相続放棄するとお墓や位牌も相続できない?

相続放棄するとお墓も受け継げない?

故人に借金などの債務がある場合、家庭裁判所で相続放棄の手続きを行う事で、支払い義務を免れることができます。

また、相続放棄をすると相続人でなくなるため、マイナスの財産だけでなくプラスの財産も一切相続できなくなります。

相続放棄するとお墓や位牌を受け継げない?

それでは相続放棄した場合、先祖代々のお墓や位牌なども相続することはできないのでしょうか?

ここでは、お墓や位牌、仏壇などの祭祀財産に関して、相続放棄した場合の取り扱いについて解説します。

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目次

相続放棄の効力

相続放棄の効力は相続開始時点にさかのぼるため、家庭裁判所で相続放棄が認められると(相続放棄の申述が受理されると)、初めから相続人ではなかったとみなされることになります。(民法第939条)

初めから相続人ではなくなるため、借金などのマイナスの財産だけではなく、現金や預貯金などのプラスの財産も一切相続することはできません。

もし、相続放棄する前に財産の処分行為を行ってしまうと、相続することを承認したものとみなされ、相続放棄することはできなくなります。

また、相続放棄した後に処分行為を行った場合は相続放棄の効力が否定されてしまいます。

それでは、相続放棄をした場合は、お墓や位牌、仏壇などについても一切受け継ぐことはできないのでしょうか?

相続放棄してもお墓や位牌は受け継ぐことができる

この点、お墓や位牌、仏壇などは祭祀財産(さいしざいさん)と呼ばれ、その相続・承継方法については、一般的な財産とは明確に区別されています。

具体的には以下の通りです。

1.故人が生前に承継者を指定していればその人が承継する。

2.指定の承継者がいなければ慣習に従って承継する。

3.慣習がない場合や慣習によって決まらない場合は遺族の話し合いで承継者を決める。

4.慣習や遺族の話し合いで決まらない場合は家庭裁判所が承継者を決める。

参考 (祭祀に関する権利の承継)

第八百九十七条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

引用:民法|e-Gov法令検索 

上記のとおり、祭祀財産は法定相続分に応じて相続されることはなく、遺産分割や相続放棄の対象にもなりません。

したがってお墓を引き継いでも、財産の処分行為を行ったことにはならず、相続放棄することができます。

また、相続放棄した後にお墓の名義変更(承継)手続きを行ったり、位牌や仏壇を引き取ったとしても、そのことによって相続放棄の効力が否定されることはありません。

借金のせいで泣く泣く先祖代々のお墓を手放すようなことになれば、放置されるお墓が増えるなどの問題に発展し、社会的混乱が生じるでしょうから当然の事と言えます。

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あまりにも高額なものは相続財産として取り扱われる可能性あり

上記のとおり、お墓や仏壇などの祭祀財産は相続放棄の対象となる「相続財産」にはあたりません。

ただし、祭祀財産が相続財産にあたらないのは、基本的に換金性がなく、祖先を祀るという慣習を尊重するためです。

そのため、祭祀財産に換金性があり、それが社会通念上あまりにも高額な場合(純金の仏壇や仏像など)は、祖先を祭るためという本来の趣旨を超えているので、相続財産として取り扱われ、受け継ぐことによって相続放棄できなくなる可能性があります。

相続放棄を検討するようなケースではめったにない事とは思いますが、心当たりのある方は慎重に対応しましょう。

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祭祀財産を受け継ぎたくない場合はどうすればいい?

上記のとおり、相続放棄をしても祭祀財産を受け継ぐことはできます。

しかし裏を返せば、故人の指定、慣習や話し合いによって祭祀承継者になってしまった場合は、相続放棄しても受け継がざるを得ないという事です。

祭祀財産については、承継についての規定はあるものの放棄についての規定は法律上ありません。また、祭祀承継者として指定された場合は、拒否や辞退することもできません。

祭祀財産の中でも特にお墓については、維持管理が大変で、墓地管理者に払う管理費等も発生します。お寺にある墓地の場合は檀家としての地位も受け継ぐため、お布施などの負担もあります。

お墓の承継者になってしまった場合、一生これらの負担から逃れることはできないのでしょうか?

この点、お墓を受け継いだ場合でもそのことによって直ちに何らかの義務が生じるわけではありません。

祭祀財産の承継者として指定された方が、何の手続きも行わず、管理を放棄したとしても罰金等の行政罰があるわけではありません。

管理を怠ったり管理費を滞納したことにより、墓地使用契約を解除され、墓地の使用権を失ってしまう事はありますが、そもそも受け継ぎたくなと思っている方にとっては気にならないことでしょう。

祭祀財産の承継者は放棄も拒否もできない代わりに、管理・処分については広い裁量が認められているのです。

ただし、いくら義務がないからと言って、お墓を放置してしまうと、家族や親戚から非難され、親族関係が悪化してしまうかもしれません。

また、長年放置されて使用者がわからない「無縁墓」は、現在社会的な問題になっているので、出来れば後述するお墓の承継手続きを行い、改葬や墓じまい(永代供養)等を行うのが望ましいでしょう。

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祭祀財産の相続(承継)手続きについて

祭祀財産の中でも、仏壇や仏像、位牌などの動産は単にそのまま自分で管理・処分を行えばよく、承継のために特別な届出等は必要ありません。

一方、お墓(墓地)については、墓地の名義人(使用者)が亡くなった場合は、墓地管理者に必要書類を提出して墓地使用者の名義変更(承継)手続きを行う必要があります。

一般的なケースでの墓地使用者の名義変更手続きの流れや必要書類は以下の通りです。

■墓地使用者の名義変更手続きの流れ

1.墓地や霊園の管理者に連絡して、使用者死亡の旨を伝え、必要な書類等を確認する。

2.管理者からの案内に従って必要な書類を準備する。

3.必要書類を提出し、手数料を支払う。

4.名義変更完了後、未了の場合は納骨・埋葬等を行う。

■必要書類

1.名義変更届

2.墓地使用許可証(永代使用許可証)

3.戸籍謄本(旧名義人の死亡の事実と新名義人との関係がわかるもの)

4.新名義人(承継者)の印鑑証明書

墓地や霊園によっては、また、相続の事情によってはこのほかにも書類が必要になる場合があります。くわしくは墓地管理者にお問い合わせください。

お墓の名義変更(承継)手続きについてくわしくはこちらの記事をご参照ください。

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お墓の維持管理が難しい場合は改葬や墓じまい(永代供養)の手続きを

お墓を受け継いでも、様々な事情から維持管理が難しい場合もあります。

そのような場合は、「改葬」や「墓じまい」の手続きを行うことを検討しましょう。

「改葬」とは、お墓の引越しのことです。今のお墓に埋蔵されている遺骨を、別の墓地や納骨堂などに移すことを言います。

「墓じまい」とは、改葬に伴い、現在のお墓について墓石の撤去・処分を行い、更地にして墓地管理者に返還することです。

改葬や墓じまいを行うには、現在の墓地の管理者と改葬先の管理者等に相談して証明書を発行してもらう必要があります。

また、現在のお墓のある自治体に申請をして「改葬許可証」を発行してもらう必要があります。

改葬や墓じまいの手続きには手間と費用がかかりますが、改葬先としては、別の墓地や霊園に建てた一般墓のほか、管理の負担が少ない納骨堂や永代供養墓、樹木葬や海洋散骨などの自然葬という選択肢もあります。

管理にかかる手間や費用を軽減したいという方、自分の後の祭祀承継者がいないという方は、改葬や墓じまいを検討してみてください。

改葬や墓じまいの手続きの必要書類や費用などについてくわしくはこちらの記事をご参照ください。

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祭祀財産を承継したときの課税について

お墓や仏壇などの祭祀財産は、基本的に換金性が無く、祖先崇拝の慣習に従って引き継がれるべきものなので、非課税財産とされています。

従ってお墓を受け継ぐ際に相続税は課税されませんし、その後固定資産税が課税されることもありません。

固定資産税や相続税が支払えないので、先祖代々のお墓を放棄するような事態が起きてしまっては問題があるので、これも当然の事でしょう。

相続放棄でお悩みの方は専門家に相談しましょう!

お墓や仏壇、位牌などの祭祀財産は相続財産ではないため、相続放棄をしても受け継ぐことができます。

また、相続放棄をしても、祭祀財産の承継者に指定された場合は放棄や拒否をすることはできません。

また、相続放棄をするにあたっては、祭祀財差の処分以外にも、行ってはいけない行為、行っても問題ない行為が細かく決まっています。

全て自己判断で行ってしまうと、後で債権者から相続放棄の無効を主張されることもあるので、相続放棄でお悩みの方は、お早めに相続問題に精通した専門家へ相談することをおすすめします。

相続放棄についてのご相談は当事務所で承ります。ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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