【遺言書保管制度対応】自筆証書遺言の調査・確認方法

自筆の遺言はどうやって探せばいい?

身近な人が亡くなった後は、大小さまざまな手続きが必要になります。

死亡直後に行う葬儀関連の手続きが一段落したら、次に行うべきは故人の財産の相続手続きですが、その中でもまず初めにやるべきなのは遺言書の有無の調査、内容の確認です。

自筆の遺言書の有無を調べる方法はある?

ここでは、2020年にスタートした「自筆証書遺言の保管制度」を利用した場合の調査・確認方法を中心に、自筆の遺言書の調査方法についてくわしく解説するとともに、遺言書の調査をはじめとする死後手続き・相続手続きのつまずきポイントについても解説します。

遺言の有無や内容は、その後の手続きに大きな影響を与えるので、本記事を参考にまずは遺言書の調査から始めましょう。

自筆証書遺言の調査等の死後手続き・相続手続きに関する無料相談実施中!

自筆証書遺言の調査をはじめとして、お客様にどのような手続きが必要なのかをご案内させていただくため、当事務所では無料相談を行っています。

当事務所では、身近な人が亡くなった後に必要な死後手続き・相続手続きに関して、数多くのご相談とご依頼を受けています。

このような豊富な相談経験を活かし、お客様に必要な手続きと最適なサポートを提案させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

目次

死後に必要な遺言書の調査とは

遺言書とは、亡くなった方が生前に自分の財産の分け方等について記載した書面です。

遺言書がある場合、基本的にはその内容通りに相続手続き・遺産の分配等を行うことになります。

遺言書の存在を知らないまま、相続手続きや遺産分割協議を行ってしまうと、後で手続きのやり直し等のトラブルになるので、相続手続きを行うにあたってはまず遺言書の有無やその内容を確認することが最優先事項です。

遺言には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類がありますが、このうち公正証書遺言及び秘密証書遺言については、公証役場に作成の記録が残っているため、全国の公証役場で遺言の有無を確認できます。

公正証書遺言・秘密証書遺言の調査方法についてくわしくはこちら

【公正証書遺言】遺言検索システムによる検索方法

一方、自筆証書遺言(自分で書いた遺言書)については、2020年以前は公的な保管制度は無かったため、自宅や貸金庫等を片っ端から探すしかありませんでした。

しかし、2020年7月に「自筆証書遺言の保管制度」が始まったため、亡くなった方が生前にこの制度を利用して法務局に遺言書を預けていた場合は、死後に相続人等からの請求によって遺言書の有無や内容の確認を行うことができるようになりました。

以下では、自筆証書遺言保管制度を利用していた場合の遺言書の調査、確認方法についてくわしく解説します。

自筆証書遺言の保管制度とは

2020年7月に開始された自筆証書遺言書の保管制度は、それまで自筆の遺言書について問題となっていた、紛失や相続人による改ざん等の問題を解消し、相続をめぐる争いを防止するための制度です。

制度を利用する場合、遺言者本人が法務局に出向いて遺言書の保管申請を行います。

本人の生存中は、相続人を含めて本人以外は誰も遺言書の有無や内容を確認することはできません。法務局に預けられた遺言書は本人の死後も長期間保管されるため、紛失したため手続きができないという心配はありません。

本人の死後は、あらかじめ指定された相続人等の代表者に、故人が遺言書を預けていたことが通知されるため、遺言書の存在に誰も気づかないという事態も避けられます。

また、本人の死後は相続人等から遺言書の有無や内容を確認することが可能ですが、相続人の誰かが遺言書の内容を確認した場合、他の相続人に対して法務局から通知がいくので、公平性も担保されています。

さらに、保管制度を利用した遺言書は本来必要な「遺言書の検認」が不要という、手続き面でのメリットもあります。

保管制度の概要

自筆証書遺言書の保管制度についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

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遺言書保管制度を利用していた場合の相続人等の手続き

亡くなった方が遺言書保管制度を利用していた場合、相続人等は法務局に対して請求を行う事で、遺言書の保管の有無や、その内容を確認することができます。

具体的には以下の請求を行うことができます。

1. 遺言書情報証明書の交付請求

2. 遺言書の閲覧の請求

3. 遺言書保管事実証明書の交付請求

4. 申請書等の閲覧の請求

上記のうち、4は遺言書の内容には関係ないので通常は行う事はありません。

1.2はどちらも遺言書の内容を確認するための手続きですが、2の閲覧請求は、遺言書の内容を確認できるのみで、内容を記載した書面の交付を受けることはできないため、やはり利用機会は少ないでしょう。

※遺言の内容に従って金融機関の手続きや不動産登記申請を行うためには、遺言書の内容を記載した書面が必要になります。

そこで、実際には1の「遺言書情報証明書の交付請求」か、3の「遺言書保管事実証明書の交付請求」を行うことになります。

両者は請求に必要な書類や交付される書面の内容が違うので、どちらを行うべきかは、遺言書の存在を認識しているかどうかによって異なります。

遺言書の存在を認識している場合に行う手続き

相続人等が、生前に故人から法務局に遺言書を預けていたことを聞いていた場合や、死後に法務局に預けていたことがわかる書類(保管申請時に発行される保管証など)が見つかった場合は、法務局に遺言書が保管されている可能性が極めて高いです。

また、亡くなった後に法務局から「遺言書の保管に関する通知」詳しくは後述が届いた場合は、確実に法務局に遺言書が保管されています。

故人が遺言書を法務局に預けていたことが(ほぼ)確実であれば、法務局に対して、「遺言書情報証明書の交付請求」を行いましょう。

遺言書情報証明書の交付請求の流れ・手続きの注意点

遺言書情報証明書は、遺言者や遺言書保管申請に関する形式的な情報に加え、遺言書の内容が記載された書面です。

法務省ホームページに見本が掲載されています。

 ≫05 証明書について|法務省

遺言書情報証明書には、遺言書の内容(遺言書原本の画像情報)が記載されているので、これがあれば金融機関での預貯金の解約手続きや、不動産の登記申請手続き等の相続手続きを行うことができます。

遺言書情報証明書の交付を請求できるのは、相続人、受遺者、遺言執行者、及びこれらの方の親権者や成年後見人等の法定代理人です。

手続きの流れは以下のとおりです。

※クリックするとそれぞれの手順についての解説に移動します。

1.必要書類を準備する

2.法務局に交付請求の予約を行う又は郵送で交付請求を行う

3.(窓口で手続きする場合のみ)予約当日に法務局に行き、交付請求を行う

4.郵送又は窓口で証明書を受け取る

以下、それぞれの手順についてくわしく解説します。

Step1

必要書類を準備する

遺言書情報証明書の交付請求の際には、次の書類等が必要になります。

【遺言書情報証明書の交付請求の際の必要書類等】

1. 交付請求書

2. 遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本等

3. 相続人全員の戸籍謄本等

4. 相続人全員の住民票又は戸籍の附票(発行から3か月以内のもの)

5. (受遺者、遺言執行者が請求する場合)請求人の住民票又は戸籍の附票

6. (請求人が法人の場合)法人の代表者事項証明書(発行から3か月以内のもの)

7. (法定代理人が請求する場合)戸籍謄本(親権者)又は登記事項証明書(後見人等)(発行から3か月以内のもの)

8. 手数料(1通につき1,400円)

9. (郵送請求の場合)返信用封筒(切手を貼付したもの)

上記のうち、2及び3については、法務局発行の「法定相続情報一覧図の写し」による代用が可能です。

また、「法定相続情報一覧図の写し」に住所が記載されている相続人については、4の書類を省略できます。

交付請求書は法務局窓口のほか、法務省ホームページから入手可能です。

相続人が多い場合はかなり記載事項が多くなりますが、戸籍謄本等を確認して、正確に記入しましょう。

自筆証書遺言書保管制度で使用する申請書等|法務省

相続関係がシンプル(妻一人子一人など)であれば、書類を揃えるのはそれほど手間ではありません。

しかし相続人の人数が多い場合や、住所や連絡先が分からない相続人がいる場合、兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合などは、戸籍や住民票等の請求はかなり大変な作業になります。

ご自身での手続きが難しい場合は、その後の相続手続きも含めて、司法書士等の専門家への依頼を検討してください。

なお、すでに相続人等に対して遺言書情報証明書の交付がされた後に、他の相続人から交付請求をする場合は、上記のうち交付請求書及び手数料(郵送の場合は返信用封筒)以外の書類は添付不要です。

Step2

法務局に交付請求の予約を行う又は郵送で交付請求を行う

遺言書情報証明書の交付請求は全国どこの法務局でも可能です。また、郵送での請求も可能です。

法務局の窓口で手続きをする場合、予約が必須な上、窓口での本人確認の際に顔写真付き身分証明書の提示を求められるので、郵送での手続きをおすすめします。

郵送で請求する場合、発行手数料(証明書1通につき1,400円)分の収入印紙と、返信用の封筒(切手を貼付したもの)も忘れずに同封しましょう。

送付方法に指定はありませんが、戸籍謄本は重要な個人情報なので、書留など配達記録が残り、かつ対面での受け取りが必須なものがいいでしょう。

戸籍謄本等の必要書類はかなりの量になることも多いので、送付・返送ともレターパックプラスがおすすめです。

収入印紙やレターパックは郵便局で購入できます。

必要書類として提出した戸籍謄本等については、原則返却してもらえませんが、原本と一緒にコピーを同封して、原本還付を希望する旨を記載しておけば返却してもらえます。

法務局窓口で手続きする場合は予約が必須です。予約する方法は、オンライン、電話、窓口の3種類です。

全国の法務局は下記の法務局ホームページで確認できます。

管轄のご案内|法務局

オンラインでの予約はこちら(24時間、365日利用可)

法務局手続案内予約サービス

Step3

(窓口で手続きする場合のみ)予約当日に法務局に行き、交付請求を行う

窓口で手続きをする場合は、予約当日になったら、必要書類を持参の上、法務局に行きます。

窓口では身分証の提示を求められるので、忘れずに持参しましょう。

戸籍等の原本を返却してもらいたい場合は、コピーも忘れずに持っていきましょう。

なお、収入印紙はほとんどの法務局に売り場があるので、その場で購入できます。

Step4

郵送又は窓口で証明書を受け取る

提出書類に不備が無ければ、窓口または郵送で遺言書情報証明書を受け取って申請人の手続きは完了となります。

証明書は金融機関や不動産の手続きで必要になります。何通でも必要な分だけ発行してもらえるので、手続先が多い場合は多めに取得しておくとよいでしょう。

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証明書が交付されると、法務局から他の相続人に対して通知が行われる

相続人等の一人からの請求によって、遺言書情報証明書の交付がされると、他の相続人に対して、法務局から下記のような「遺言書保管の通知」がされます。

関係遺言書保管通知(10 通知|法務省より引用)

通知は、公平のためすべての相続人及び受遺者並びに遺言執行者に対して行われます。

遺言によって財産を貰わない相続人や、遺留分のない相続人(兄弟姉妹や甥姪)も通知の対象です。

交付請求の際に相続人全員の住所を記載しなければならないのは、この通知を送るためです。

たとえ通知を送ってほしくない方や全く連絡を取ったことのない方がいたとしても、申請の際には住民票等で住所を確認して全員の住所を記載しなくてはならず、送らないで欲しいとお願いすることもできません。

関係性の良く無い方に対しても一斉に送られるので、場合によっては遺言執行や相続手続きを妨害される可能性がある事も頭に入れ、対応策を検討しておく必要があるかもしれません。

相続人等に通知されるのは「遺言者の氏名」、「遺言者の出生の年月日」、「遺言書が保管されている遺言書保管所の名称」、「保管番号」のみであり、遺言書の内容については通知で知ることはできません。

遺言書の内容を知りたい場合は、自分で閲覧請求や証明書の交付請求を行うか、他の方が取得した証明書を開示してもらわなくてはなりません。

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遺言書があるかどうかわからない場合に行う手続き

上記のとおり、故人が遺言書を法務局に預けていたという確証がある場合は、はじめから「遺言書情報証明書」の請求を行うべきです。

しかし故人が遺言書を書いたと言っていたが確証を持てないときや、遺言書があるかどうか全くわからない場合にまで、わざわざ相続人全員の戸籍や住民票を取り寄せてまで手続きを行うのは大変です。

そのような場合は、公証役場での遺言検索と併せて、法務局に対して、「遺言書保管事実証明書の交付請求」を行って遺言書の有無を確かめましょう。

遺言書保管事実証明書の交付請求の流れ・手続きの注意点

遺言書保管事実証明書は、その名のとおり、被相続人並びに請求者に関する遺言書が、法務局に保管されている(又は保管されていない)という事実が記載された証明書です。

法務省ホームページに見本があるので、参考までに掲載します。

遺言書保管事実証明書の見本

遺言書保管事実証明書の見本(遺言書が保管されている場合)(05 証明書について|法務省より引用)

遺言書保管事実証明書の見本(遺言書が保管されていない場合)(05 証明書について|法務省より引用)

見本を見てわかる通り、遺言書保管事実証明書には、遺言書がある場合でも遺言の内容は一切記載されません。

遺言の内容を知りたい場合は、別途「遺言書情報証明書の交付請求」を行わなくてはなりません。

遺言書保管事実証明書の交付請求は誰でも可能であり、戸籍謄本等の必要書類も「遺言書情報証明書」の場合に比べて少なく済みます。

遺言書保管事実証明書の交付請求手続きの流れは、以下のとおりです。

1.必要書類を準備する

2.法務局に交付請求の予約を行う又は郵送で交付請求を行う

3.(窓口で手続きする場合のみ)予約当日に法務局に行き、交付請求を行う

4.郵送又は窓口で証明書を受け取る

必要書類や手数料を除いて、遺言書情報証明書の交付請求手続きとほぼ同様なので、以下異なる点のみ解説します。

■必要書類

遺言書保管事実証明書の交付請求の際には、次の書類等が必要になります。

【遺言書保管事実証明書の交付請求の際の必要書類等】

1. 交付請求書

2. 遺言者の死亡の事実を確認できる戸籍(除籍)謄本

3. 請求人の住民票

4. (相続人が請求する場合)遺言者の相続人であることが確認できる戸籍謄本

5. (請求人が法人の場合)法人の代表者事項証明書(発行から3か月以内のもの)

6. (法定代理人が請求する場合)戸籍謄本(親権者)又は登記事項証明書(後見人等)(発行から3か月以内のもの)

7. 手数料(1通につき800円)

8. (郵送請求の場合)返信用封筒(切手を貼付したもの)

交付請求書は法務局窓口で貰えるほか、下記の法務省ホームページからダウンロードすることも可能です。戸籍謄本等を確認して、正確に記入しましょう。

自筆証書遺言書保管制度で使用する申請書等|法務省

■証明書の内容

遺言書が保管されている場合、証明書には、遺言書が保管されている法務局の名称や保管番号等が記載されます。

遺言書が保管されていることがわかったら、「遺言書情報証明書」の交付請求」を行って、遺言書の内容を確認しましょう。

一方、遺言書が保管されていない場合は、保管されていない旨が記載された証明書が交付されます。

この場合、相続人からの請求であれば、被相続人に係る遺言書は法務局には保管されていないことが確定します。

ただ、相続人以外の方からの請求の場合、あくまで「請求人が受遺者や遺言執行者などとして指定されている被相続人の遺言書は保管されていない」という事実がわかるのみです。

請求者が関係者として記載されていない被相続人の遺言書の有無についてまではわからないという点は留意する必要があります。

■法務局からその他の相続人等への通知は行われない

「遺言書情報証明書の交付請求」や「遺言書の閲覧の請求」とは違い、遺言書保管事実証明書の交付請求の際には、相続人全員の住所等の情報は求められません。

そのため、相続人等に対して「遺言書保管事実証明書」が交付されても、法務局からその他の相続人関係者に対して通知が行われることはありません。

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どちらの手続きを行うべき?

「遺言書情報証明書」と「遺言書保管事実証明書」の両制度をまとめると下表のとおりとなります。

スクロールできます
 遺言書情報証明書遺言書保管事実証明書
請求できる方相続人、受遺者、遺言執行者等の相続関係者並びに法定代理人誰でも可
請求方法郵送又は窓口で請求郵送又は窓口で請求
窓口請求の際の予約必要必要
請求に必要な戸籍等被相続人の相続関係を証明するすべての戸籍被相続人の死亡の事実と請求者が相続人であることがわかる戸籍のみ
請求に必要な住民票等相続人全員の住所がわかる公的書類請求者の住民票のみ
手数料証明書1通につき1,400円証明書1通につき800円
証明書に記載される内容遺言書保管申請に関する情報及び遺言書の内容被相続人及び請求者に関係のある遺言書保管の有無
証明書による相続手続きできる(検認も不要)できない
請求者以外の相続人への通知通知される(証明書の交付がされた場合のみ)通知されない(保管の有無に関わらず)

両制度の大きな違いは、手続きに必要な戸籍及び住民票等の範囲です。

「遺言書情報証明書」を請求する場合、法務局から他の相続人に対して通知をするため、交付請求書に相続人全員の住所を記載する必要があります。

そのため、被相続人の相続関係のすべてを証明する戸籍と相続人全員の住民票を収集しなくてはなりません。

相続人が多い場合にこれらの戸籍を集めるのはとても大変です。

一方で「遺言書保管事実証明書」には遺言書の内容は記載されておらず、遺言書の内容を確認するためには、改めて「遺言書情報証明書」の請求を行う必要があります。

無駄な労力を費やさないためには、下記の通り交付請求を行うのが良いでしょう。

遺言書があることがほぼ確実である場合・・・遺言書情報証明書

遺言書があるかどうかわからない場合・・・遺言書保管事実証明書

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相続人等による遺言書の閲覧請求について

遺言者の死亡後に相続人から行うことができる手続きとして、上記2つのほか、「遺言書の閲覧の請求」があります。

閲覧請求は、遺言書の内容を確認できるのみで、内容を記載した書面の交付を受けることはできないので、利用する方は少ないとは思いますが、参考までに手続きの概要を掲載します。

相続人等から行う遺言書の閲覧請求の手続きの流れは以下の通りです。

1.必要書類を準備する

2.法務局に閲覧請求の予約を行う

3.予約当日に法務局に行き、閲覧を行う

閲覧請求できる方や必要書類等は、「遺言書保管事実証明書の交付請求手続き」とほぼ同様なので、以下、異なる点を中心に記載します。

・手続きは閲覧する相続人等が法務局窓口に行って行う。(郵送手続きは不可)

・閲覧できるのは相続人、受遺者、遺言執行者並びに法定相続人(遺言書保管事実証明書の交付請求と場合と同じ)

・必要書類は相続関係を証明するすべての戸籍謄本、相続人全員の住民票等(遺言書保管事実証明書の交付請求と場合と同じ)

・閲覧方法は「モニターによる閲覧(画像データの閲覧)」と「遺言書原本の閲覧」の2種類

・閲覧は全国どこの法務局でも可能だが、原本の閲覧は原本が保管されている法務局のみで可能。

・窓口では本人確認のために“顔写真付き身分証明書”の提示が必要。

・手数料は、「モニターによる閲覧」は1,400円、「原本の閲覧」は1,700円。

・遺言書の内容を記載した書面等の交付を受けることはできない。原本のコピーを取ることも不可。

・相続人等によって閲覧された場合、他の相続人に対して法務局より通知がされる。(遺言書保管事実証明書が交付された場合と同じ)

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法務局からの通知について

遺言者保管制度の利用者の死亡後、一定の場合には法務局から相続人等に「遺言書の保管移管する通知」が送られます。

通知には下記の2種類があります。

1. 関係遺言書保管通知

2. 死亡時の通知

このうち、「関係遺言書保管通知」は、上記で説明した相続人等に「遺言書情報証明書の交付」(又は遺言書の閲覧)がされた場合に、他の相続人に対し送られる通知のことです。

しかし、関係遺言書保管通知は、相続人等が証明書の交付請求や閲覧請求など、法務局に対して何らかの請求をしなければ行われません。

遺言者が遺言書の存在を誰にも告げずに亡くなった場合、遺言書の存在を知らないまま相続手続きが終わってしまう可能性があります。

そこで新たに「死亡時の通知」という制度が設けられました。(令和3年度より本格運用開始)

この制度を利用するかは遺言者の任意ですが、保管申請の際に通知を希望すれば、遺言者の死後に、あらかじめ指定した対象者に対して法務局より遺言書保管の事実が通知がされます。

通知されるのは、遺言書保管の事実と保管している法務局や保管番号等のみで、遺言書の内容までは開示されません。

内容を確認するためには「遺言書情報証明書の交付請求」等を行う必要があります。

通知対象者として指定できるのも、推定相続人、受遺者、遺言執行者のうち1名のみですが、この制度を利用すれば、少なくとも相続人の誰も遺言書の存在に気付かないという事態は避けられそうです。

※ただし、事前に通知先として届け出た住所と相続開始時点の住所が異なる場合や、通知対象者がすでに亡くなっている場合は通知が届かない可能性はあります。

「死亡時の通知」を受け取った方は、故人から相続人の代表者として指定されたという事なので、責任をもって他の相続人への通知や「遺言書情報証明書の交付請求」等を行いましょう。

死亡時の通知の見本

死亡時の通知(10 通知|法務省より引用)

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自筆証書遺言の調査その他の死後手続き・相続手続きのつまずきポイント

ほとんどの人にとって死後手続き・相続手続きを行うのは初めての経験でしょうから、思わぬところでつまづいてしまうことがあります。

そこでここでは、自筆証書遺言の調査をはじめとする死後手続き・相続手続きを自分で行う場合につまずきやすいポイントについて解説します。

ご自身で手続きを行うか悩まれている方は参考にされてください。

また、これを読んで自分には難しそうだな・・・と感じられた方はお早めに専門家に相談することをおすすめします。

死後手続き・相続手続きのつまずきポイントについて

死後手続き・相続手続きを、ご自身で行う場合多くの方がつまずくポイントとしては、主に以下の4つが挙げられます。

1

古い戸籍が手書きのため何と書いてあるかわからない。

死後手続き・相続手続きでは、多くの手続きで戸籍謄本が必要になります。

特に預貯金や不動産の相続手続きでは、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍が必要になることがほとんどです。

多くの方は1か所ですべての戸籍が揃う事はないので、郵送等で各地の役所に古い戸籍を請求することになるのですが、古い戸籍は現在のものとは記載内容が異なる上、手書きのため、解読するのに非常に苦労することがよくあります。

戸籍の文字が読めないため、次に戸籍を請求すべき役所がわからない、間違えてしまったという方も多くいらっしゃいます。

自筆証書遺言の調査でも戸籍が必要になりますが戸籍収集は死後手続き・相続手続きの中でもつまずきやすいポイントの一つです。

2

相続関係が複雑、相続人の人数が多い等の事情があり、戸籍謄本を集めるのに手間がかかる。

兄弟姉妹が相続人になるケースなどでは、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍等に加え、両親の出生から死亡までの戸籍などが必要になります。

相続関係が複雑になればなるほど、また、相続人の人数が多いほど、手続きに必要な戸籍の数は増え、集めるのに手間と時間がかかります。

古い戸籍は手書きのため解読が難しく、ただでさえ収集に手間がかかるのに、集めるべき戸籍が多すぎて、どこまで集めればいいかわからなくなってしまい、途中で断念したという方も珍しくありません。

3

役所や法務局に相談しても専門用語で説明されてよくわからない。

死後手続き・相続手続きについて確認するために、役所や法務局、金融機関等に相談したが、聞きなれない専門用語をたくさん使って説明されたため、結局よくわからなかったという話もよく聞きます。

例えば、相続手続きでは“被相続人”、“相続人”という用語が頻出しますが、どっちがどっちかわからなくなる方もいらっしゃいます。

また、必要書類の中でも戸籍は種類が多く、作成された時期等によって正式名称が異なる上、手続き先によっては通称で説明されることもあるため、混乱してしまう方も多いです。

また、説明する能力や理解する能力は人それぞれなので、人によっては説明の仕方や対応について不満を抱くこともあるかもしれません。

4

相続手続きや死後手続きについて相談できる人がいない。相談しても見当違いのことを言われてしまう。

相続は財産にかかわるデリケートな問題のため、わからないことがあってもなかなか他人には相談しづらいものです。

特に相続人が一人しかいない場合や、動けるのが自分一人しかいない場合は他に頼れる人もいないため、不安になることも多いでしょう。

また、相談できる方がいたとしても、相続をめぐる事情は人によって千差万別なため、自分の経験が他人には全く当てはまらないという事はよくあります。

そのため、相談をしても見当違いのアドバイスをされてしまったり、複数の人から正反対の事を言われたために余計に混乱してしまったという話もよく聞きます。

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死後手続き・相続手続きの代行を当事務所に依頼した場合

自筆証書遺言の調査をはじめとする死後手続き・相続手続きについては、上記のようなつまずきポイントがあるため、ご自身で行おうとしたものの、やっぱり専門家に依頼することにした、という方も多いです。

当事務所では、面倒な相続手続きをまるごとおまかせできる「相続まるごとおまかせプラン」をはじめとした相続代行サービスを提供しているので、自筆証書遺言の調査を含む死後手続き・相続手続き全般について代行・サポートが可能です。

自筆証書遺言の調査を含む死後手続き・相続手続きを、当事務所にご依頼いただいた場合の主なメリットは以下のとおりです。

メリット1

死後に必要な100種類以上の手続きについて正確に把握しているため、お客様にどの手続きが必要かをご案内することが可能です。お客様の方でどのような手続きが必要かを一つずつ確認する必要はありません。

メリット2

役所や金融機関、法務局とのやり取りは基本的に当事務所が行うため、お客様が連絡をしたり、窓口に行ったりする必要はありません。

メリット3

相続を専門とする事務所のため、戸籍の収集作業に長けており、相続関係が複雑でも、迅速に戸籍収集を完了させることが可能です。

メリット4

手続きの数が多い場合は、法務局で「法定相続情報一覧図」を取得するなどして、最小限のコストで効率よく手続きを行うため、戸籍等の原本還付待ちによる時間のロスや、戸籍等を多く取得しすぎたことによる無駄なコストが発生することはありません。

メリット5

年間100件以上の相続案件を担当する相続に精通した国家資格者が在籍しているため、疑問や不明点にすぐにお答えすることができます。

メリット6

法律的・専門的な事柄はもちろん、手続きについての細かい疑問、雑多な質問、初歩的な質問についても、親切丁寧にお答えいたしますので、気兼ねなく相談していただくことができます。

メリット7

手続きの進捗については、定期的に報告させていただきますので、安心してお仕事や家事育児等に専念できます。

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自筆証書遺言の調査についてのよくある質問

ここからは自筆証書遺言の調査を含む死後手続き・相続手続きのご相談の際によく受ける質問を、Q&A形式で解説します。

遺言書に関する証明書の請求を代理人に依頼することはできる?

法定代理人以外の代理人による手続きはできませんが、手続きに必要な戸籍の取得や交付請求書の作成は司法書士等に依頼することができます。

遺言書情報証明書や遺言書保管事実証明書の交付請求が行えるのは、相続人、受遺者、遺言執行者等の相続関係者及びそれらの者の法定代理人(親権者や成年後見人など)のみです。

司法書士や弁護士等の法律専門職であっても代理人として請求を行うことができません。

ただし、手続きに必要な戸籍・住民票の請求や、交付請求書の作成は司法書士等が行うことができます。

相続人が多い場合や、疎遠な相続人がいる場合などは戸籍等の収集も大変な上、その後の手続きも難航することが予想されるので、相続に精通した専門家への相談をおすすめします。

法務局はいつまで保管してくれる?

少なくとも相続関係者が生存している間は保管してくれます。

遺言書保管制度で法務局に預けた遺言書は、原本は遺言者の死亡の日から50年、遺言書の内容を記録したデータは遺言者の死亡の日から150年間保存されます。

また、遺言者の生死が明らかでない場合でも、遺言者の出生の日から起算して120年経過した日を遺言者の死亡日に相当する日として、その後150年間データが保存されます。

遺言者の相続関係者が生存している間は確実に保管されているので、保管期限切れで手続きができないという事はまず心配しなくて良さそうです。

自筆証書遺言の調査以外に死後に必要な手続きはどんなものがある?

預貯金の解約や不動産の名義変更など100種類以上もの手続きがあります。

身近な人が亡くなった後は、自筆証書遺言の調査以外にもたくさんの手続きが必要になります。

その数は細かいものまで含めると100種類以上にも及び、それぞれに問い合わせ先、必要書類、手続きの期限などが異なります。

すべての方が100種類の手続きが必要になるわけではないですが、普通の方でも数十種類の手続きは必要になるでしょう。

代表的な手続きとしては以下のようなものがあります。

・死亡届

・火葬(埋葬)許可申請書の提出

・運転免許証・パスポートの返還

・公共料金の名義変更・解約

・クレジットカード契約等各種契約の清算・解約

・葬祭費・埋葬料の請求手続き

・未支給年金・遺族年金・寡婦年金・死亡一時金の受給手続き

・生命保険金の請求手続き

・相続放棄

・相続人の調査(戸籍収集)

・相続財産の調査

・財産目録の作成

・遺産分割協議(遺産分割協議書の作成)

・預貯金の名義変更・解約払い戻し手続き

・株式など有価証券類の名義変更・解約手続き

・不動産の名義変更手続き(相続登記)

・所得税の準確定申告

・相続税の申告

・そのほか100種類以上の手続き

これらの中には期限が決まっているものもあり、手続きをしないことによって相続人の方が大きな不利益を被る可能性があるものもあります。

下記リンク先の記事で亡くなった後に必要な120の手続きリストを公開しておりますので、自分に必要な手続きをチェックして、期限までに忘れることなく手続きを終わらせましょう。

身近な人が亡くなった後に必要な120の手続きリストはこちら

そんなにたくさんの手続きを自分で行うのは面倒・・・誰かにおまかせできる?

当事務所の「相続まるごとおまかせプラン」では、死後に必要なあらゆる手続きをおまかせいただけます。

死亡後の手続きは多種多様であり、慣れない方には骨の折れる作業も多いです。

特に官公署や金融機関の遺産相続手続きでは、揃えるべき書類や申請書類の書き方についても厳格に決められているので大変な思いをすることも少なくありません。

ただでさえ面倒な手続きを仕事や家事育児の合間を縫って行うのは難しい、誰かに任せられるなら任せたいと考える方も多いと思います。

当事務所では100種類以上の手続きについてサポート可能な相続まるごとおまかせプラン』をはじめ、面倒な相続手続きをおまかせできる様々なプランを用意しています。

ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

当事務所の『相続まるごとおまかせプラン』は遺産相続手続きなどの専門的手続きはもちろんその他の100種類以上の手続きについてもサポートいたします!

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自筆証書遺言の調査でお悩みの方は専門家へ相談を!

遺言書は故人の最期の想いを込めた大切なものであり、基本的にはその内容通りの相続が実現されるべきです。

法務局から「遺言書の保管に関する通知が届いた場合」はもちろんですが、生前に遺言書を遺したことを聞いていた場合や、法務局に遺言書を預けた旨の書類が見つかった場合は、まず法務局に請求を行い、遺言書の有無の調査や内容の確認を行いましょう。

とは言え、死後に必要な手続きは遺言書の調査以外にも沢山あり、そのすべてを自分だけで行うのは大変に骨が折れます。

自筆証書遺言の調査を含む死後に必要な手続き、特に専門的知識が必要な相続手続きについて、ご自身で行うのが難しいと感じている方、自分にどんな手続きが必要かわからないという方は、お早めに死後手続き・相続手続き全般に詳しい専門家へ相談することをおすすめします。

法務局での自筆証書遺言の調査を含む相続手続きについてのご相談は当事務所で承ります。ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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