行方不明の相続人がいる場合に貸金庫の中身を確認するには?【相続人の中に行方不明の方がいるケース】
故人名義の貸金庫、行方不明者がいる場合どうしたらいい?
ご相談前の状況
ごきょうだいが亡くなられた方からのご相談。
相続人は兄弟姉妹及び甥姪。
相続人の人数も多く、疎遠な方もいるため、やり取りや意見調整も大変だが、それに加えて行方不明の相続人がいるとのこと。
故人は貸金庫を利用しており中身を確認する必要がありそうだが、金融機関からは貸金庫を開けるには相続人全員の同意が必要と言われ、どうすればいいかわからず途方に暮れて相談にいらっしゃいました。
問題点
- 貸金庫の中に把握していない財産に関する資料や遺言書があるかもしれないので、早急に中身を確認する必要がある。
- 亡くなった後に貸金庫を開けるためには、原則として相続人全員の同意が必要になる。
- 遺産分割協議や預金解約等の相続手続きも原則として相続人全員で行う必要がある。
- 相続人の中に行方不明の方がいる場合、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらう必要がある。
- 相続税の申告及び納付が必要なため、相続財産調査、不在者財産管理人の選任、相続預金の解約及び分配を迅速に行わなくてはならない。
当事務所からのご提案
相続した預金や不動産の解約・名義変更手続きを進めるにあたっては、前提として相続人全員による遺産分割協議を行う必要があります。
相続人の中に行方不明の方がいる場合でも、その方を無視して他の方で協議を行えばいいというものではありません。
このような場合、行方不明者に代わって「不在者財産管理人」という代理人が遺産分割協議や相続手続きに参加することになります。
不在者財産管理人は自分たちで話し合って勝手に決めればいいというわけではなく、家庭裁判所に申立てを行って選任してもらう必要があります。
今回は、相続税の申告が必要になりそうだったため、10か月の期限内に間に合うよう迅速に財産調査を行い、不在者財産管理人選任の申立てを行う必要がありました。
そこで当事務所で、戸籍の収集、財産調査、各相続人への連絡及び遺産分割協議の調整、預金の解約・分配手続き、相続登記、相続税の申告など、不在者財産管理人の選任申立て及びその後の相続に必要な手続きをまるごとサポートすることを提案しました。
行方不明者がいる場合に貸金庫を開ける方法・事実実験公正証書とは?
このケースでは、行方不明者がいることでもう一つ大きな問題がありました。
それは貸金庫の中身を確認できないという事です。
貸金庫には、不動産の権利証や預金通帳、遺言書などが入っていることも多く、遺産調査のためには必ず中身を確認する必要があります。
特に遺言書が入っていた場合、内容によっては相続手続きのために相続人全員の協力が必要ない(=不在者財産管理人の選任が必要ない)可能性もあるため、今回もまずは貸金庫の中身を確認することが最優先の課題でした。
しかし、故人が契約していたに貸金庫を開けるためには、原則として相続人全員の同意が必要になります。
当然行方不明者の同意はもらえないため、やはりとりあえず不在者財産管理人を選任してもらうしか方法は無いようにも思えます。
実はこのような場合、公証人に立会ってもらい、貸金庫の中身を確認した公証人がそれを公正証書にすることで、行方不明者の同意が無くても貸金庫を開けることが可能です。(「事実実験公正証書」と言います。)
今回は、遺言書の有無によって手続きの内容が大きく変わる可能性があったため、当事務所で金融機関と調整を行い、事実実験公正証書によって貸金庫の中身を確認することを提案しました。
このように解決しました
- まずは相続関係を確定させるため、全国の役所に請求を行い、大量の戸籍の収集を迅速に完了させました。
- 並行して各地にいる相続人に一人ずつ連絡を取り、手続きへのご協力をお願いし、同意を貰うことができました。
- 金融機関及び公証役場と調整の上、事実実験公正証書を作成することで行方不明者の同意を得ることなく貸金庫の中身を確認することができました。
- 貸金庫には遺言書は入っていなかったものの、全く把握していない金融機関の通帳等が入っていたため、以後の手続きに大きく役立ちました。
- 不動産や金融機関の調査を迅速に完了させ、家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てを行いました。
- 不在者財産管理人として選任された弁護士と連絡を取り、他の相続人とも調整した結果、遺産は法定相続分で分けることになりました。
- 遺産の分け方が決まった後は速やかに遺産分割協議書を作成し、全国にいる相続人に署名捺印をいただくための手配を行いました。
- 遺産分割協議書が揃った段階で迅速に金融機関に書類を提出し、解約手続きを行い、各相続人への分配まで完了させました。
- 並行して相続税申告の準備を進めていたので、申告期限ぎりぎりにはなりましたが、無事相続税の申告及び納付まで完了させることができました。
- 当事務所に全ておまかせいただいた結果、公平かつ迅速に手続きを完了できたため、相続人様の皆様に大変ご満足いただくことができました。
担当者からのコメント
相続人の中に行方不明の方がいる場合、手続きは困難を極めます。
一般的には今回のケースのように不在者財産管理人の選任申立てを行うことになります。
申立ての際には、行方不明になった経緯や行方不明者の財産(相続する予定の財産含む)を調査して、資料を裁判所に提出する必要があるので、不慣れな方にとっては大変な労力が伴います。
また、行方不明になってからの年数によっては不在者財産管理人の選任ではなく、失踪宣告などの別の手続きを検討すべきケースもあります。
いずれにしても、手続きの不慣れな一般の方が迅速に完了できるような手続きではありません。特に相続税の申告が必要な場合など、時間的制約がある場合はなおさらです。
とは言え、相続に強いとうたっている専門家の中でも、行方不明の方がいる場合の相続手続きや、その場合に貸金庫を開ける方法にまで精通している人は多くはありません。
不慣れな専門家に依頼したことで解決までの時間と費用を無駄にしないためにも、相続人の中に行方不明の方がいる場合、相続手続きの経験豊富な専門家に相談の上、迅速に手続きを代行してもらうことを強くおすすめします。
また、遺された方に負担をかけないためにも、推定相続人の中に行方不明の方がいる場合は、必ず遺言書を作成しておきましょう。
当事務所では、亡くなった後の面倒な手続きをまるごとおまかせできる「相続まるごとおまかせプラン」をはじめとしたサービスを提供しており、不在者財産管理人の選任や、失踪宣告が必要なケースなど行方不明者がいる場合の相続手続きについても数多くのサポート実績がございます。
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