お金を出してでも引き取って欲しい…地方にある不要不動産の相続対策【相続対策のために費用をかけて不要不動産を処分したいケース】

マイナスになる「負動産」を売却して心配事を解消したい

ご相談前の状況

ご自身の生前対策をご検討中の方からのご相談。

相続人は3人の子供たち。

財産としては金融資産の他、数か所に不動産を持っているとのこと。

その中の一つである地方の土地について、今後の利用予定も無いため、子供たちに迷惑をかけないよう今のうちに処分してしまいたいと希望されていました。

ところが、知り合いの不動産会社に相談したところ、利便性が悪く、居住に適さない場所にあるため、普通に売り出しても買い手が付かないのではないかと言われたため途方に暮れて相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 地方にある不動産は、周辺環境や管理状態によっては売りに出してもなかなか買い手が付かないことがある。
  • 売却想定価格が低いため、売却を手伝ってくれる不動産会社が少ない。
  • 売却価格よりも、測量費用や仲介手数料などの売却コストの方が高くつく可能性がある。
  • そのまま所有し続けても、固定資産税や管理費用等のコストはかかり続ける。
  • 管理せずに放置し続けると、荒廃が進み、周辺住民からクレームが来る可能性がある。
  • そのまま相続が発生すると、売却価格(時価)よりも相続税評価額が高くなってしまう可能性がある。
  • 不要不動産を子供たちが相続すると、管理や処分を巡って揉める可能性がある。

当事務所からのご提案

親から相続した田畑や山林、バブル期に将来の値上がりを見越して購入した別荘地など、とりあえず持っているだけで何も利用していない不動産をお持ちの方は少なくありません。

相続が発生した際に、遺産の中に上記のような使い道のない不動産があると、相続人間で押し付け合いになることや、相続した方がその取扱いに困ることは容易に想像できます。

所有し続けても固定資産税や管理費用がかかり続けるだけで何のメリットも生み出さないのであれば、一刻も早く処分したいところです。

しかし地方にある不動産は、場所によって需給バランスが大きく異なるため、売りに出してもすぐには売れない事や、それどころかただでも引き取り手がないという事も珍しくはありません。

このケースでも、処分したいと考えている土地は亡くなったご主人様が昔購入したものの、やや不便な場所にあるため自分達で利用したことはなく、現在は隣地の方に畑として無償で使用してもらっている状態でした。

また、周辺にいくつか住宅はあるものの、近隣でより住宅に適した土地が開発業者によって大規模分譲されているという事もあり、売りに出してもなかなか買い手が付かないことが予想されました。

そこでまずは、当事務所の提携先の不動産会社の協力のもと、周辺地域の売却相場や周辺環境等を調査し、一般向け販売や開発業者向けの売却で早期の成約の見込みがあるかを検討することになりました。

無料でも売れない土地、お金を出してでも処分した方が相続対策になる?

調査の結果、今回の土地は接道要件を満たしていないため、現在の法律では建物を建てられないことが判明しました。

仮に周辺の土地を購入するなどして接道要件を満たしたとしても、水道やガスの引き込み工事にかなりのコストがかかるため、より好条件の周辺土地が売り出されている現状では、一般向け、開発業者向けともに買い手は付かないと思われました。

そこで次に、隣地所有者などの周辺住民に低額譲渡・無償譲渡の打診を行いましたが、いずれも不調に終わりました。

こうなると、現状ではコストを負担しながら持ち続けるか、お金を払って引き取ってもらうかの二択になります。

今回の土地は実際には価値のない土地ですが、相続税評価上は数百万円の価格が付いてしまいます。

そのため、このまま相続が発生すると、相続税の支払いで数十万円~100万円程度の負担を強いられることが予想されました。

これに加えて毎年の固定資産税が数万円かかることを考えると、ある程度のお金を支払ってでも今すぐに手放した方が経済的な負担は小さいと思われました。

何よりお客様は、土地の管理や処分を巡って子供達がトラブルになる事は絶対に避けたいとのご意向をお持ちでした。

そこで、不動産を譲渡する代わりに将来の管理費用等の負担金を支払うという条件で、引き取り先を探すことになりました。

幸い提携先の不動産会社の中に、100万円程度の負担金を出してもらえるなら現状のまま引き取ってもいいという所があったので、そちらと契約を締結することになりました。

このように解決しました

  • 不動産会社と連携の上、不動産開発業者や一般向け販売が可能か調査しました。
  • 調査の結果、業者向け・一般向けとも販売は難しいことが判明したため、周辺住民へ低額譲渡・無償譲渡を打診しました。
  • 周辺住民への譲渡打診が不調に終わったため、お金を出して引き取ってもらえるところを探すことになりました。
  • 負担金の支払いを条件に、現状有姿で引き取ってくれる不動産会社が見つかったため、譲渡契約を締結しました。
  • 譲渡に伴う所有権移転登記も当事務所で担当させていただき、無事に登記及び引き渡しが完了しました。

担当者からのコメント

この先利用予定がなく、持っていても税金や管理費用等のコストがかかり続けるだけの「負動産」は、一刻も早く手放すべきです。

しかし、代々相続した土地や自分で購入した不動産である場合、思い入れもあるため、低廉な金額や無料で手放すのをためらう方も多く、結果としてそのままになってしまうケースも多いです。

しかし、そのまま相続が発生してしまうと相続人が不要不動産を承継することになります。当然、管理や処分の問題もそのまま引き継ぐことになるでしょう。

相続放棄をすれば不要不動産も引き継がなくて済みますが、いらない財産だけを放棄することはできないので、プラスの財産を相続するのであれば引き継がざるをえません。

また、2023年より不要な不動産を国に引き取ってもらう制度(国庫帰属制度)がスタートしましたが、制度の利用には境界の設置や写真撮影が必要など、高いハードルがあります。

不要な不動産をどのようにして手放すべきかは不動産の状況や家族関係等によって異なるため、一般の方が自分たちで正しく判断し、実行するのは困難です。

次の世代に問題を引き継がないためにも、不要不動産の処分を含む相続対策をお考えの方は、相続と不動産に精通した専門家に相談の上、実行することをおすすめします。

当事務所では、親から相続した地方にある不動産など、不要不動産の処分について数多くのサポートの実績がございます。

ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

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相続不動産の売却で損しないためのポイントについてくわしくはこちら

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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