財産の大部分を信託する場合でも遺言は必要?【家族信託と併せて遺言を作成するケース】

家族信託する予定でも、遺言書は必要?

ご相談前の状況

家族信託を含む生前対策を検討中の方からのご相談。

現時点での相続人は夫と子供たち。

自分が認知症になってしまった場合の財産管理は信頼している息子に任せるつもりなので、不動産を含む財産の大部分について家族信託を予定しているとのこと。

ただし全財産を信託するわけではないので、当事務所より家族信託と併せて遺言書を作成する必要性をご説明させていただくことになりました。

問題点

  • 全財産を信託しない限り、信託しない財産について相続トラブルが起きる可能性はある。
  • 信託が途中で終了して固有財産に戻った場合、遺言書が無ければ様々なトラブルが起こる可能性がある。

当事務所からのご提案

家族信託には遺言書の代用機能もあるため、信託をしておけば遺言書の作成は不要と考える方も多いです。

しかし、全財産を信託するのは現実的に難しく、信託しなかった財産については通常の相続財産として取り扱われることになります。

相続財産の分け方は、遺言書が無ければ、その時点の法定相続人全員の協議によって決めることになります。

ここで意見の相違があれば家族間の争いとなり得ます。また、相続人の中に行方不明や認知症の方がいてそもそも協議ができないという事もあり得ます。

また、家族信託は長期間継続することを前提としており、事情の変化によって途中で終了することもあり得ます。

解除等によって委託者の生前に信託が終了した場合は、信託財産は委託者の固有財産に戻ると定めることがほとんどなので、そのまま相続が発生してしまうと様々なトラブルが起こる可能性があります。

このケースでも、ご相談者様は当初、遺言書の必要性について懐疑的な様子でした。

しかし当事務所でご家族関係や財産状況をヒアリングし、遺言書作成のコストと作成しなかった場合のリスクについて説明させていただいた結果、家族信託と併せて公正証書遺言を作成する事になりました。

このように解決しました

  • 当事務所で、家族関係や財産状況等を詳しく伺い、残された方の負担にならないようにするための遺言書の原案を作成しました。
  • 将来、相続が発生した後の手続きについての負担を軽減するために、遺言の中でお子様を遺言執行者に指定していただきました。
  • 当事務所の司法書士が証人として立会いの下、信託契約書の作成と併せて、公証役場で公正証書遺言を作成しました。

担当者からのコメント

家族信託は、認知症になった後の財産管理における後見制度以外の有力な選択肢として、近年活用事例が増加しています。

家族信託は委託者の死亡により終了し、残余財産は相続人に帰属すると定めることが多いので、ある意味遺言書の代わりにもなります。

ただし、通常は全財産を信託することは無く、少なくとも数百万円程度の金融資産は手元に残しておくことが多いでしょう。

また、家族信託は長期間継続することも多く、事情の変化により途中で終わる可能性は考慮に入れておくべきです。

残された家族に負担をかけないためにも、家族信託をご検討の方は、相続の専門家に相談の上、併せて遺言書を作成し、より万全な対策を行っておくことをおすすめします。

当事務所では、円満相続実現のための遺言書作成や、家族信託等の認知症対策について数多くのサポートの実績がございます。

ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

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円滑な財産承継のための対策についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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