株式を相続するための口座開設の際の注意点
株式を相続する際に必要な手続きとは
あまり考えたくないことかもしれませんが、誰にでもいつかは訪れること、それが「親の死」です。亡くなった方が証券会社にお持ちの株式や投資信託等を相続するためには、故人と同じ証券会社に相続人名義の口座を開設する必要があります。
株式を相続するためには証券口座が必要です
口座開設の手続き自体はそれほど難しいものではありませんが、それまで株式等に興味のなかった方にとっては、一般口座や特定口座など聞きなれない言葉が出てきて少し戸惑うかもしれません。
そこでここでは、故人の株式等を相続するために必要な証券口座開設の際の注意点について解説します。
相続のために初めて証券口座を開設するという方は、本記事を参考にスムーズに口座開設やその後の相続移管手続きを行っていただければ幸いです。
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株式を相続する際は相続人名義の証券口座が必要
亡くなった方(被相続人)がお持ちの株式等を相続する場合、基本的には故人の口座と同じ証券会社の取得者(相続人)名義の口座に移管することになります。
元々故人と同じ証券会社に口座をお持ちの場合は、その口座に移管可能なので新たに開設する必要はありませんが、まったく証券会社の口座をお持ちでない方や、違う証券会社の口座しかない場合は新たに開設する必要があります。
口座開設の手続き自体はそれほど難しいものではありませんが、開設する口座の種類を間違ってしまうと後々面倒なことになります。
※証券会社によっては他の証券会社の口座への移管が可能な場合もあります。詳しくは各証券会社にお問い合わせください。
証券口座開設の際の手続きの流れ・必要書類
証券口座開設の際の手続きの流れと必要書類は、証券会社によって多少異なりますが、おおむね以下の通りです。
【口座開設の流れ】
- インターネットや電話又は証券会社の店舗窓口で口座開設申込書を請求する。
- 申込書に必要事項を記入の上、必要書類と一緒に郵送等で提出する。
- 提出書類に不備が無ければ1週間程度で口座開設の通知が届き、手続き完了。
【必要書類】
- マイナンバー(個人番号)が確認できる書類
- 本人確認書類(運転免許証、各種健康保険証、各種年金手帳、パスポート等)
- 届出印(開設する証券会社や開設の方法によっては不要なところもあります。)
- 配当金等の振込先金融機関の口座情報がわかるもの(通帳のコピーなど)
証券口座開設の際の注意点
株式等を相続するための証券口座開設の際は、以下の点に気を付けましょう。
開設手続きはオンラインや郵送で可能
銀行などと異なり、証券会社の口座開設の際は、直接店舗に行く必要はなく、オンラインや郵送でのやり取りで手続き可能なところがほとんどです。
ただ、よくわからない方は電話や窓口で『相続財産受取のために新規に口座を開設したい』旨を伝えて、必要な書類や手続きの案内を受けた方が確実かもしれません。
申し込みから口座開設までの期間は、当日~1週間程度ですが、書類に不備があると再提出が必要となり、開設するまで時間がかかるため、余裕をもって申込みましょう。
なお、開設する口座は、同じ証券会社であれば、被相続人の口座と同一の支店・店舗でなくても大丈夫です。
マイナンバー(が確認できる書類)の提出が必要
証券口座開設の際はマイナンバーが確認できる書類の提出が必要になります。ご自身のマイナンバーは個人番号カード(マイナンバーカード)又はマイナンバー通知カードもしくはマイナンバー入りの住民票の写しで確認することができます。
はじめて証券口座を開設する方は「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぶ
証券口座開設の際は口座の種類を選択する必要があります。
株式等取引用の口座には一般口座と特定口座の2種類があり、特定口座はさらに源泉徴収あり・なしの2種類に分かれます。それぞれの特徴は以下の通りです。
【一般口座】
特定口座以外の口座。確定申告に必要な年間取引報告書を自分で作成しなければならないため、一般口座でしか取り扱えない商品(非上場株式)がある場合を除いて、個人で開設するメリットはない。
【特定口座(源泉徴収なし)】
年間取引報告書は証券会社が作成してくれるが、譲渡所得(譲渡益)があると自身で確定申告をしなくてはならない。
【特定口座(源泉徴収あり)】
譲渡所得(譲渡益)がいくらあっても確定申告は不要(それ以外の理由で申告が必要なことはあります)。ただし譲渡所得が年間20万円以下の場合、払わなくていい税金を払ってしまう可能性がある(最大で4万円程度)。
個人の方が一般口座を選択するメリットはほぼないので、特定口座のうちいずれかを選ぶことになりますが、これから投資を本格的に行いたい、個人事業を営んでいる等で元々確定申告をしている、という方を除いて、初めて口座を開設される方は「特定口座(源泉徴収あり)」を選べば間違いありません。
一般の方が「特定口座(源泉徴収あり)」を選んだ場合に想定される唯一のデメリットは、本来払わなくていい税金まで徴収されてしまう可能性があるという点ですが、その額は最大でも4万円程度です。
また、源泉徴収ありの口座でも、損失が出た場合は確定申告をして損失を繰り越したり、他の口座と損益通算することは可能です(確定申告をすると、人によっては翌年の健康保険料や住民税が上がってしまったり、家族の扶養から外れてしまうこともあります)。
確定申告にかかる手間を考えると、ほとんどの方にとっては源泉徴収ありの口座を選択するメリットの方が大きいと思われます。
以上のことから、新規で口座を開設される場合、よくわからなければ「特定口座(源泉徴収あり)」を選択することをおすすめします。
信託銀行等の「特別口座」で保有している株式の移管について
亡くなった方が2009年以前から株式をお持ちの場合、証券会社の口座で保有している株式以外にも、信託銀行等の株主名簿管理人が管理している「特別口座」(特定口座と名前が似ていますが全くの別物です。)で株式を保有していることがあります。
特別口座で保有している株式については、証券会社での手続きとは別に、信託銀行等での相続手続きが必要になります。
相続する方法は相続人名義の口座への移管のほか、発行会社に対して買取請求を行い、買取代金として受け取ることも選択できます。ただし、移管する場合は信託銀行等の口座ではなく証券会社の一般口座に移管することになります。
相続人名義であればどの証券会社の口座でも大丈夫ですが、売却時に利益が出た場合は原則として確定申告が必要になるので注意してください。
特別口座の株式の相続手続きについてくわしくはこちらの記事をご参照下さい。
死後手続き・相続手続き代行についてくわしくはこちら
各種サービスの料金案内はこちら
NISA(つみたてNISA)口座・iDeCo口座がある場合の注意点
亡くなった方がNISA口座で取引していた場合、下記の点に気をつけましょう。
- 被相続人のNISA口座内の株式等を相続人名義のNISA口座に移管することはできない。(一般口座又は特定口座に移管することになります。)
- 移管する株式等の取得価額は相続発生日の時価となる。(通常の特定口座等の株式等であれば被相続人が株式等を取得した際の取得価額を相続人が引き継ぎます。)
- 相続発生日以降の配当金や分配金は非課税にならないため、所得税・地方税がかかる。
NISA口座の相続手続きについてくわしくはこちらの記事をご覧ください。
また、亡くなった方がiDeCo口座をお持ちだった場合は、口座内の資産について死亡一時金として遺族が受け取ることになります。iDeCo口座の相続手続きの際は下記の点に気を付けましょう。
- iDeCo口座内の資産は必ず死亡一時金として支払われる。(遺族が継続して年金の形で受け取ることはできない。)
- 死亡一時金の受取人は民法の法定相続人ではなく、確定拠出年金法が定める優先順位によって決まる。(故人が生前に受取人を指定していた場合は、その方が受け取ることになります。)
- 死亡一時金は、みなし財産として相続税の課税対象となる。(退職手当金等と同じ枠で、「500万円×法定相続人の人数の合計額」までは非課税となります。)
- 死亡一時金の請求期限は相続発生日から5年以内。(5年を経過した場合は相続財産として取り扱われ、法定相続人から請求することができる。)
iDeCoの相続手続きについてくわしくはこちらの記事をご覧ください。
口座を開設したらすみやかに移管手続きを行う
株式を相続するための口座開設が完了したら、すみやかに相続移管手続きを行いましょう。
手続きの際は戸籍謄本や遺産分割協議書等の提出が必要になるので、あらかじめ準備しておきましょう。
以下に株式・投資信託等の相続手続きの流れと必要書類を掲載するので参考にしてください。
【株式等の相続手続きの流れ】
- 証券会社等の口座のある支店又は相続手続き窓口に連絡して、手続き書類を取り寄せる。
- 戸籍謄本等の必要な書類を収集する。
- 残高証明書の請求を行い、相続の対象となる株式等の保有銘柄や数量を確認する。
- 相続人間で遺産分割協議を行い、誰がどのような割合で株式等を相続するかを決める。(遺言書によって相続する場合は不要)
- 相続人名義の口座への移管を希望する場合は、あらかじめ各証券会社の口座を開設しておく ↓
- 証券会社所定の用紙に相続人全員で署名、押印して必要書類とともに提出する。
- 書類等に不備がなければ2~3週間程度で各相続人の口座に移管され手続き完了。
【株式等の相続手続きの必要書類】
- 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本等
- 相続人全員の戸籍謄本等
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺言書(ある場合)*1
- 遺産分割協議書(遺言書がない場合)*2
*1.遺言書がある場合の取り扱いは各金融機関で異なるため、それぞれお問い合わせください。
*2.遺産分割協議書はあった方がいいですが、絶対に必要なわけではありません。
株式等の相続手続きについてくわしくはこちらの記事をご参照下さい。
死後手続き・相続手続き代行についてくわしくはこちら
売却後に確定申告が必要になるケースに注意
株式や投資信託は時期によって大きく価格が変動するため、保有し続けることにリスクを感じ、相続後すぐに売却を検討される方も多いと思います。
このとき、故人の生前の取引状況や遺産分割方法によっては確定申告が必要になることがあります。
確定申告が必要なのは株式等を売却した際に利益(譲渡益)が出た場合ですが、被相続人が証券会社の口座で取引していて、相続人が「特定口座(源泉徴収あり)」で相続すれば基本的に申告する必要はありません。
しかし被相続人が信託銀行等の「特別口座」で株式を保有していたケースや、相続人代表の口座で売却して代金を分けるケース(換価分割のケース)では、譲渡益が出れば確定申告が必要になります。
確定申告が必要な場合、証券会社から送られてくる取引報告書等の書類が必要になるため、間違って処分してしまわないよう気を付けましょう。
相続した株式等を売却して譲渡益が出た場合に確定申告が必要なケースは下記の通りです。該当する方は売却翌年の申告期限内に忘れずに申告を行いましょう。
① 被相続人が証券会社の口座で取引をしていた株式を、相続人の「一般口座」又は「特定口座(源泉徴収なし)」に移管して売却した場合。
② 被相続人が信託銀行等の「特別口座」で株式を保有していたケース
a.相続人の証券会社口座に移管した株式を売却した場合。
※「一般口座」への移管となるため。
b.移管せずに買取請求を行った場合。
③ 換価分割のケース(いずれも売却代金を受け取った相続人全員の確定申告が必要)
a.相続人代表の「売却専用口座」で相続した株式等を売却した場合。
b.相続人代表の口座(一般口座・特定口座)で相続した株式を、後に売却して代金を分配する場合。
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株式の相続で困ったら専門家に相談しましょう!
証券口座の開設自体はそれほど難しいものではないので、本記事を参考にすれば問題なく開設できる方がほとんどだと思います。
しかし、その後の相続手続きや、遺産分割協議の取りまとめの難易度は、相続をめぐる事情によって異なります。
株式や投資信託は時期によって大きく価格が変動するため、遺産分割協議や相続手続きに時間がかかってしまうと、売り時を逃がしてしまうこともあり得ます。また、相続した株式を売却して、相続税の納税資金を捻出しなければならない方もいらっしゃるでしょう。
株式等の相続手続きを含む相続手続きを、迅速に終わらせたいという方は、お早めに死後手続き・相続手続き全般に詳しい専門家へ相談することをおすすめします。
株式・投資信託の相続手続きを含む相続手続きについてのご相談は当事務所で承ります。ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。
※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。
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