障がいを持つ子供のために遺言を遺したい…【障がいを持つ実子の面倒を看ることを条件に養子に全財産を相続させるケース】

自分の亡き後、障がいを持つ子供が心配…

ご相談前の状況

長年連れ添った奥様と障がいを持つお子様のために遺言の作成を検討されている方からのご相談。

現時点での推定相続人は奥様と実子及び養子の計3名。

特に自分がいなくなった後の障がいを持つ実子の生活が心配なので、奥様と実子の面倒を看ることを条件に、養子にすべての財産を相続させる内容の遺言を作りたいという事で相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 負担付相続(遺贈)の遺言書を作成するにあたっては、貰える財産と負担のバランスがとれているかなど、内容を十分に検討する必要がある。
  • 財産を貰う方の負担にならないように、亡くなった後の手続きについても対策しておく必要がある。

当事務所からのご提案

遺言書で相続人の方に財産を相続させる代わりに、親の介護など一定の義務を負担させることを、負担付相続(相続人以外の方に財産を継がせる場合は負担付遺贈)と言います。

負担付相続(遺贈)を内容とする場合、通常の遺言と比べて検討すべき事項がいくつかあります。

例えば、以下のような事項です。

  • 貰える財産と負担のバランスがとれているか
  • 財産を貰う方が確実に負担を履行してくれるか
  • 万が一負担が履行されない場合の対策

①については、負担ばかりが大きいと逆に負担義務履行の確実性が低くなるためです。民法では、相続人(受遺者)が責任を負うのは貰った財産の価額の範囲までとされています。

②については、財産を貰う方が信頼できるのか、負担義務を履行するための能力があるのか、相続発生時に高齢のため負担が履行できないという事は無いか、について検討する必要があります。

③については、負担が履行されない場合には、民法で「負担付遺贈に係る遺言の取消し」(民法第1027条)という制度が設けられていますが、家庭裁判所での手続きが必要で、手間も時間もかかるため、できれば使いたくない所です。

今回は、①については、十分な財産を貰うという事で問題はなく、②③についても、強い信頼関係があるということで問題はなさそうでした。

そこで、当事務所で相続関係や財産状況、遺言を遺すにあたっての想い等を詳しく伺い、ご希望を確実に実現するための遺言を公正証書で作成することを提案しました。

また、相続が発生した後の手続きについて、相続人に負担をかけたくないとのことでしたので、そちらについても遺言で対策することを提案しました。

このように解決しました

  • 当事務所で、相続関係や財産状況、遺言を遺すにあたっての想い等を詳しく伺い、ご希望を確実に実現するための遺言書の原案を作成しました。
  • 作成した原案をもとに公証人と調整を行い、司法書士が証人として立ち会いのもと、法的不備のない公正証書遺言を作成しました。
  • 遺言で当事務所を遺言執行者に指定していただき、遺言書正本をお預かりさせていただきました。
  • 将来、相続が発生した後の様々な手続きについて、当事務所が執行者として執り行わせていただくための契約を締結させていただきました。
  • 今回負担付遺贈を内容とする遺言書を作成したことで、遺言者様亡き後のお子様の生活についても、安心していただくことができました。

担当者からのコメント

両親亡き後の障がいを持つお子様の生活支援や財産管理の関する様々な問題は、「親亡き後問題」として、社会的な問題となっています。

「親亡き後問題」の解決のためには、任意後見、障がい者のための特定贈与信託、障がい者福祉型の家族信託や生命保険信託など、様々な制度の活用が考えられます。

このケースのように信頼できる親族の方がいるなら、負担付相続(遺贈)を内容とする遺言を遺すというのも選択肢の一つです。

ただし、負担付相続(遺贈)は万が一負担が履行されなかった場合のリスクが大きいため、実行するにあたっては財産を貰う相続人の人間性、年齢、事務処理能力、経済状況等が重要になります。

場合によっては他の対策との併用も検討すべきです。

どの方法が適しているかは実情によって異なりますので、障がいを持つお子様やきょうだいがいらっしゃる方は、相続だけでなく、後見制度や家族信託にも精通して司法書士などの専門家にお早めに相談することをおすすめします。

当事務所では、障がいを持つお子様の「親亡き後問題」対策について数多くの実績があり、ご家族の状況に応じて遺言や家族信託など適切な対策をご提案する事が可能です。

ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

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※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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