祖父が設定した抵当権と父が設定させた抵当権、どう処理すればいい?【数世代にわたる債権債務関係を清算したいケース】
数世代にわたる相続で複雑になった権利関係を清算したい…
ご相談前の状況
お父様が亡くなられた方からのご相談。
相続人は妻と子供3人。
故人は複数の不動産を所有しており、その中には亡祖父(被相続人の父)が債務者となっている抵当権(及び条件付所有権移転仮登記)が設定されているものがあるとのこと。
また、それとは別に亡父の持つ債権を担保するための抵当権が第三者の土地に設定されていているとのこと。
最初に抵当権が設定されてから長期間が経っているため、相手方にも相続が発生しており、権利関係が複雑化してきているので、この機会に債権債務を清算したいという事で相談にいらっしゃいました。
問題点
- 亡父所有の不動産に亡祖父が債務者となっている抵当権が設定されているが、現在の債権者や債務の有無がわからない。
- 債務が残っているようであれば、清算して抵当権を抹消したい。
- 亡父が抵当権者となっている抵当権について、現在の債権債務を確認し、清算したい。
当事務所からのご提案
亡くなった方がお持ちの不動産に抵当権が設定されている場合、抵当権によって担保されている債務がすでに完済されているか否かによって必要な手続きが異なります。
債務がすでに完済されている場合は、すみやかに抵当権の抹消登記手続きを行う必要があります。
一方、債務が残っている場合は、債権者に連絡を取り、債務の返済等について確認する必要があります。
このケースでは、抵当権自体は数十年前に設定されているが、抵当権者が金融機関等ではなく個人でということもあり、返済状況については不明で、そもそも本当に借り入れがあったかもわからないとのことでした。
そこで、当事務所で関係者からの聞き取り結果や資料を精査し、抵当権設定の経緯を確認して、必要に応じて弁護士とも連携の上、債権者と返済や抵当権抹消手続きについて話し合うことを提案しました。
債権(貸付金・立替金)を引き継いだ場合はどうすればいい?
このケースでは、亡祖父が債務者となっている抵当権とは別に、亡父が債権者(抵当権者)として、債務者の土地に設定している抵当権がありました。
相続によって債権を引き継いだ場合、債務者に対して債権者変更の通知を行う必要があります。
こちらについて、当事務所で調査した結果、相続が発生しており、現在の債務者は前出の抵当権者(の相続人)と同一人物であることが判明しました。
つまり、お互いに債権債務を持ち合っている状態だったという事です。
そこで、弁護士を立ててお互いの債権債務関係の解消を目指して交渉を行うととともに、抵当権及び条件付所有権移転仮登記の抹消に必要な手続きについて、当事務所でサポートさせていただくことになりました。
このように解決しました
- 事実関係を精査した結果、こちら側が負担する債務は既に消滅しており、一方で相手方が負担する債務は現在も残っている事が確認できました。
- 弁護士による交渉の結果、こちらの抵当権抹消手続きに協力する代わりに、相手方の債務を一部免除することで話がまとまりました。
- 当事務所で、抵当権解除証書等の抵当権(及び条件付所有権移転仮登記)の抹消登記に必要な書類を作成し、相手方に交付しました。
- 相手方の署名捺印を貰い、その他の必要書類と併せて登記申請を行い、無事抹消登記が完了しました。
担当者からのコメント
故人の不動産に抵当権が設定されたままという事はよくあります。
多くの場合は昔金融機関等から住宅ローンを借りた際に設定したもので、とっくに返済は終わっているにもかかわらず登記だけ残ったままというケースです。
この場合は、金融機関等に連絡を取り抹消登記に必要な書類を交付してもらうことになります。
金融機関等が合併等している場合、現在の連絡先を調べるのに苦労する事はありますが、連絡先さえわかれば以降はそれほど難航することはないはずです。
しかし、このケースのように、債権者(抵当権者)が個人の場合は、簡単にはいきません。
登記簿上の住所で連絡が取れればいいですが、引っ越し等をしていれば、現在の住所を調べなくてはなりません。すでに死亡している場合は、戸籍を集めて現在の相続人を調べる必要があります。
例え連絡が取れたとしても、すでに当時の資料が紛失していたり、事情を知る方が亡くなっていると、当事者だけでは解決は難しいでしょう。
時間が経てば経つほど、関係者が増え、解決は困難になりますので、相続した不動産によくわからない抵当権等が設定されていた場合は、お早めに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
当事務所では、完済済みの抵当権抹消登記について、現在の抵当権者の調査や必要書類の取り寄せなどを含めて包括的なサポートが可能です。
ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。
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債務を相続した場合に必要な手続きについてくわしくはこちらをご覧ください。
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