうと、その後のやり取りは難航してしまいます。

場合によっては弁護士を立てられて泥沼化することもあり得ます。

人にはそれぞれ事情があるので、例え遺産を貰えるとしても関わりたくない、という人もいる事は頭に入れておくべきでしょう。

また、今回は相続人本人が連絡をすることで事態が進展しました。(この事は当事務所にとっても新たな気付きでした。)

しかし、関係性が疎遠な場合、相続人同士で直接やり取りをすると、感情的になって話がまとまらないケースが多いのも事実です。

そのようなケースでも、公平な第三者である司法書士等が間に入ることですんなりと話がまとまることが多いです。

ほとんどの方はできれば揉め事は避けたいと思っているはずです。

しかし一方で専門知識があり、公平な立場の人から説明を受けなければ信用できないと考えるのも仕方のないことです。

下手に自分たちだけで進めようとして泥沼化する前に、相続人の中に疎遠な方がいる場合は、相続手続きの経験豊富な専門家にお早めに相談することを強くおすすめします。

当事務所では、面識のない相続人の所在調査や初回連絡、遺産分割協議の取りまとめなどを含む疎遠な相続人がいる場合の相続手続きについて数多くのサポート実績がございます。

ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

相続まるごとおまかせプランについてくわしくはこちら

面識のない相続人がいる場合の相続手続きの進め方についてくわしくはこちらをご覧ください。

連絡先が分からない相続人の住所の調べ方についてくわしくはこちらをご覧ください。

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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