遠方の不動産を売却して代金を分けたいが、高齢のため自分たちでは難しい…【遠方にある不動産を売却して代金を分配するケース】

遠方の不動産売却をすべてまかせたい

ご相談前の状況

ごきょうだいが亡くなられた方からのご相談。

配偶者や子供がいないため、相続人はきょうだい二人。

生前故人が住んでいた戸建て不動産があるが、それぞれの居住地から遠く、利用予定もないため早期に売却し、代金を分けるつもりとのこと。

しかし相続人が二人とも高齢で、現地に行くのはもちろん、売却のための書類のやり取り等も難しいため、売却に必要な一切の手続きをおまかせしたいという事で相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 不動産は早期に売却したいが、高齢のため売却活動や売却のための書類のやり取りを頻繫に行うのは難しい。
  • 売却の前提として室内整理や残置物撤去、測量等が必要だが、何度も現地に出向くのは難しい。
  • 売却の前提として、戸籍等の必要書類を集めて相続人名義への相続登記を行う必要がある。
  • 取得価格が不明で高額の譲渡所得が発生しそうなので、相続不動産売却時の特例適用を検討する必要がある。
  • 家屋が古く、一般向けにそのまま売却するのは難しいので、買取業者への売却も検討する必要がある。
  • 売却にかかる経費を精算の上、売却代金から差し引いて公平に分配したい。

当事務所からのご提案

このケースのように相続を機に空き家になった不動産について、今後利用する予定もないため、売却して代金を分けたいという方は多いです。

特に戸建て住宅の場合、固定資産税や管理費用等がかかるだけでなく、空き家状態が続くと倒壊や放火、不法居住住等による環境の悪化などを引き起こす可能性もあるため、早期の売却を検討すべきでしょう。

ただ、相続した不動産を売却する際には、前提として相続人への名義変更(相続登記)の他、室内整理などが必要になります。

また、戸建て住宅の場合、それに加えて以下のような手続きも必要になります。

  • 室内の残置物撤去
  • 現況測量や境界確定測量
  • 更地にして売却する場合、建物の解体・撤去

今回、ご相続人様はお二人とも相続不動産から離れたところにお住まいのため、これらの手続きのために何度も現地に足を運ぶのは難しく、遺品整理業者や測量会社等の当てもないとのことでした。

加えてお二人とも高齢のため、売却手続きに必要な書類の郵送でのやり取り等も最小限にして欲しいと希望されていました。

そこで、当事務所で相続物件に強い不動産会社と連携の上、相続不動産の売却に必要な一切の手続きと、その後の代金分配までを一貫してサポートさせていただくことを提案しました。

不動産を売却した際にかかる税金とは

不動産を売却した場合、売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。

少なくとも仲介手数料や印紙代、場合によっては室内整理費用や測量費用、解体費用などが諸経費としてかかります。

さらに、不動産取得時の価格より売却価格が値上がりしていて、儲け(譲渡益)が出る場合は税金(譲渡所得税)も収めなくてはなりません。

つまり以下の式で求められる最終的な「手残り金額」がいくらになるかが重要と言えます。

売却価格-売却にかかる諸経費-税金(譲渡所得税)=手残り金額

ところが、目先の「売却価格」については皆さんとても気にされますが、「税金(譲渡所得税)」については何故か気にしない方も多いです。

しかし、不動産売却時に儲けが出た場合に課税される譲渡所得税(所得税及び住民税)の税率は低い方(長期譲渡所得)でも約20%です。

儲けが1,000万円であれば200万円もの税金を納めなくてはならないのでかなり大きなインパクトがあります。

しかも相続不動産の場合、取得価格が非常に低額であったり、そもそもいくらかまったくわからない事が多いです。

取得費が不明な場合や取得価格が売却額の5%よりも少ない時は、売却価格の5%を取得費として計上できますが、残りの95%は儲けとして課税対象となります。

例えば、3,000万円で売却した場合、取得費が不明であれば約570万円もの税金を納めなくてはならないという事になりますが、先代や先々代から引き継ぐことになる相続不動産ではこのケースが非常に多いのです。

600万円節税できる⁉相続した空き家を売却する際に使える特例とは

この点、実は相続した不動産が空き家の場合、一定の条件を満たした上で売却をすれば、儲けのうち3,000万円までは課税されないという特例があります。(通称空き家特例と言います。)

空き家特例の適用条件を満たした上で売却することで、税金の額は一人あたり最大600万円も安くなります。

つまり空き家特例の適用を受けられる場合、特例の適用を受けずに3,000万円で売却するより、適用を受けた上で2,500万円で売却した方が最終的な手残り金額は多いという事です。

空き家特例にはいくつか適用条件がありますが、その中でも「古い家屋は取り壊した上で売却する*」というものがあります。

*税制改正により、2024年以降に譲渡する場合は、売却(譲渡)後一定期間内に取り壊せば適用できることになりました。

家屋付物件の場合、一般的には解体して更地として売り出したほうが高く売れます。

一方で解体費用等の負担を考えて、あえて家屋付のまま販売することもありますが、上記のとおり、空き家特例の適用の有無で最終的な手残り金額は大きく変わります。

今回のケースについて検討した結果、家屋を取り壊して売却すれば空き家特例の適用を受けられるため、家屋付のまま売るよりも最終的な手残り金額は大きくなると思われました。

加えて今回は、ご相続人様が高齢で健康状態に不安があるという事もあり、時間をかけずに売却したいと希望されていました。

そこで、不動産会社の協力のもと「引き渡し時までに建物を解体する」という条件で複数の買取業者に金額を提示してもらい、納得のいく金額であれば、一番金額の高い業者に売却するという方法(入札方式)で売却することを提案しました。

このように解決しました

  • 戸籍謄本等の必要書類を集め、売却の前提となる相続登記を迅速に完了させました。
  • 遺品整理業者や測量会社を手配し、室内整理や測量を速やかに完了させました。
  • 相続物件に強い不動産会社と連携の上、複数の買取業者に買い取りを打診し、入札方式で購入希望者を募りました。
  • 入札額が納得のいくものだったため、最高額で入札した業者と早期に売買契約を締結しました。
  • 空き家特例の適用を受けるために、引き渡し時までに家屋を解体し、残代金決済を行いました。
  • 売却にかかった経費を精算の上、売却代金から差し引き、各相続人への分配を行いました。
  • 空き家特例の適用を受けるために必要な書類を手配し、翌年の確定申告を担当する税理士に連携しました。
  • 遺産相続及び不動産売却手続きを全面的に代行した結果、書類のやり取り等を含むご相続人様の負担を最小限に抑える事ができました。

担当者からのコメント

このケースでは、ご高齢という事もあり、はじめから全てお任せしたいと希望されていたため、売却にかかる税金のことまで考えたご提案ができました。

しかし、普通の不動産会社に相談をしても、空き家特例など、税金のことまで考慮した提案をしてくれることはあまりないでしょう。

不動産会社は基本的に仲介手数料が利益となるため、売却価格が高い方が自分たちの利益も大きくなります。

そのため、売却価格は他より低くても、売却条件や期間、税金のことまで考えると実は売主にとってよりメリットの大きい契約については、見落としたり、気づいていてもあえて提案しない事もあるようです。(全てがそうというわけではありませんが。)

司法書士等の専門家は、登記手続きや売却手続きの代理の対価として報酬をいただくので、常にお客様にとって一番メリットの大きい提案しようと心がけます。

また、専門家に任せれば、手続きの負担が大きく減ることは間違いありません。

特に遺産相続や不動産売却がはじめての方は、相続と不動産に詳しい司法書士などの専門家に、一度相談してみることをおすすめします。

当事務所では、相続手続きから不動産の売却までを一括しておまかせできる「相続まるごとおまかせプラン」をはじめとしたさまざまなサービスをご提供しており、遠方の不動産売却についても数多くのサポート実績があります。

ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

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相続不動産の売却で損しないためのポイントについてくわしくはこちら

相続不動産売却時の空き家特例についてくわしくはこちら

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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