知人にすべての財産を遺す代わりに死後の手続きを任せたい【相続人ではない方に財産を相続させる代わりに死後の手続きを任せたいケース】

きょうだいとは疎遠なため、知人に面倒を看てもらう代わりに全財産を残したい。

ご相談前の状況

遺言の作成をはじめ、死後手続きや今後の財産管理についてお悩みの方からのご相談。

配偶者やお子様はおらず、現時点での推定法定相続人はきょうだい2人だが、疎遠なため、今後の財産管理や死後の手続きを任せるのは難しいとのこと。

日ごろから何かと気にかけてくれる信頼できる知人がいるので、その方にすべての財産を遺す代わりに、認知症になった場合の財産管理や、死後の手続きを任せたいという事で相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 信頼できる知人にすべての財産を遺したいが、何もしないと法定相続人であるきょうだいがすべての財産を相続することになる。
  • 遺言を遺すとしても、後で揉め事にならないようにきちんとした形で作成する必要がある。
  • 死後の手続きについて、きょうだいには任せたくないので、知人に任せたいが、方法を検討する必要がある。
  • 今後、自分が認知症になった場合の財産管理等についても、知人に任せたいが、方法を検討する必要がある。
  • 万が一、亡くなる順番が逆になった場合に備えて対策しておく必要がある。
  • 財産を貰う方の負担にならないように、亡くなった後の財産承継手続きについても対策しておく必要がある。

当事務所からのご提案

亡くなった方の財産は、その時点の法定相続人全員によって相続されることが原則です。

しかし、様々な事情から、相続人の方には財産を遺さず、信頼できる知人等に財産を遺したいという方もいらっしゃいます。

もちろん自分の財産をどのように遺すかは自由なので、遺言書で財産の分け方を指定すれば、相続人ではない方に財産を遺す事が可能です。

今回のように兄弟姉妹が法定相続人の場合は遺留分の問題も生じないので(兄弟姉妹や甥姪には遺留分がありません)、遺言書を作成すれば確実に自分の意思を実現できます。

ただし、財産を貰えなかった相続人から、死後に遺言無効の訴えをされてしまうと受遺者(財産を貰う方)にとってかなり負担になるので、遺言書作成時の意思能力が問題にならないように、きちんとした形で作成しておくことが必要です。

そこで、お世話になっている知人の方にすべての財産を遺す内容の遺言を、公正証書で作成することを提案しました。

また、今回は相続の事だけではなく、自分が認知症になった場合の財産管理や、死後に必要な(相続手続き以外の)諸手続きについても、きょうだいではなく知人に任せたいとの希望をお持ちでした。

そこで現在の財産や生活の状況、今後についての希望等を詳しく伺い、生前の財産管理については「財産管理等委任契約」及び「任意後見契約」を、死後手続きについては「死後事務委任契約」を、知人との間で結ぶことを提案しました。

また、相続が発生した際、他の相続人とのやり取りで受遺者の方に負担をかけたくないとのことでしたので、そちらについても遺言で対策することを提案しました。

このように解決しました

  • 当事務所で、相続関係や財産状況、遺言を遺すにあたっての想い等を詳しく伺い、ご希望を確実に実現するための遺言書の原案を作成しました。
  • 万が一亡くなる順番が逆になったときの対策のため、遺言書案は予備的遺言も盛り込んだ内容になりました。
  • 作成した原案をもとに公証人と調整を行い、当事務所の司法書士及び職員が証人として立ち会いのもと、意思能力の問題が生じないよう公正証書遺言を作成しました。
  • 将来、相続が発生した後のやり取りについての受遺者様の負担を軽減するために、遺言の中で当事務所を遺言執行者に指定していただきました。
  • 知人の方にもお話を伺った上で、財産管理等委任契約及び任意後見契約並びに死後事務委任契約の原案を作成しました。
  • 作成した原案をもとに、遺言書の作成と一緒に、公正証書で各契約を締結していただきました。
  • 死後事務委任契約については、万が一に備えて当事務所を予備的受任者とする契約を締結しました。
  • 将来、認知症になった場合の財産管理や、亡くなった後のことについての不安が無くなり、安心していただくことができました。

担当者からのコメント

近年のライフスタイルの変化によって、生涯未婚の方は年々増えてきており、兄弟姉妹や甥姪が相続人になるケース、あるいはきょうだいもいないため相続人が誰もいないケースも多くなってきています。

兄弟姉妹であっても大人になってからは他人以上に疎遠な関係であることは珍しくないので、今回のケースのように、信頼できる友人・知人に全財産を相続させる代わりに、老後の財産管理や死後の手続きをまかせたいというニーズは高まる一方でしょう。

とは言え、現段階では、財産管理等委任契約や任意後見契約、死後事務委任契約の一般的な認知度は低く、対応可能な専門家も限られています。

これらは将来のことを考えて結ぶ契約なので、今後予期せぬトラブルがあっても耐えうるような内容で契約書を作成する必要があり、習熟度が問われます。

また、相続と密接に関係する問題のため、相続に精通していることも必須です。

専門家へ相談される際は、これらを踏まえて、認知症対策や死後手続き・相続手続きについての経験豊富な専門家を選びましょう。

当事務所には任意後見契約や家族信託等の認知症対策はもちろん、死後手続き・相続手続きについての多数の実績がある専門家が在籍しています。

ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

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※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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